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”ハリルジャパン”の試金石。ブラジル戦は守備でハメる[4−2−3−1]か。[4−3−3]と併用も。

河治良幸スポーツジャーナリスト
「ブラジル人がどうプレーするかは完璧に把握している」とハリルホジッチは豪語する。(写真:ロイター/アフロ)

日本時間の今夜フランスのリールでブラジルに挑む日本代表は3日間の非公開練習で戦術面をみっちりとトレーニングし、宿舎でのミーティングでブラジル対策を練ってきた様だ。対戦相手のスカウティングに定評があるヴァイッド・ハリルホジッチ監督はかつてブラジルW杯でアルジェリアがドイツに挑んだ時を振り返り、「あの時と同じ。特別な準備をしている」と語った。

過去3試合で11失点で無得点という惨状だが、今回は最もブラジル対策を準備して臨む試合になることは間違いない。相手はチッチ監督がすでに先発を予告した通りならば、下記の布陣になる。

         ガブリエル・ジェズス

 ネイマール                 ウィリアン

     フェルナンジーニョ   ジュリアーノ

            カゼミーロ

マルセロ   ジェメルソン   チアゴ・シウバ  ダニーロ

            アリソン

[4−3−3]で中盤はカゼミーロをアンカーに置く逆三角形の形だ。それに対し、日本はしっかりと組織を作りながら攻撃を阻み、ボールを奪えば大迫勇也を起点とした素早いカウンターで少ないチャンスを仕留めに行く構図になるだろう。そこで有効になるのが[4−2−3−1]だ。中盤でマークが噛み合う形になり、少なくともマークを外さない限り、中盤の誰かはフリーにならない。

トップ下の位置でカゼミーロのマークを担当するのは初選出の長澤和輝になると予想する。ハリルホジッチ監督が「守備での役割をしっかりこなしつつ、攻撃でも違いをもたらせる数少ない選手」と評価する長澤はレアル・マドリーの主力選手にしつこくプレッシャーをかけながら、攻撃に転じれば中盤とDFラインの間に顔を出し、前線の仕掛けをサポートしていく役割が与えられるのではないか。今回のパフォーマンス次第で戦術的なキーマンになっていく可能性がある。

長谷部誠と山口蛍がファーストチョイスとなると見られる2ボランチは、守備面でジュリアーノとフェルナンジーニョをチェックしながら、周囲のサポートもこなすという非常に重要なタスクを担う。ただ、本当に自陣深くまで押し込まれた展開では[4−2−3−1]という相手にハメるシステムがマイナスに働くこともありうる。そこで長澤が一時的にインサイドハーフの片側を埋め[4−3−3]、左右のウィングが中盤のサイドを埋める、事実上の[4−1−4−1]に調整して厳しい時間帯を乗り切り、また流れが来たら[4−2−3−1]に戻してアクティブな守備をしていく展開がイメージしやすい。

ボランチのポジションは最も消耗するポジションになるため、井手口陽介や遠藤航にも出番が回ってくるかもしれない。長澤のポジションは試合の状況によって倉田秋がつとめるか。何れにしても親善試合であるため、前線の3枚も含めて交代カードをほぼ使い切ることになるだろう。ただし、テストのためのテストではなく、あくまで勝利を意識したカードの切り方になるはずだ。

アルジェリア代表でもハリルホジッチ監督は[4−2−3−1]をベースとしながら、配置する選手や対戦相手との噛み合わせて選手の組み合わせや形を変えて臨んでいた。日本の場合は[4−3−3]をメインとして、相手との関係に応じて選手や形を組み替えていく”カメレオン”の戦い方になるだろう。ブラジル戦はその一端が見られる試合になる。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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