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両軍で9本の長打!打ち合いを制した阪神ファームは1か月ぶりの貯金1

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

きのう23日の阪神鳴尾浜球場は、中日を迎えてのウエスタン・リーグ公式戦。平日にもかかわらず満員だったスタンドでは、監督やコーチか、はたまた野球評論家かというくらい語ってくださる熱心なファンの方々が多かったですねえ、きのうは特に。あちこちで「なんで今のが捕られへんねん!」「その球を振らんかい!」なんていう声が聞こえ、いつになくスタンド全体のテンションが妙に高かった気がします。

阪神が吉見投手、中日はドラフト1位ルーキー・鈴木翔投手の先発で始まった試合は、初回に4点を取った阪神が効率よく加点し、5回までに8対2と突き放しました。終盤に赤坂選手の2ランなどで追い上げられますが、逃げ切って4連勝。先月23日以来の貯金1です。荒木選手が1回、2回と連続で盗塁を成功させ2ケタの10個目となり、守備でも素晴らしいプレーを何度か見せています。球際の強さというか、もはや格が違うと思えるくらいでしたね。

《ウエスタン公式戦》5月23日

阪神-中日 9回戦 (鳴尾浜)

中日 000 200 012 = 5

阪神 401 210 00X = 8

◆バッテリー

【阪神】吉見-○二神(2勝)-金田-筒井-渡辺-西村-玉置 / 日高-小豆畑(8回~)

【中日】●鈴木翔(2敗)(3回)-矢地(1回)-岸本(1回)-小林(1回)-浅尾(1回)-辻(1回) / 小田-桂(5回~)

◆本塁打 伊藤隼2号2ラン(矢地)、赤坂1号2ラン(西村)

◆三塁打 陽川、中田 

◆二塁打 堂上剛2、一二三、小田、中田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:荒木  (4-1-0 / 1-0 / 2 / 0) .352

〃打遊:阪口 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .244

2]遊二:北條 (4-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .202

3]三:西田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .258

4]右:伊藤隼 (3-1-2 / 2-1 / 0 / 1) .289

5]一:陽川  (2-1-3 / 0-0 / 0 / 0) .221

〃中:横田  (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .189

6]捕:日高  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .240

〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .182

7]指:森田  (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .262

8]中一:中谷 (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .192

9]左:一二三 (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .176

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

吉見 3.1回 61球 (5-1-3 / 2-2 / 2.70)

二神 1.2回 31球 (1-2-2 / 0-0 / 1.23)

金田  1回 13球 (0-2-0 / 0-0 /11.25)

筒井  1回 16球 (0-3-0 / 0-0 / 2.57)

渡辺  1回 32球 (3-1-0 / 1-0 / 0.00)

西村 0.1回 12球 (2-0-0 / 2-2 / 6.75)

玉置 0.2回 8球 (0-1-0 / 0-0 / 2.63)

1死満塁で陽川が走者一掃の三塁打!

先制は阪神。1回に荒木がセカンド・吉川のエラーで出て盗塁を決め、北條は四球、西田が右前打で無死満塁とルーキーを攻めます。1死後に陽川が三塁線を破る走者一掃のタイムリー三塁打!レフトのゴメスが捕球できず、おまけにクッションボールをフェンス沿いに追いかけていくも手につかずで二塁打とエラーかと思いましたが、記録は三塁打です。続く日高が四球を選ぶなど2死一、三塁となって中谷が中前タイムリー!

2回は先頭の荒木が右前打と盗塁(これで10個目)、北條の一ゴロで1死二塁とするも後続を断たれます。3回は日高の四球と森田の内野安打(ショート後方の飛球を高橋周が捕れず)などで2死一二塁として一二三が左翼線にタイムリー二塁打!そして4回、2人目の矢地から北條が右前打、西田の犠打で1死二塁となり伊藤隼が143キロの真っすぐをレフトへ!第2号2ランでリードを広げました。

5回にも森田と中谷が連打して無死一、三塁として一二三の二ゴロ併殺崩れの間に8点目が入っています。6回以降は小林、浅尾、辻に対して伊藤隼と森田が四球を選んだだけ、ヒットは出ていません。余談ですが「ピッチャー浅尾」とアナウンスされた瞬間、スタンドのあちこちで動きがありましたねえ。特にカメラを持った女性の。

金田、筒井が2人で5奪三振

投手陣は、まず3回まで2安打3四球で無失点だった吉見が4回、1死から中田の右中間三塁打と堂上剛の右中間二塁打で1点を返され、続く小田にも三塁線を破るタイムリー二塁打。3連続長打で2点を失なって吉見は降板しました。代わった二神は1死二塁の場面で吉川を三ゴロ、森腰を空振り三振に仕留ます。5回は1安打と2四死球で2死満塁としながら、2打席連続二塁打の堂上剛を右直に打ち取って無失点!

6回の金田はスライダーと146キロの真っすぐで連続三振を奪うなど、三者凡退です。ついで筒井が7回、藤井と高橋周を真っすぐで見逃し三振、赤坂はチェンジアップで空振り三振!お見事、3者連続三振でした。

8回は渡辺、小豆畑のバッテリーで先頭の福田に右前打。これをライトの伊藤隼がエラー(捕って投げようとしたもののボールを置き去りに…)して無死二塁となり、続く中田が一塁線突破のタイムリー二塁打。9回は西村が、やはり先頭の藤井に中前打され、続く高橋周の打球はセンターの左へ。これを横田がダイビングキャッチ!ボールを落とさず、しっかりつかんでいます。

横田の守備に助けられた西村でしたが、次の赤坂に初球をセンターへ…第1号の2ランを浴びてしまいます。3本とも完璧に捉えられた当たりだったため、ここで西村は降板。最後は玉置が、セーブのつかない場面だったものの、福田をチェンジアップで空振り三振!中田を左飛に打ち取って試合終了です。

陽川は残留、原口が淡路へ

試合後は、土日の試合が行われる淡路島へ移動するのでミーティングのみ。グラウンドでは残留する柴田選手、森田選手、陽川選手が引き続き練習をしていました。淡路へ行かない予定だった原口選手が急遽、陽川選手に代わって帯同することになり大急ぎで準備。少ないチャンスを生かすため、張り切っています。

一方、「残ってしっかり練習します」と陽川選手。1回1死満塁で先制の3点タイムリー三塁打を放ちながら、2打席目に初球を打ち上げ捕邪飛。この時、打球を見上げたまま動かなかったため一塁の筒井コーチから「陽川、走れっ!」と大きな声が上がり、その直後にベンチ前で横田選手がキャッチボールを開始。4回の守備から交代となりました。

ベンチに戻った時、平田監督から「走らんヤツは要らん!」と言われたそうです。陽川選手は言い訳になるからと多くを語っていませんが、完全にファウルだと思っていたようですね。周りから「走れ、走れ」の声が上がったものの、まぶしくてボールは見えず、気づいたら捕っていたと。ただ、風で打球が戻ってくる可能性もあったので走らなくてはならないところ。「ベンチで反省していました。なんで走らんかったんやろうって」

タイムリー三塁打の話も聞きました。鈴木翔投手とは、先週15日にナゴヤ球場で対戦したばかり。「前にやった時は真っすぐを打った(左中間二塁打)ので、スライダーで攻めてくるかなと思って待っていた」そうです。その狙い通り初球がスライダーで、カウント1-1となった3球目にまた来たスライダーを打ったもの。それだけに…やっぱり残念ですね。次の福岡遠征に行けるよう頑張ってください。

中継ぎで無失点の3人

3連続三振の筒井投手は「三振を取れればアウト1つは確実なので」と言います。狙い通り?「うーん、そんなことはないですよ」。でも真っすぐもチェンジアップのキレも良かったですね。「いや、まだまだです」。こちらが言葉を還す前にもう一度「まだまだです。これ謙遜とかじゃなくて、ほんとに」と繰り返して笑っていました。

金田投手も、シートノックや紅白戦ではカンカン打たれていたのにキッチリ三者凡退。違うユニホームを前にするとアドレナリンが?「(笑)たまたまです」。プレートの立ち位置を変え、一塁側に寄って立ったりと工夫をしてきました。まだ途中だそうですが「いい方向には向かっていると思います」とのこと。

二神投手は21日に登録を抹消されたばかりで、ファームでは今月2日以来の登板でした。4回に吉見投手が3連続長打で2点を失い、なおも1死二塁のピンチでの出番。「1軍でも、中継ぎだとそういう場面で出ることのあるから、あわてることはなかったです。2イニング目は左バッターに打たれたりしてしまったので、そのあたりは修正していきたい」と話しています。

横田が守備で魅せました!

4回に2号2ランを放ち「しっかり捉えられました。ただ前の2打席がねえ…」という伊藤隼選手。1回無死満塁と、2回2死三塁のチャンスで連続三振に倒れたことを反省する4番バッターです。

最後は横田選手。中村外野守備走塁コーチは、横田選手の名前を出す前に「よかったですよー。ナイスプレー!足は速いんだけど、まず反応がよかった」と絶賛です。本人は「ほんとですか?ナイスプレーですか?」と聞き返してニコニコ。いけると思った?「はい。捕れると思ってました!」。そばまで来ていたレフトの一二三選手には「ナイスキャッチって言われた」そうです。倒れても離さなかったですね。「打てない分、あれくらいしないと」と2打席連続三振には苦い表情でした。

とはいえ、何でもかんで振らずにボールは見られるようになったのでは?まあ1打席目は2球も見送ってしまったけど。「そのへん難しいです。2打席目の、あの左ピッチャーは…無理です」。あー、小林投手。変化球攻めでバットを振らされていましたね。「次は打ちます!絶対打ちます!」。1つ1つステップアップしていきましょう。

24日と25日は淡路佐野運動公園野球場で行われる中日戦。先発が24日は白仁田投手、25日は秋山投手です。中日は小川投手と伊藤準規投手と思われます。なお24日は試合後に恒例の野球教室があり、横田選手は「最後の挨拶を僕がするらしいんです。北條さんと同じ部屋なので、今夜教えてもらいます」とかなりビビッていましたよ。注目です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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