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オールスターの先発投手を決めるのに、今年は両監督とも悩まなかった。それを助けたのは成績以外の要因

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニック・マーケイキス(左)とジャスティン・バーランダー Jul 16, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 オールスター・ゲームで指揮を執る監督は、打順と先発投手、外野手3人のポジション決める必要がある。ナ・リーグはそこに、DHが加わる。

 なかでも、最も難しいのは先発投手だろう。例えば、ナ・リーグの先発投手を務めるマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)の防御率は、リーグ3位の2.41だ。その上にいるのは、1.68のジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)と2.30のアーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)。ノラとシャーザーはほぼ同水準だが、デグロムの防御率はずば抜けている。これだけが基準ではないとはいえ、無視できないほどの差がある。

 一方、ア・リーグは防御率2.23~2.32の間に、5人が並ぶ。先発マウンドに上がるクリス・セール(ボストン・レッドソックス)は1位ながら、その差はほとんどないに等しい。

 ただ、デーブ・ロバーツ監督(ロサンゼルス・ドジャース)もA.J.ヒンチ監督(ヒューストン・アストロズ)も、先発投手を誰にするかについて、それほど悩むことはなかったはずだ。両監督が相談して、昨年と同じシャーザーとセールに決めたわけでもあるまい。

 今年のオールスター・ゲームは、ワシントンD.C.のナショナルズ・パークで開催される。ナショナルズ・パークは、シャーザーのホーム・グラウンドだ。

 ア・リーグの防御率トップ5のうち、4位のジャスティン・バーランダー(アストロズ)はオールスター・ゲーム直前の試合に登板した。それでも、1イニングであればオールスター・ゲームに投げられるが、バーランダーはそうしない。また、2位のトレバー・バウアー(クリーブランド・インディアンズ)と3位のブレイク・スネル(タンパベイ・レイズ)は、代替選出だ。バウアーはバーランダー、スネルはコリー・クルーバー(インディアンズ)の代わりに選ばれた。

 代替の投手が先発登板することはまずなく――するのであれば最初から選ばれているだろう、よって、残るはセールと5位のルイス・セベリーノ(ニューヨーク・ヤンキース)となる。数値はともかく、1位と5位ならそう批判は起きそうにないし、前年までに積み重ねてきた実績も差がある。ちなみに、バウアーやパトリック・コービン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)もオールスター・ゲーム直前に登板したが、彼らは投げる意向(起用されれば)を示している。

 外野手のポジションの割り振りも、そう難しくなかったと思われる。ナ・リーグはファン投票で選ばれた3人のうち、2人がライト、1人はレフトを定位置としているが、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)はセンターも守れる。実際、前半戦はセンターとして18試合に出場した。ア・リーグはライトが2人、センターが1人。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)はマイナーリーグでも未経験のレフトを守るが、センターほどは大きな問題にはならないだろう。今年のスプリング・トレーニングでは、ライトだけでなくレフトでも守備練習をしていた。

筆者作成
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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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