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注目される抗糖化。「こげる老化」糖化による疾病、その予防

池田恵里フードジャーナリスト
日本人に多い骨粗しょう症にも糖化は関連する。(写真:アフロ)

ようやく認知がたかまる抗糖化

抗酸化については既にメデイアなどで取り上げられたこともあり、今、注目されてきているのが抗糖化。

次代エイジングケアの急先鋒として注目が集まる糖化対策。消費者の健康意識の向上や美容意識の高まりを背景に糖化対策の重要性が認識されはじめている。抗糖化をテーマにした化粧品の登場を皮切りに、健康食品やサプリメント、健康飲料に至る幅広い商品で抗糖化素材の採用が進んでおり、今後も業界注目のテーマといえそうだ。機能性研究も年々厚みを増しており、美白や美肌を中心にエビデンスを蓄積。一方で最近では、老化促進の要因や生活習慣病リスクの拡大につながるとして、あらゆる角度から糖化リスクについて検証されている。医療費の削減、健康寿命延伸の観点からも重要なカギを握っている糖化対策。機能性表示制度の利用を目指す企業も出てきており、今後消費者の関心はますます高まりそうだ。

出典:健康産業新聞

そこで今回は糖化、そしてそれによって関連する疾病のなかで骨粗鬆症について、取り上げたい。糖化については、まだまだ認知度が低く(後述)、関連する疾病のなかに骨粗鬆症があること、その骨粗鬆症さえもあまり知らない人が多い。その一方、既に約1300万人がいるとされる骨粗鬆症は、今後、増加するとされ、予防が急務と言われている。骨粗鬆症からの骨折は、一度起こると骨折リスクが高まり、最終、要介護者となりやすい。その引き金の一つでもある糖化、そして骨粗鬆症について、ここで述べることで、少しでも予防になるのではないか、と思ったのである。

さて抗糖化については、2014年の調べでは、ようやく3割近くの人々が知られるようになった(同志社大学 生命医科学部エイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター研究員の八木雅之氏による)。とはいえ、主に糖化によって引き起こされる症状として、しわ・しみといった美容で挙げられることが多く、疾病についてはまだまだで知られていない。

糖化について

そこでまず糖化ついて。

身体の中でタンパク質と余分な糖つまり長く血液中に糖分が残っていることで、タンパク質が変性、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という名の老化物質を生成する反応をいう。簡単にいうと、糖化は「焦げる老化」、一方、ようやく知られるようになった酸化は「さびる老化」と言われている。

酸化である「身体がさびつく」イメージはつきやすく、理解もできる。しかし糖化の「焦げる」は、身体のなかでどのようなことが起こるのか、イメージがつきにくい。糖化は、酸化より老化のスピードが速いとされ、その一方でなかなか浸透しなかったのはイメージが付かなかったことも大きいと言われている。

糖化によって、引き起こされる病

糖化する、つまり余分な糖の残り、その積み重ねが糖尿病を起こし、この他に骨粗しょう症、動脈硬化、アルツハイマー 白内障なども糖化に関連しておこる病とされる。

今回、取り上げる骨粗しょう症は、本来、骨は、体を支える、血液を作る、臓器を守る、カルシウムを貯蔵する、骨代謝を行うなどの働きがあること、これは身体を作る根幹であり、それがもろくなる病である。そして骨粗鬆症患者の60%以上は、生活習慣病を合併している。

日本人は、極めて骨粗しょう症になりやすい人種とされ、先述したように既に約1300万人(骨粗しょう症学会)おり、なかでも女性に多い。「沈黙の病」とも言われ、最初は症状がない。そのため、何かの拍子でわかることが多く、わかった段階、もしくは症状が出たときには既に密度がかなり低くなっている。そして骨粗鬆症による骨折から、大きくQOLを損なう。

とはいえ、一般の女性に聞くと、驚くことに、意外に骨粗しょう症の知識がない。

「骨粗しょう症になったら、カルシュウムをいっぱい食べて」という声も・・・。しかし一端、下がってしまった骨密度をなかなか上げることは難しい。カルシュウム摂取だけだと吸収されず、ビタミンD、ビタミンKも同時に摂取することが大切である。

かかる治療費 その後 要介護に

骨粗鬆症の厄介なことは、骨折することで要介護になりやすく、骨折だけでも費用は、以下の通り。

具体的な数字を示すことで、よりリアルに感じることが出来ると思う。

頸椎椎体骨折患者に必要な治療費 約78万

合併症をゆうする症例では治療にようする費用では神経麻痺合併例8例平均345万

手術を要した場合、469万と高額。

大腿骨近位部骨折による治療費合計金額は平均140万から147万と報告されている

出典:骨粗鬆症における各種骨折の医療経済

骨折、なかでも大腿骨近位部骨折発生1年後の身体機能をみると、あまり芳しくない。

そのため、元の元から絶たないとだめで、つまり病にならないようにするためにも抗糖化は大切なのである。

抗糖化することで疾病を防ぐ

実際、日常生活の上でどのようにしたら実践したら、抗糖化できるのか。糖の多く入っている糖質・炭水化物を避けることだと思われるかもしれない。しかし弊害も多く、パン・ごはんは大切なエネルギー源でもあり、排除してしまうと偏りが生じる。

そこでちょっとした気づきで、抗糖化できる食事方法として

・起床時、朝食前にまずは一杯のお茶を飲む。

・植物繊維の多い野菜をまず最初に食べる。

・ヨーグルトを食事前に食べる。

この4月から全国4割にあたる18府県が医療負担が75歳以上重くなる見通しが発表され、今後も保険料は高水準で推移されそうだ。特に、25年、団塊の世代が75歳になるときは医療費が一段と増え、今、行っている剰余金や基金を取り崩すといった付け焼刃は通用しなくなるであろう。そのためにも、自分の身体は自分で責任を持ち、早い段階から病気の知識、予防の知識を知ることが大切になると思う。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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