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ドラフト30巡目のサクセス・ストーリーは一時中断。開幕3先発で防御率0.56もトミー・ジョン手術へ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェフリー・スプリングス(タンパベイ・レイズ)Apr 8, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジェフリー・スプリングス(タンパベイ・レイズ)が次に登板するのは、来シーズンの中盤あたりになりそうだ。タンパベイ・タイムズのマーク・トプキンによると、トミー・ジョン手術を受けるという。

 昨シーズン、スプリングスは、29歳にしてブレイクした。5月上旬にブルペンからローテーションに加わり、以降の24登板で122.1イニングを投げ、奪三振率9.56と与四球率2.06、防御率2.65とFIP3.19を記録した。

 もともと、プロスペクトではなかった。高校時代はドラフトにかからずに大学へ進み、2015年にテキサス・レンジャーズから30巡目・全体888位指名を受けた。2度のトレード、レンジャーズ→ボストン・レッドソックス、レッドソックス→レイズの直前には、いずれもDFAとされている。

 だが、昨シーズンの好投は一時的なものではなく、今年に入っても続いていた。スプリング・トレーニングでは、4登板とも無失点。開幕後の2登板も、それぞれ6イニングと7イニングを投げ、得点を許さなかった。

 4シーム、チェンジアップ、スライダーの3球種は変わらないものの、昨シーズンから、チェンジアップはそれまでよりもよく落ちるようになっている。

 ところが、3登板目の4回表、スプリングスは左腕の痛みを訴え、マウンドを降りた。そして、シーズンを終えることになった。ここまでの3登板は、16.0イニングで1失点(自責点1)、防御率0.56だ。

 不幸中の幸い、と言っていいのかどうかはわからないが、スプリングスは、1月に4年3100万ドル(2023~26年)の延長契約をレイズと交わした。解雇されることなく、リハビリに臨むことができるはずだ。トミー・ジョン手術を経て、好投を再開しても不思議ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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