観測史上最大12,500,000,000トンの氷が一日で融解 グリーンランド
大部分が北極圏に属するグリーンランドは、島の82%が氷で覆われた世界最大の島です。にもかかわらず、なぜ「緑の島」なのかというと、命名者がこの地に移住する人が増えることを願ってつけたからだそうです。
言ってみれば嘘も方便的な感覚でつけられた名前なのですが、近い将来この名前が真実味を帯びてくるかもしれないと思わせるニュースが飛び込んできました。
グリーンランドの氷融解の実態
下の動画は先週のグリーンランドの様子です。
氷の合間を、濁った水が轟音を立てながら勢いよく流れていくのがわかります。
デンマークの気象局(グリーンランドはデンマークの自治領)によると、グリーンランドでは先月31日の一日だけで110億トンの氷が融解し海に流れたのだそうです。110億トンとは、オリンピックプール440万個分の水量に匹敵します。
同日のグリーンランドの氷床の面積は56.5%にまで縮小しました。
さらに翌日(1日)には、それを上回る125億トンの氷が解け、一日の氷の融解量としては1950年の統計開始来最大となりました。
この二日間で溶けた氷の量は、フロリダ州全域を5インチ(13センチ)の深さで浸水させるほどだといいます。
6月から7月までの2か月間で融解した氷の量は2,400億トンにも及んで、この時期の平均である600~700億トンをはるかに超えました。融解シーズンは8月まで続きます。
もしグリーンランドの氷床が全て溶けたなら、世界の海面水位は7.2メートル上昇する可能性があるといわれています。世界最大の島だけあって、グリーンランドの氷の融解は世界全体に大きな変化を与えるのです。
欧州の記録的熱波
これほどの氷が解けた背景には、ヨーロッパの記録的熱波があります。
先月27日にドイツ、ベルギー、オランダをはじめとする5か国で国内最高気温の記録が更新されましたが、その熱波が先週、北に移動しました。
1日(木)グリーンランドの標高3,000メートルの地点で2.7℃の気温が記録されました。もしこの数字が正式なものとなれば、観測史上最高気温となるとのことです。
異常高温の影響
欧州のコペルニクス気候変動サービスは、今年7月は観測史上最も暑い月となったと発表しました。
ヨーロッパだけでなく、北米も高温となって、例えばアラスカで観測史上最も暑い7月となったほか、世界最北の居住地として知られるカナダのアラートでは、観測史上最高となる21℃まで気温が上がりました。
北極圏の異常高温は氷の融解のほかにも、前代未聞といわれる大規模な山火事を発生させています。6月からの北極圏の山火事の数は100件以上に上り、二酸化炭素排出量は100メガトンに達して、ベルギーの一年間の排出量に並んだといわれています。
極地方で氷の融解や山火事が進むと、熱を反射する氷の白い部分が減り、代わりにススなどが地表面を黒くし、大地や海水が熱を溜め込んで、気温が益々上昇すると危惧されています。