ノート(16) 「自殺防止房」に入ってみて分かった“人質司法”の問題
~逡巡編(1)
勾留初日
カレンダー
再び横になったものの、未明に牢屋主に起こされたことで目が冴えてしまい、眠れなくなった。そこで、薄ぼんやりとした蛍光灯の明かりの下で、改めて幅2m、奥行き4mほどの「自殺防止房」の中を見回してみた。
やはり部屋を取り囲む白いコンクリートの壁には物を引っ掛ける突起物がどこにもなかったが、一つの面を見ると、1枚のカレンダーが貼り付けられているのが分かった。7月から12月までの6か月表記で、矯正協会が発行しているものだった。
――ずいぶん露骨な癒着(ゆちゃく)だな。
この矯正協会は、もっぱら刑務所や拘置所といった矯正施設の職員らを会員とし、元幹部や元職員らが数多く天下ってきた団体だった。今でこそ改善されたが、以前は法務・検察官僚の天下りポストでもあり、トップの会長職は「元検事総長の指定席」とも揶揄(やゆ)されていたほどだった。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2016年5月
税込1,100円(記事3本)
2016年5月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。