松濤美術館の攻めた企画「装いの力 異性装の日本史【東京都渋谷区】
「装いの力 異性装の日本史」展@渋谷区立松濤美術館に滑り込みで行ってきました。
このショッキングピンクのキービジュアルを渋谷のあちこちで見かけたけれど、わちゃわちゃした街なかでもひときわ目を引くインパクト。日本の異性装の系譜がぎゅっと凝縮されています。
少し前には、渋谷スクランブル交差点前に このピンクの巨大看板がでーんと。
館内にも今展の攻めたパネルがあちこちに。
まずは古代から近代までの異性装をテーマにした地下1Fの第1会場へ。
異性装とは、男女を社会的・文化的に区別する記号としての衣服によって、生物学的な性の境界を越えること。日本で初めて異性装を実践したのは、ヤマトタケルだったそう。異性装という観点で女武者や美しい若衆を描いた画や、能の装束、歌舞伎の錦絵などをキュレーションした展示がとても新鮮でした。
2階の第二会場は雰囲気がガラリと一変。エレベータホールに、いきなりドラァグクイーンがお出迎え☆☆ ハロウィンの渋谷と地続きな雰囲気です。
展示室の作品撮影はNGなのですが、ここは撮影スポットなのでみんなパシパシ撮影していました。が、フラッシュをたくと・・・あらびっくり!!
グラマラスなドラアァグクイーンの顔が、口裂け女や髭面のおっさんや白髪のおじいさんの顔になる…というホラーな仕掛けが…!
そしてさらに2Fの奥には、ドラァグクイーンのエンタメダンスパーティ DIAMONDS ARE FOREVERによるキラッキラなインスタレーションが待ち受けていました…。松濤美術館さん、いろいろ攻めてますねえ。
2F展示室のテーマは、現代と未来の異性装。『リボンの騎士』や『ベルサイユのばら』『ザ・ロッキーホラーショー』『薔薇の葬列』『蔵の中』など、戦後のサブカルチャーの世界から異性装を読み解く展開も面白く。さらに、性別も年齢も超越した異性装のアーティスト森村泰昌氏の作品や、ダムタイプの貴重なパフォーマンス記録映像もみられて、いい意味でお腹いっぱい 大満足。
ひとつだけ残念だったのは、すごく攻めた画期的な内容だっただけに、年内いっぱい公開していたらよかったのになあという点。見逃した方は、松涛美術館のオンラインショップで会場図録が買えるので、売り切れる前にぜひ!
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渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
アクセス::京王井の頭線「神泉駅」より徒歩約5分、JR・東急電鉄・東京メトロ「渋谷駅」より徒歩約15分
開館時間:10時~18時
休館日:毎週月曜(祝日または休日の場合は開館)
祝日または休日の翌日(土・日に当たる場合は開館)
展示替期間、年末年始(12月29日~1月3日)
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