煎茶?ほうじ茶?暑い日に冷たいお茶をどう選ぶ?日本茶のプロが実践する自分に合うお茶を見つけるコツ
夏も終わりに近づき、だんだんと秋の気配もしてきました。
しかし、最高気温30度以上の日は9月になっても続きそう・・・。
冷たいお茶の出番もまだまだありそうなので、今回は冷たいお茶選びのコツをお伝えしたいと思います。
私は家で飲むお茶や外出先でのペットボトルを選ぶ時も、その日の体調や気温(体感温度)によって決めています。
暑い日にはどんなお茶?
暑くても冷え性だったら何を選ぶ?
体調があまりよくないときは?
この道20年の日本茶のプロが日々実践している日常のお茶を選ぶコツをお伝えします!
そもそも「緑茶」って何?茶葉のキホンについて
「緑茶」と呼ばれるもののイメージはどんなものですか?
緑茶というからには、色は緑で青葉のようなフレッシュな香り、そんな風に思われているのではないでしょうか。
実は緑茶というのはお茶の種類の分類のための名称なのです。
それは中国茶での分類方法に基づいています。
中国茶は古くから緑茶、紅茶だけではなく、青茶、黒茶、白茶、黄茶と、発酵の度合いや製造過程の違いで茶葉が分類されています。
緑茶というのは「酸化発酵をしていない茶葉」の意味。
紅茶は完全発酵茶で、青茶は烏龍茶などの半発酵茶です。
日本茶のほとんどは「緑茶」に分類されます。
緑茶であっても黄色っぽいものもありますし、ほうじ茶も色は茶色ですが酸化発酵していないので「緑茶」に分類されます。
玄米茶は緑茶に炒った玄米を混ぜたものなので緑茶の一種となります。
ペットボトルの緑茶は「煎茶」
ペットボトルの緑茶に使われている茶葉は「煎茶」です。
ペットボトル茶の消費量が増えている現在、日本で一番多く飲まれているお茶は「煎茶」といってもいいでしょう。
二番目に人気があるのは「ほうじ茶」
その次に人気があるのが「ほうじ茶」ではないでしょうか。
ほうじ茶の香ばしさが人気で、コーヒーを飲み慣れている人にも受けがよく、食後に飲むと口の中をすっきりさせてくれます。
煎茶とほうじ茶の違い
煎茶にはその年の一番初めに芽吹いた一番茶の茶葉が主に使用されます。
うま味や甘味が含まれ、爽やかな味やコクのあるもの、すっきりとした苦渋味のバランスの良いものなど様々です。
一方、ほうじ茶は、一度緑茶として加工されたものの中で煎茶として流通できない固い大きな葉や摘採時期の遅いもの(どちらも「番茶」と呼ばれる)、茎の部分(「茎茶」と呼ばれる)などを焙煎したもの。
焙煎することでこうばしい香りが生まれ、茶葉の色も茶液も茶色になります。
ほうじ茶のカフェイン量
一般的に煎茶よりほうじ茶の方がカフェイン量は少ないと言われています。
それは一度加工された茶葉をさらに高温で焙煎することにより、カフェインが昇華し茶葉に含まれるカフェイン量が減るからです。
しかし、原料となる元の茶葉に含まれるカフェイン量が多いもの、玉露の茎や碾茶(抹茶の原料)の茎などを使用したほうじ茶の場合は、焙煎してもカフェインが他のものと比べて少し多めに残るそうです。
ペットボトルについては「濃い」シリーズやトクホ以外であれば緑茶もほうじ茶もそれほどカフェイン量は多くありませんが、ほうじ茶の方がやや少な目となっています。
ではここからが本題です!
暑い日にはどんなお茶を選べばよいのでしょうか?
暑い日におすすめのお茶
漢方的な考え方では緑茶は体を内側から冷やすと言われているそうです。
暑い日に体を冷やすには「冷たい緑茶」がおすすめです(ただし熱中症の危険がある場合はカフェインを控えてください)。
私の体感ではありますが、夏のエアコンの効いた室内で緑茶を飲みすぎたり、冬の寒い日に緑茶をたくさん飲むと、いつも以上に冷えている気がします。
そのため、体が冷えていると感じたり寒くなりそうなときは緑茶を飲むのを控えめにしたり、別の飲み物を飲むようにしています。
暑くても冷え性の人には?
ほうじ茶にはピラジンという血行を良くするといわれる成分が含まれています。
暑い日は冷たいものを飲みたくなるのですが、暑くても冷えが気になるなら「冷たいほうじ茶」をおすすめします。
冷たくしても成分は変わらないので、冷たい感触を感じながらも体は冷やしすぎないのではと思います。
私も冷え性なのでエアコンの効いた室内で長時間過ごすときは冷たい焙じ茶を飲み、体がすごく冷えていると感じるときは温かいほうじ茶にしています。
汗をたくさんかく時やスポーツをするときは?
煎茶にもほうじ茶にもカフェインが含まれます。
カフェインには利尿作用があるので、汗をたくさんかく時、暑い中でスポーツやウォーキングをする時、熱中症の危険がある時は煎茶やほうじ茶などカフェインが含まれるものは控え、ノンカフェインの飲み物や塩分やミネラルを補給できるスポーツドリンクなどを飲むようにしましょう。
体調があまりよくない時は?
体調があまりよくない時、熱があるようなときはお茶に含まれるカフェインなど刺激のあるものは控えた方がいいでしょう。
日本茶をこよなく愛する私でも、体調が悪い時は日本茶を飲みたくなくなります。
きっと体が日本茶を欲していないんだなと思って、麦茶や白湯などノンカフェインのものを摂るようにしています。
いつも飲んでいる日本茶がおいしく感じるのも体調のバロメーターになっています。
体の声を聞く、というのも大事だと思います。
TPOに合わせて選んで楽しんで
お茶は嗜好品なので「この味が好きだから」という理由で選んでいただくのが一番だと思います。
体の声に正直にお茶を選ぶ。
それがノンストレスで楽しめるポイントなのではないでしょうか。
ペットボトル、ティーバッグ、茶葉からいれるお茶、と、いろいろなお茶をTPOやその日の気分で選び、気軽に日本茶ライフを楽しんでみてください。
日本茶選びのヒントとなる「こういうときどんなお茶を選ぶ?」シリーズは今後も記事にしていきたいと思います。