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急浮上の「大連立」問題を考えよう! #専門家のまとめ

鈴木崇弘政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー
石破総理は、大連立する選択肢はあると示唆している(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 石破総理は、最近まで否定していた「大連立」の可能性もあることを示唆した。これを受けて、日本の政治においても、大連立について、政界やメディアでも急激に注目が高まり、その可能性について賛否の議論が起きている。そこで本記事では、その問題について考えていく土台となる情報を提示する。

ココがポイント

石破茂首相は(中略)文化放送のラジオ番組で、与野党の主要政党による「大連立」について、「選択肢としてはある」と語った。
出典:朝日新聞デジタル 2025/1/1(水)

立憲民主党の野田佳彦代表は4日、三重県伊勢市で記者会見し、自民党と連立政権を組む「大連立」に否定的な考えを示した。
出典:時事ドットコム 2025/1/4(土)

大連立(中略)とは、議院内閣制の国家における連立政権(2つ以上の政党が連立して内閣を構成する政権)の特殊な一形態。
出典:ウィキペディア日本語版 2007/11/3(土)

渡辺恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆は2007年、(中略)「大連立政権」の実現に向け動いた人物として知られる
出典:朝日新聞デジタル 2024/12/19(木)

エキスパートの補足・見解

 政治は、闘争であり、競争、ダイナミズムが常に存在し、何らかの方策で、政権運営が困難で厳しい状況でも、新しいパスや可能性を見出し打開していく必要がある。他方、闘争だけでは、新しい可能性や大きな方向性を見出しにくいので、安定性を生む工夫も必要だ。それらの観点から、石破総理は、「大連立」の可能性について言及したのだろう。しかし目的や意義のない数合わせでは無意味だ。

 現在の政治や政策形成は、代替や別の可能性がなく、戦後最困難な状況にある。それらの信頼が失われている今は、政治の「空気」「雰囲気」を変える必要がある。その打開策になるなら大連立もありだ。

 しかし自公与党と立憲民主党の大連立では、どのような意味があるのだろうか。両陣営とも、国民からの信頼を得ていない。2000年代自民党と民主党による大連立構想があった。当時民主党は少なくとも国民から大きな期待と信頼があり、自民党は信頼を失っていた。その状況では、大連立の意味はあったといえよう。しかし、今の状況は、当時と大きく異なる。何でもありなのが政治だが、その活動の意義やタイミングは常に問われる。今の政治は、その回答をもっているだろうか?

政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。新医療領域実装研究会理事等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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