“顔はついていればいい”の背景、本当の意味は「中身や人間性こそ、妥協せずに見極めて」
◆「顔はついていればいい」の真意は……
3月10日放送のJFN『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』に出演し、有吉さんと対談しました。番組内で有吉さんから「みんな顔の好みってうるさいでしょ?」と聞かれ、私が「顔はついていればいいと言っている。サラッと見ればいい」とお答えしたことが話題になっているようです。今回は婚活で「お相手の顔ばかり気にする人」をテーマにお伝えします。
まず申し上げますと、「顔はついていればいい」というのは、「見た目の悪い人で妥協しなさい」ということではありません。もちろん、どうしても嫌だという場合はやめていいのです。
結婚相手は、かけがえのない人生のベストフレンドで、「困ったときは応援するよ、支えるよ」と言ってくれる一番の理解者であってほしいもの。当社が全力で婚活をサポートしているのは、「結婚によって誰かがそばにいてくれるという精神的な安定や、毎日大切にされていることを実感する喜びを知ってもらいたい」という想いからです。結婚は点ではなくて線。50年、60年と長く続いていく日常生活を共にするときに必要なのは、優しい性格や尊重の気持ち、尊敬できる内面です。
婚活をしている皆さんには、一緒にいると1人でいる時より楽になれる人を選んでほしいので、「顔だけで選ぶよりも中身を見てほしい」という意味で、「顔はついていればいい」とお伝えしています。「楽」というのは、2人の収入を合わせて経済的に楽になることかもしれないし、家事を分担して楽になることかもしれない。悲しいことは半分になり、嬉しいことは2倍になる。そういう意味でも、結婚は今よりも楽に、幸せになるためにしてほしいと思っています。
◆婚活現場で「相手の顔ばかり気にする人」の実態
婚活現場で、相手の顔ばかり気にする人は20人に1人くらいいらっしゃいます。理想通りになる人はだいたい半数以下です。
結婚相談所では、システム上で顔写真とプロフィールを見た上でお見合いのお申込みをしていただくことが多いのですが、その時に顔ばかり気にする人は、「この人、変な顔をしているから嫌です」とすぐに突っぱねてしまいます。内面を知ろうとするどころか、基本的な項目さえも見ていないことがしばしば。
39歳会社員の女性は、34歳~42歳までのイケメンがいいと主張。私から見たら十分素敵な人でも、「この顔は……」と否定的でしたが、カウンセリングを通じて「まずは絶対嫌というほどじゃなければ、お申込みをして会ってみましょう。写真よりも会うと魅力が伝わる方もいますから」と説得していきました。結果、デートで丁寧にエスコートしてくれたり、「大丈夫? 疲れてない?」と優しく気遣いをしてくれたりする彼の様子に胸を打たれ、「優しい人だなと思い、評価がひっくり返りました」と言い、理想通り42歳会社員の男性と成婚されました。
頑なで自己認識がずれていると、上手くいかないケースもあります。50歳事務職の女性は、「年齢は52歳が上限、とにかく顔重視、オジサンは嫌」と言い、見た目の話ばかり。一方、自分のことは「みんな私に会うと、可愛い子が来たって喜んでくれるんです」「相談所に来る途中、男性に声をかけられちゃいました」と過大評価気味でした。
彼女は30代半ばから恋愛をしていないので時が止まっていて、同世代を「老けてるオジサン」と拒否してしまいます。また、職場が年配男性中心で、若い世代が入ってこないので、50代の今も「○○ちゃん」と呼ばれ可愛いキャラのまま過ごし、感覚が少しずれています。「あなたと5歳しか変わらない55歳で、一度結婚されているので人間力も高いですよ」と紹介した男性に対し、「オジサン過ぎる、イケメンじゃないと男性に見えないんです」と譲りませんでした……。
◆他の条件は目を瞑り「顔とスタイル」一点突破した事例
理想の顔とスタイルにこだわって幸せになった方も人もいます。その女性は、39歳で入会して、40歳で成婚。41歳でお子さんもでき、幸せに暮らしていらっしゃいます。
彼女に「どうしてそんなに顔にこだわるの?」と聞いたら、「好きな顔のタイプがあるんです。でも、元カレとは似ていない顔がいい。振られたことを思い出したくないので……」と言います。「家事力や収入は一切気にしないので、とにかくスタイルがスラッとしていて若くてカッコいいイケメンがいい!」と。
絶対に譲れない条件がある場合、あれこれ多くを望まないのは良い心掛けです。ただ、しっかり将来を見据えて、それ以外の点を本当に自分がカバーできるか、目を瞑れるかを具体的に考え、自問自答していただくことを勧めます。
彼女が成婚した相手は6歳年下の34歳・研究職。コミュニケーションは受け身で、休みの日は静かに絵を描いているそうです。女性は、話し上手で何事もエスコートできるタイプなのでまったく問題ないとマッチング。あるとき彼女が「仕事で約束の時間に遅れます」と連絡したら、「心配なので、僕がそちらに行きます」と申し出てくれるなど相手に合わせる優しい一面も。美しい顔立ちと、繊細でピュアな内面は、彼女の理想にぴったりでした。
◆婚活は感情無用。「顔は好きだけど……」と違和感に気づければラッキー
「顔が好み」から入りがちな人が気を付けたいのは、上下関係や落差が生まれやすいこと。相手が“憧れの人”になるとはじめはドキドキする楽しさがありますが、自分が相手に合わせる立場になります。生活を共にするうちに「塵も積もれば山となる」で、我慢が溜まっていくのはつらいでしょう。顔がいいからと言って、例えばモラハラや過度なケチを一生許せますか? 顔で目を瞑って、大事なところを見過ごすとあとで苦労します。
また、顔だけで選ぶといわゆる蛙化現象が起こりやすく、だんだんと減点法で気持ちが冷めてしまうことも。でも、交際期間に「顔は好きだけれど、こういうところが受け入れられない」と気づければ、それはそれでラッキー。結婚生活で年齢を重ねれば見た目は変わることも、あらかじめ織り込んでおいたほうがいいでしょう。
多くの人は、「〇〇にこだわる」と言っているかと思えば、「やっぱり。。。」と揺れ動きます。例えば年収を条件に絞っていたはずなのに、やっぱり別の人がいいと言うので、「Aさんは条件通りだけど、Bさんのどこがいいの?」と聞いてみたら、「Bさんの顔が好きで……」と答える方がいます。
一時の気持ちでお申し込みをするのも否定しませんが、本来、婚活に感情は無用。恋をしてしまって盲目になる前に、必ず自分の未来予想図を考え、お相手が共に歩んでくれそうな方なのか経済面や仕事、性格の相性をすり合わせ、人間性や中身を見極めてから好きになるのでも遅くありません。
◆婚活を通して、相手のいいところに目を向ける心がけを
プロフィールの顔写真1枚にこだわって、間口を狭め、出会えるはずの人を遠ざけてしまうのはもったいないこと。「実際に会って話してみたら素敵な人だった」ということは多分にあります。
顔だけに限りませんが、1つの条件にこだわり過ぎる人には、「この方はどう?希望の条件からは外れるけれど、職業もご立派で、お人柄もいいですよ。まずは会ってみませんか?」というふうに、他のいいところに目を向けられるようにお声がけしています。
お付き合いしていると、その人の本当に良いところに、あとで気づいてくるもの。いいところが見えてくると、最終的には「人間の魅力は顔だけじゃわからなかったな」と実感していくものです。