【京都市下京区】えっ曳き初め? 鉾の車軸にずれ、十数メートルの夢の巡行 各町で山鉾建て。来年こそは。
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/top_1626075273374.jpeg?exp=10800)
えっ今年は曳き始めあったけ? と思わず驚いてしまいました。2021年7月12日、四条新町の月鉾で、大勢の曳き手が集まって、完成した月鉾を曳く姿が見かけられたからです。
![鶏鉾](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/internal_1626110044367.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
京都の夏を彩る祇園祭で、山鉾を組み立てる「山鉾建て」が始まり、この日には、技術継承のため組み立てのみを行ういくつかの山鉾が、豪華な懸装品(けそうひん)の飾りつけなども終え、ほぼ全容を現しました。新型コロナウイルスの影響で、祇園祭のハイライトとも言われる「山鉾巡行」は、去年に引き続き中止されています。「山鉾建て」は2年ぶりとなります。
![縄がらみ技法 放下鉾](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/internal_1626078251812.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
月鉾では、「縄がらみ」技法を駆使し、組み立ては完成したものの、車軸にずれが生じていることが分かり、調整のための十数メートル前後の移動が行われたのでした。わずかな調整と言っても何十人という男たちが、せえのっの掛け声で曳いていきます。この日は保存会の女性メンバーも手伝っている様子でした。ほんとに大変な作業です。
![月鉾](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/internal_1626078065047.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
月鉾保存会社務所の前で月鉾の法被を着て、静かに様子を見守っていた長老に尋ねると、「技術を繋ぐのはだいじや。わしらでも2年たったら分らんようになったりする。今回も去年見送っただけで、車軸にずれが生じていた。若いもんにも覚えてもらわんならんし、来年こそはほんまの巡行ができることをみな願ってるんやないか」と疫病退散の神事に対する思いを語っていただけました。
![月鉾](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/internal_1626078201817.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
月鉾は、応仁の乱以前よりあり、鉾頭に新月、天王座には月読尊を祀っていることから、月鉾と呼ばれています。山鉾34基の中でも最も大きく、重い鉾とされ、鉾を飾る装飾も見事で、動く美術館と讃えられています。2021年の「山鉾建て」は、17の保存会で実施される予定ですが、祇園祭山鉾連合会では、観覧は控えるよう異例の呼びかけを行っています。
![函谷鉾](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/iwatagenni/article/00117699/internal_1626090468657.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
職人さんたちの汗、保存会の皆さんの努力、私たちの思い、来年こそは十数メートルではなく、豪快な辻回しも見たいと、願いが届くことを祈るばかりです。
月鉾保存会 京都市下京区月鉾町