渋沢栄一の1万円札など新紙幣は2024年7月にも発行か、旧紙幣も円単位なら使えるのでご心配なく
財務省と日銀が、渋沢栄一を図柄とした1万円札など新紙幣を2024年7月にも発行する方向で調整している。紙幣の刷新は2004年以来、20年ぶりとなる。
国立印刷局のページなどでは、一万円、五千円、千円の3券種を改刷する予定で、2024年度上期に発行予定としていたが、7月となるようである。
肖像画には、1万円札が「資本主義の父」と呼ばれた実業家の渋沢栄一、裏には東京駅の駅舎が描かれている。5千円札が女性教育の先駆けとなった津田塾大創始者の津田梅子、千円札が「近代日本医学の父」といわれる医学博士の北里柴三郎が用いられている。
新紙幣には、紙幣に搭載するのは世界初となる高精細のすき入れ(すかし)や、見る角度によって図柄が変化する3Dホログラムなどの高度な偽造防止技術が使われている。
国立印刷局のページによると、150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶としている。この偽造防止技術を継承するためにも、こういった新札への変更が行われる。これはつまり偽札防止のためでもある。
国立印刷局はすでに2021年9月から新紙幣の印刷を始めている。そして、福沢諭吉がデザインされた1万円札など現行の3紙幣の製造は終了している。
このため、金融機関の窓口やホテルで、ピン札不足が広がっているとの記事も見かけた。慢性的に新券は不足しており、金融機関ごとに新券の割り当てが決まっていて、これ以上、手持ちが増えることはないようである。もし使いたい人がいれば、注意する必要がある。あまりピン札に拘らなくても良いように思うが。
今回の新札発行の大きな目的は、偽造されたお金が出回らないようにするためである。戦後の新円切り換え時のように旧札は使えなくするといったことはない。
新札が出ても旧札は使える。これは昔の聖徳太子の1万円札も同様である。1885年発行の1円券紙幣も理論上は1円として使える。ただし、昔の「銭」単位のお金は使えない。
新札発行に向けた準備も進められている。銀行などでのATM、駅の切符の券売機、最近増えているコンビニ、スーパーなどでの無人レジ、そして自動販売機などを含めて、かなり大がかりなものとなる。このために準備期間が長く設けられている。
約20年ぶりの新札ということは、現在の1万円札についてはこの20年の間、それを銀行に預けていても、ほとんど利息は付かなかったことになる。このためタンス預金が増加したとされる。
そのタンス預金が引き出されてくるのかどうか。新札の発行までに日銀が政策金利を引き上げるようなことになれば、その可能性も出てくるのであるが。