この夏は「平年並み」の暑さ 宮城県の学校にエアコンは必要?
昨年の夏は全国的に記録的猛暑になりました。宮城県でも、仙台で観測史上最も高い気温(37.3℃)を記録するなど、平年を上回る厳しい暑さでした。
この暑さを受けて、昨年仙台市は、子供たちを熱中症から守るため市内の市立学校の全教室にエアコンを設置すると決定しました。
ところが今年の夏は昨年ほどエアコンが必要ないかもしれません。
今年の夏は猛暑の可能性低い
きょう気象庁は今年の夏の天候の見通しを発表しました。
この夏は、暑さをもたらす太平洋高気圧・チベット高気圧がともに弱いため、北~西日本の気温は「平年並み」で、昨年のような猛暑になる可能性は低くなっています。
さらに6~7月には、宮城県などの北日本太平洋側に涼しさをもたらすオホーツク海高気圧の出現が示唆されていて、北日本の気温は「ほぼ平年並み」としながらも、平年より低くなる確率がわずかに高くなっています。
これはあくまで3か月の平均気温ですので、極端な暑さが全くないわけではありません。細かく日ごとに見れば「冷房がないと耐えられない!」というような暑さの日もあるでしょう。ただ少なくとも昨年夏のような「災害級の暑さ」の可能性は低くなっています。
エアコンとヒートアイランド現象
そもそも2018年夏の天候だけを元に全教室にエアコンを設置するという判断は正しかったのでしょうか?
2018年は様々な要因が複合的に重なったことによって発生した猛暑です。いくら地球温暖化が進行しているとは言え、毎年ああいった暑さになるわけではありません。
またエアコンの使用は、ヒートアイランド現象を加速させることにもなります。
ヒートアイランド現象とは、都市中心部の気温が郊外に比べて高くなる現象です。都市部は郊外より人工排熱が多いためヒートアイランド現象が起こっていて、エアコンも人工排熱源の一つとされています。
エアコンで屋内が涼しくなる分の熱は、室外機から外に出されますので、外は余計に暑くなってしまいます。仙台市はただでさえ宮城県の他の自治体に比べて都市化が進んでいますので、過度なエアコンの使用はヒートアイランド現象を加速させることになりかねません。
昨今の暑さは人命に関わるレベルですから、冷房を使うことが悪という意味では全くありません。むしろ適切に使うことが求められる時代です。ただ「市内の全市立学校」という規模でエアコンを設置・使用するならば、日々の予報や観測に基づいたルール作りが必要なのではないでしょうか。
参考:環境省 ヒートアイランド対策ガイドライン平成24年版