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SNS時代に一大転換点を迎えた、食の商標登録の運用法

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト
(写真:イメージマート)

先々月「AFURI」という登録商標を巡って、飲食界隈で一騒動が起きました。商標登録済みのラーメンチェーンのAFURI社と、「AFURI」という名称で日本酒を販売したい酒造会社の吉川醸造が係争に。この事案は、双方の企業それぞれに思惑と言い分がある、昔ながらの企業同士の係争案件となっています。

もっとも同じ商標登録でも、ここ最近、僕の周辺で起きた事案はちょっと傾向が違います。

1 食材卸売会社が中食事業に乗り出し、自社店舗の名称の一部に、すでに商標取得されていて広く知られた取引先飲食店の屋号を使用。

2 地方の製茶会社が、東京の三ツ星レストランの(他にはないオリジナルの造語)名称を自社商品のために商標登録。その名称の商品として販売。

3 海外で取得した資格をテレビ出演時に肩書きとして使ったら、同名の商標権を持つという国内の民間団体からクレームがテレビ局にまで入り、海外団体の資格だと明記してもNG。名称を使いたければうちの資格を取得すべしと通達された。

1~3のいずれもあまり感心しない案件です。

1は少し調べれば、いや同じ業界にいれば調べなくてもわかる話です。商標云々ではなく、お客様商売をしている食材の卸売会社がやっていいことではありません。

2は商標を持ってさえいれば何をしてもいいのか、という話です。あまりに識別性の高い商標は取得したところで、あとからもめ事になる可能性が少なからずあります。

ただ、今回のケースでもっとも微妙だったのは3でした。

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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