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「35歳以上婚」の時代へ。妥協ではなく納得で結婚したい

大宮冬洋フリーライター

晩婚化が止まらない。厚生労働省の人口動態統計によれば、平均初婚年齢は男女ともに毎年0.1~0.2歳ずつ上昇しており、平成25年には夫は30.9歳、妻は29.3歳となった。もはや30代での結婚が当たり前になりつつあるのだ。

生涯未婚率も同時に上昇しているので、「ちょっと遅くても結婚するだけマシじゃないか」という意見もあるだろう。しかし、現実には「老い」という避けがたい問題に向き合いながらの婚活になる。

30代半ばにもなると、容姿の劣化と体力の減少を感じ始める。だからようやく「そろそろ結婚しなくちゃ」という気持ちになってくるのだが、10年以上の社会人生活で目が肥えているので「理想の異性」にはなかなか出会えない。たまに見つけても、モテ期の終わった中年の自分には振り向いてもらえないことが多い。

同時に、この年齢で子どもを作れるのか、その子が成人するまで自分は元気で働けるのか、といった不安にも直面する。さらに、親の介護も現実化し始める。

だからこそ、彼らの結婚は味わい深い。可憐ですらある。20代カップルのはしゃぎまくった結婚式などは正直言って敬遠したいが、「若くもない二人の門出」は純粋な気持ちで祝いたくなる。恋愛や結婚に関する哀愁に満ちた話を聞くのが大好きな僕は、35歳以上で結婚して5年以内の「晩婚かつ新婚さん」を訪ね歩く連載を始めている。エピソードが面白すぎて、原稿がついつい長くなってしまう。

僕自身、35歳のときに再婚をした「晩婚さん」だ。結婚に一度失敗していることもあるけれど、年齢を重ねて少しは謙虚になった。妻と軽い言い争いになったときは、常に「オレのほうが間違っているんだろうな」と感じる。すぐに謝ることもある。妻の職場は愛知県で、出版業界にいる僕の拠点は東京都。新居は「間をとって」愛知県の東部にマンションを借りた。平日の半分ぐらいは東京での単身赴任だ。

フリーライターなのにゆるい週末婚、というシュールな状況を「妥協の結果」だとは思っていない。業界で10年以上はがんばってきたからこそ、常に東京にいなくても仕事がもらえると感じている。「いつでも何でも引き受ける」ことが唯一の武器の20代だったら無理だった。原稿書きだけなら静かな地方都市にある自宅のほうが集中できるし、人口密度が低いので体が楽だ。夜もぐっすり眠れるようになった。

自分自身をある程度知った大人同士が尊敬し合い、欠点を補完し合うために一緒になるのが結婚だとしたら、人によってはそのタイミングが35歳以上になるのは仕方ないと思う。妥協ではなく、納得をしてようやく結婚するのだ。老いにまつわる問題は確かに山積しているが恐れることはない。謙虚さと相手に対する感謝を忘れなければ、二人分以上の力を発揮できるはずだから。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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