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アップル、まもなく新型「iPad」発表か、高性能プロセッサー搭載でパソコンを脅かす存在に

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

オールシングスDなどの海外メディアの報道によると米アップルは10月22日にイベントを開き、タブレット端末「アイパッド(iPad)」の新モデルを発表するという。

最新プロセッサーや高精細ディスプレイを搭載

アップルは昨年10月23日に第4世代アイパッドと小型モデル「アイパッドミニ」を発表、それぞれを11月に発売しており、これが両製品の現行モデルとなっている。

報道によると、新しいアイパッドは本体の大きさが現行と同じで、第5世代アイパッドが9.7インチ、第2世代アイパッドミニが7.9インチになる見込み。

ただし前者は薄く、軽いデザインになり、カメラ性能が向上する。またプロセッサーは最新のアイフォーン「5s」で採用している64ビット「A7」を搭載すると見られている

後者のアイパッドミニについては、初めて高精細「レティナ(Retina)」ディスプレイを採用し、こちらもA7プロセッサーを搭載する。

いずれについても、アイフォーン5sに組み込まれている指紋認証機能「タッチID」を搭載するかは分からないが、そうした噂はあるとオールシングスDは伝えている。

このほか、アップルはパソコン基本ソフト(OS)の新版「OS X(マーベリックス)Mavericks」と、プロ向けデスクトップパソコン「Mac Pro」の価格や発売日を発表する可能性があると米スラッシュギアなどが伝えている。

アップルの新製品がなかった4〜6月は市場規模縮小

アップルは初代モデルから第3世代モデルまで、毎年春にアイパッドを発売してきた。ところが前述の通り、同社は第4世代モデルとアイパッドミニを昨年11月に発売し、市場投入サイクルを変更した。これにより今年4〜6月期の世界タブレット市場は規模が縮小したと言われている。

例えば米IDCの調査リポートを見ると、同期間の世界におけるタブレット端末の出荷台数は4510万台で、前の四半期の1〜3月期から9.7%減少した。

4〜6月期の出荷台数が1〜3月期を下回るのは初めてとのことで、この市場におけるアイパッドの影響の大きさがうかがえると指摘されている。

アイパッドの出荷台数だけで見ると、4〜6月期は1460万台だった。これは1〜3月期の1950万台から25.1%減少、1年前の1700万台からは14.1%減少している。

IDCのような市場調査会社が7〜9月期の調査リポートをまとめるのは11月頃で、まだその後の推移は分かっていない。だが、おそらく7〜9月期についてもアイパッドの台数は減少していると考えられる。

「新型iPadの登場で法人向けパソコンのシェアが減少」

そうした中、もし報道の通りアイフォーン5sに採用された最新の高性能プロセッサーがアイパッドに搭載されれば、パソコン市場を脅かすと言われている。

米シーネットはアイパッドの新モデルが、法人向けパソコンのシェアを奪うとするドイツ銀行のアナリスト、クリス・ホイットモア氏の予測を伝えている。

それによると「ハスウェル(Haswell)」の開発コード名で呼んでいた米インテルの第4世代コアプロセッサーは、需要を喚起するほどのインパクトを持っていないという。

また8月の新学期商戦でもパソコン販売は振るわなかった。ウィンドウズXPのサポートが終了する来年4月を前に企業はウィンドウズ7への移行を終え、この時点で買い替えサイクルはピークに達する。

アイパッドをはじめとするタブレット端末はその後も数年にわたりパソコンのシェアを奪っていくと同氏は予測している。

JBpress:2013年10月10日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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