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史上初、名球会への特例入会に感謝!上原浩治が考える入会資格の基準

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日本からのニュースに心が躍った。9日、日本プロ野球名球会の総会で私と藤川球児氏を初めて「特例」で会員入りを決定した。

入会資格は長らく、「投手は200勝以上、打者は2000安打以上」。メジャー移籍や投手の分業制が進み、2003年にメジャーの成績を加えた日米通算の成績と、抑え投手に対象を広げる「250セーブ以上」の条件が追加された。私と球児(藤川氏)が名球会入りできた「特例」の創設は2019年。それから3年で吉報が届いた。

 現役時代、名球会に手が届くと思ったことは一度もなかった。1年目に20勝したときも200という数字ははるか先にあり、100勝に到達したころにはけがも多く、あと100勝も積み上げるのは厳しいなと思った。それでも、自分がプロの世界で生きていくために中継ぎ、抑えとポジションを変え、与えられた役割を全うしてきた。日米通算で134勝(93敗)128セーブ、104ホールド。引退時、すべて3けたに乗せた〝トリプル100〟を「中途半端な数字」と自虐的に話したが、名球会が中途半端ではないと太鼓判を押してくれたことが何よりうれしい。

 一方で、名球会の資格基準に思うこともある。投手分業が進んだ現在、名球会が投手の資格対象を広げているにもかかわらず、投手にとっては壁が高い。報道によれば、私と球児を加えた会員数は投手17人、打者48人。3倍近い開きがある。投手にとって壁が高いのは分業制に加え、勝ち星、セーブ数がチームの勝利と結びつかないと得られない数字だからという面がある。野手は負け試合でも3安打すれば、数字を積み重ねることができるのに対し、投手はどんなに好投しても勝ち星に恵まれないケースもある。

 また、投手の分業化によって、今季の新人王になった巨人の大勢投手のように、入団当初から中継ぎや抑えの役割を担う選手も出てきた。セーブ機会がなくても、7、8回を担うセットアッパーは現代野球において、シーズンの行方を左右するほど重要になってくる。投手に限ったことではなく、本塁打や盗塁などにおいても、プロには超一流の「スペシャリスト」が存在してきた。

 特例で選んでいただいたことももちろん光栄だが、名球会には通算500本塁打など新たな基準を作って明確化してほしいという思いもある。入会資格を満たす一流選手の基準を下げるのではなく、一流選手の幅を広げる発想である。例えば、日本ハムの宮西尚生投手。毎年、当たり前のように50試合以上を投げ、歴代最多380ホールドをマークする。400に到達すれば、セットアッパーとして、名球会の名に恥じない数字になるのではないだろうか。セットアッパーと抑えはチーム事情やシーズンでポジションが変わることもある。あくまで私見ではあるが、セーブとホールドの合計数で600などの基準があってもいいと思う。競技人口が減少している野球において、令和の名球会は器の大きな組織であってほしい。新人会員ながら、先輩方にご意見させてもらいます。皆さんはどう考えますか。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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