SNS時代に一大転換点を迎えた、食の商標登録の運用法
先々月「AFURI」という登録商標を巡って、飲食界隈で一騒動が起きました。商標登録済みのラーメンチェーンのAFURI社と、「AFURI」という名称で日本酒を販売したい酒造会社の吉川醸造が係争に。この事案は、双方の企業それぞれに思惑と言い分がある、昔ながらの企業同士の係争案件となっています。
もっとも同じ商標登録でも、ここ最近、僕の周辺で起きた事案はちょっと傾向が違います。
1 食材卸売会社が中食事業に乗り出し、自社店舗の名称の一部に、すでに商標取得されていて広く知られた取引先飲食店の屋号を使用。
2 地方の製茶会社が、東京の三ツ星レストランの(他にはないオリジナルの造語)名称を自社商品のために商標登録。その名称の商品として販売。
3 海外で取得した資格をテレビ出演時に肩書きとして使ったら、同名の商標権を持つという国内の民間団体からクレームがテレビ局にまで入り、海外団体の資格だと明記してもNG。名称を使いたければうちの資格を取得すべしと通達された。
1~3のいずれもあまり感心しない案件です。
1は少し調べれば、いや同じ業界にいれば調べなくてもわかる話です。商標云々ではなく、お客様商売をしている食材の卸売会社がやっていいことではありません。
2は商標を持ってさえいれば何をしてもいいのか、という話です。あまりに識別性の高い商標は取得したところで、あとからもめ事になる可能性が少なからずあります。
ただ、今回のケースでもっとも微妙だったのは3でした。
この記事は有料です。
食とグルメ、本当のナイショ話 -生産現場から飲食店まで-のバックナンバーをお申し込みください。
食とグルメ、本当のナイショ話 -生産現場から飲食店まで-のバックナンバー 2023年10月
税込550円(記事1本)
2023年10月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。