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日ハム清宮の本塁打と三振。対戦した2人のホークス100番台左腕、明暗くっきり

田尻耕太郎スポーツライター
5月以来の公式戦登板が今季初先発だった島袋洋奨

ソフトバンク、サヨナラ機を生かせず

8月19日、福岡ソフトバンクホークスはファーム交流戦で北海道日本ハムファイターズと対戦した。

【8月19日 ファーム交流戦 タマスタ筑後 2,599人】

日本ハム   200000000 2

ソフトバンク 200000000 2

<バッテリー>

【F】田中瑛、田中豊、玉井、立田、白村――郡

【H】島袋、渡邉雄、二保、高橋礼、モイネロ、寺原――張本

<本塁打>

【F】清宮17号

特大アーチには筑後の若鷹ファンも沸いた
特大アーチには筑後の若鷹ファンも沸いた

<戦評>

 ソフトバンクが先勝して迎えた日本ハムとの交流戦2試合目。立ち上がりに得点を取り合ったが、2回以降は打線に決定打が出ずに両チームゼロ行進で引き分けた。

 初回、日本ハムは清宮に2試合ぶりの17号2ランが飛び出して先制。その裏のソフトバンクは1死一、三塁から4番の江川が右越えに2点二塁打を放ち追いついた。

 その後、日本ハムは7回以外毎回走者を出し、8回には1死一、二塁とするも後続が続かず。ソフトバンクも8回の1死三塁、9回の1死一、二塁の好機を生かせなかった。(了)

被弾の島袋洋奨「悔しさしかない」

 ソフトバンクの先発は背番号143の島袋洋奨。じつに2軍公式戦登板は5月24日以来で、先発は今年初めてだった。

 背番号3桁の育成選手となって迎えた今季は、3軍が主戦場となってしまった。その3軍ではここ最近はずっと先発を務めてきた。今季ここまで53回を投げて66奪三振。8月4日の愛媛マンダリンパイレーツ戦では8回4安打12奪三振3失点で勝利投手に。7月28日の徳島インディゴソックス戦でも7回で10奪三振の力投を見せた。

 アピールを続けて掴み取った公式戦先発の大チャンスだ。しかし初回、清宮に大きな一発を食らって出鼻をくじかれた。

「スライダーが甘く入ってしまいました。相手のことはまったく意識をしませんでしたが、今日は緊張して、3軍でやって来たピッチングを出すことが出来ませんでした…」

 視線を落として語った左腕。前回登板の3軍北海道遠征では最速147キロをマークし、140キロ台中盤を常時計測したが、この日は130キロ台の直球もしばしば。「腕が振れていなかった。今日に関しては悔しさしか残っていません」。3回2死二塁で再び清宮を打席に迎えるところで、無念の投手交代を告げられた。

渡邉雄大、左キラーの矜持

清宮から三振を奪った渡邉雄
清宮から三振を奪った渡邉雄

 代わってマウンドに上がったのは背番号140の渡邉雄大だ。こちらも4月7日以来という久々の2軍公式戦マウンドだった。

「清宮には絶対に打たれたくない」

 前日からの打席の傾向を分析し、「不用意に直球で行くと打たれる可能性が高くなる。スライダーの方がリスクが小さいと思った」と全球スライダー勝負。2球で簡単に追い込み、2ボール2ストライクから見事空振り三振を奪った。

 渡邉雄は続く4回も登板。先頭の高濱には安打を許したが、続く左打ちの森山を遊ゴロ併殺に仕留めた。1回3分の1、2安打、2奪三振、無失点とまずまずの結果を残した。

「調子がいい方ではなかったけど、とにかく結果が欲しかった。右打者には打たれたけど、左打者は抑えることが出来たので」

 来月で27歳になるオールドルーキー。今季開幕直後は変則左腕の武器を存分に発揮して、注目も浴びた。その後故障に泣かされ、ようやくマウンドに戻ってきた。

「これからも結果にこだわっていきたいです」

 今季の支配下登録への期限はとっくに過ぎており、彼らは難しいモチベーションの中で酷暑の夏を戦い抜いている。「来年」を見据えるが、ユニフォームを着られる保証はどこにもない。

 それでも、2人に限らず、背番号100番台の男たちは皆、同じ言葉を口にする。

「今、やるしかないですから」

〈文・写真 田尻耕太郎〉

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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