中国の偵察気球発見の背景に“UFO”!? 機密報告書によると岩国米軍基地も偵察されていた? 米報道
米領空に侵入し、撃墜された中国の偵察気球。10日には、アラスカ領空に侵入した未確認飛行物体が米軍により撃墜され、11日にも、カナダ北西部上空を飛行していた未確認飛行物体が、米軍とカナダ軍による北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)により撃ち落とされた。
UAPの調査が偵察気球発見を助けた
未確認飛行物体というと“Unidentified Flying Object”の頭文字を取って“UFO”と呼ばれているが、米ABCテレビは、米情報機関が、近年、米軍により報告されたUFOの調査を行っていることが、中国の偵察気球の発見に繋がったのではないかとする、ある米高官の見方を紹介している。
もっとも、“UFO”については、米連邦政府は“Unidentified Aerial Phenomena”の頭文字を取って、“UAP”(未確認空中現象)という用語で呼ぶようになっているので、以下ではUAPとする。
その高官は、中国が気球を用いて他国を偵察していることを確認する手段の一つとして、米情報機関とペンタゴン(米国防総省)が行っている何百もの“UAP”に関する調査が助けになっていると見ているようだ。
UAPの中には敵対国が開発した技術が使われている可能性も
“UAP”の真相究明はペンタゴンの「全領域異常解決局」と国家情報長官オフィスが行っているが、先月発表された国家情報長官オフィスの最新報告書によると、報告されている“UAP”の数は、2022年8月30日時点で510件に上る。そのうち、366件が、2021年夏に最初の報告書が発表されて以降報告された“UAP”で、その内訳は26件がドローン、163件が気球あるいは気球のような存在、6件が鳥やゴミなどの空中に散らかっているものであるという。つまり、“UAP”の多くは、地球に端を発する気球や気球のような存在だとしている。
その一方で、171件については、まだ何であるか説明がついていない。また、2021年6月25日発表の報告書によると、説明がつかない“UAP”の中には、中国やロシア、その他の国や非政府組織により開発された技術によるものも含まれている可能性があるという。
岩国米軍基地も偵察されていたのか?
実際、米紙ニューヨーク・タイムズは、先月議会に出された機密報告書の中で、競合国が未知の最先端技術と見られるものを使って空中で偵察を行った可能性があるとする事件が少なくとも2件議論されているとする、ある高官から得た情報を報じている。報告書はそれがどの国による偵察であるかは明らかにしていないが、高官たちはその国は中国だと見ているという。
また、その機密報告書は、他国による偵察が行われていたと考えられる場所として、ネバダ州のファロン海軍航空基地と日本の米海兵隊岩国航空基地を言及しているという。もっとも、その偵察の背後に中国がいることは明確には言及されていないようだ。
ロイター通信によると、バイデン大統領は9日、中国の偵察気球について、安全保障上「重大な違反ではない」との見解を示したものの、「国際法に違反する。米国の領空だ。いったん領空に入れば、われわれはそれを自由にできる」とも言及している。中国は撃墜を過剰反応だと猛反発しているものの、撃墜を判断した背景には、機密報告書が示しているとされる“未知の最先端技術を使った偵察”という安全保障上のリスクがあったのではないか?
機密報告書で、偵察されていたと考えられている米海兵隊岩国航空基地がある日本は、中国の偵察気球の侵入を発見した場合、どんな対応に出るのだろうか?
(関連記事)
中国の偵察気球の米領空1週間飛行は、ならず者国家のロシアや北朝鮮に危ないメッセージを送ったのか?
ゼロコロナ抗議デモ「習氏が中国全土を統制できないことの表れ」「中国はスパイ」超タカ派ボルトン元補佐官