神の存在と重要性に関する国ごとの考え方の違いをさぐる(2017~2020年分)

世界には多様な宗教が存在し、その多くには神となる存在が認識されている。具体的にどの宗教がどれだけ浸透しているのかどうかはともかくとして、人々の中にどこまで宗教、そして神は深く根付いているのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の公開結果から確認する。
最初に示すのは回答者の人生にとって神の存在はどれほど重要か。1~10の選択肢で答えてもらっており、その平均値を国単位で算出している。なお具体的にどの宗教の神などかは指定していない。あくまでも回答者が認識した対象である。

エジプトやフィリピン、イラン、コロンビアのような宗教観の強い国では軒並み高い値が出ている。ブラジルまで含め、これらの国では平均値が9.00を超えているほど。おおまかにはイスラム系の国で値が高い印象がある。他方、中国やスウェーデン、オランダ、イギリスなどは低い値に留まっている。歴史的背景や現状の社会体制なども多分に影響しているのだろう。
日本はといえば4.52。対象国の中ではやや低いといったところ。
続いて神の存在を信じるか。ここでは対象を特定せず、回答者が神という言葉から想像する対象の存在について尋ねている。

おおよそ自分の人生で神の存在が重要だと思っている国ほど神の存在そのものを信じる傾向があるようで、1つ目のグラフの上位国がこちらでも上位を占める形となっている。当然といえば当然の話ではあるのだが。複数国が9割を超えており、特にフィリピンとイランは99.0%を超えほぼ全員という結果が出るほど。
日本はといえば39.2%と4割近く。八百万の神(やおよろずのかみ)も神には違いないのだが、それにしては少ない値ではある。
■関連記事:
【世界にとってもっとも脅威となる問題は? 世界各国の人に聞いてみました】
【他国と大きく異なる日本の若者の宗教観・「よりどころになる」は2割足らず】
※World Values Survey(世界価値観調査)
世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。