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石破総理が選択肢の一つであるという衆参同日選について考える! #専門家のまとめ

鈴木崇弘政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー
2024年に衆参同時選挙はあるのだろうか?(写真:イメージマート)

 石破総理が、テレビ番組で、衆参同日選について問われ、その可能性もあることと答えた。これにより、メディアなどでも多くの関連の記事などが書かれたり、政界でもその可能性が言及され議論され、この問題も注目を集めている。今年本当に同日選が行われるのだろうか?関連する記事をまとめ、提示することで、国民や有権者の方々が、この問題についても考えるための共通の土台を提供する。

ココがポイント

石破茂首相は28日(中略)「衆院と参院の時期が同じだったとしても、同時にやってはいけない決まりはない」と述べた。
出典:共同通信 2024/12/28(土)

卓郎氏は「いちかばちか勝負に出るっていう手は十分ある(中略)」と自民党が選挙で勝つ“唯一の可能性”に言及した。
出典:スポニチアネックス 2025/1/3(金)

衆参同日選挙とは、衆議院と参議院の選挙を同じ日に行うことを指し、日本の政治において非常にまれな出来事です。
出典:Topics Japan 2024/12/29(日)

参院選が衆院選との同日選になったとしても、(中略)「自民大勝」とはならず、むしろ政権交代の可能性が高まるかもしれません。
出典:JBpress(日本ビジネスプレス) 2025/1/1(水)

エキスパートの補足・見解

 石破政権は、昨年成立したが、先の衆議院選挙で自民党が大敗し、少数与党に転落した。そのため、内閣運営、特に国会での野党との調整・対応において、絶対多数の与党時とは異なり、政策イッシュー毎の慎重な配慮等が必要で、非常に難しいかじ取りを迫られている。しかも石破総理は、自民党内でも総理の支持グループは「少数勢力」であり、強力な支持があるとはいえない。

 石破総理は、この状況に対抗するために、党内の支持を維持・拡大させながら、野党と渡り合い、時に協力や妥協等を得ながら、時に自身が妥協をしながらの政権運営を強いられているのだ。そのために、同総理は、党内の求心力を維持すると共に、党外の野党に対しては緊張感と混乱や不安を起こし、党内外の支持を維持あるいは拡大し、内閣運営をより円滑にまた混乱を抑えて行っていくために、同日選の可能性も活用しているといえる。大連立の可能性の話も同様のコンテクストにおいて、理解すべきだ。

 政治は何でもありの世界なので、「同日選」も「大連立」も可能性がゼロでない。しかし、いずれにしても石破総理そして政治全体が、日本の政治の新しい可能性を見出してくれることを期待したいところだ。

政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。新医療領域実装研究会理事等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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