通算9本塁打の投手がバットを持ってオンデック・サークルへ。10本目のホームランを狙った!?
8月6日、先発マウンドに上がったザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、打席にも立とうとした。
4回表、2死一塁の場面だ。オンデック・サークルには、バットを持ったグレインキーがいた。MJ・メレンデスが討ち取られ、イニングは終わったが、出塁していれば、次はグレインキーだった。
グレインキーは、レギュラーシーズンの通算600打席で、打率.225と出塁率.262を記録している。ホームランは9本、三塁打は1本、二塁打は29本だ。
最後の2021年は2打席で2打数0安打ながら、この年のワールドシリーズは3打席で3打数2安打。3打席目は代打として起用され、ヒットを打った。当たり損ねではない、文句なしのクリーン・ヒットだ。
ア・リーグに加え、ナ・リーグも投手は打席に立たない「ユニバーサルDH」となったのは、2022年からだ。短縮シーズンの2020年もそうだが、これは特例。その前と、2021年のナ・リーグにDHはなかった。
2年ぶりの打席が実現しかけたのは、アクシデントによるものだ。2回表に捕手のサルバドール・ペレスが死球を受け、その裏から、DHのフレディ・ファミーンがマスクをかぶった。DHの解除により、ペレスの打順にはグレインキーが入ることになった。
グレインキーは、4回裏も投げた。だが、5回表の先頭打者として打席に立つことはなく、代打を送られた。
なお、ワールドシリーズの最後の打席は、第5戦のこちらも4回表、その時点のスコアも同じ4対5だが、アクシデントではなかった。この試合はDHがなく――第6戦以降はア・リーグのチームのホーム・ゲームなので、公式戦最後のDHなし――投手に打順が回ってきた。ヒューストン・アストロズのダスティ・ベイカー監督は、代打を起用したいと考えたが、試合中盤の1死走者なしで打者を使うのはもったいない、終盤に残しておきたいと思ったのだろう。そこで、前日の試合に投げ、投手としてはよく打つグレインキーに白羽の矢を立てたというわけだ。
グレインキーは、今年10月に40歳となる。今シーズン限りで引退するかもしれない。ロイヤルズは、先月下旬から今月上旬にかけて7連勝を記録したものの、それでも、シーズン全体の白星は黒星の半数に届いていない。思い出作りというわけではないが、シーズンが終わるまでに、グレインキーを打席に立たせてもいいような気がする。
また、グレインキーは、ホームランのみならず、通算盗塁も二桁にリーチをかけている。グレインキーの盗塁については、2年前にこちらで書いた。