Yahoo!ニュース

日本代表・稲垣啓太の「コントロール」。主力離脱、グラウンド外規律に言及。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
タックル後は素早く起立。防御網を埋める。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 4年に1度のワールドカップの日本大会を来年に控えるラグビー日本代表は現在、宮崎で合宿中。26日にJAPAN XVとして世界選抜との強化試合(大阪・東大阪市花園ラグビー場)をおこない、11月3日には世界ランク1位のオールブラックスことニュージーランド代表と(東京・味の素スタジアム)、18日に同4位でエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ率いるイングランド代表と(ロンドン・トゥイッケナムスタジアム)、24日には同19位でワールドカップの初戦の相手でもあるロシア代表とそれぞれ対戦する。

「自分のコントロールできることはコントロールしたい」

 キャンプに先立ちこう語っていたのは稲垣啓太だ。最前列の左プロップとして運動量と突進力を誇る28歳で、ワールドカップイングランド大会に出場するなど日本代表22キャップを保持。聡明さでも鳴らすとあり、2019年の日本大会でも主力の1人として期待されている。

 10月某日、国内所属先のパナソニックの練習場で取材に応じ、今度のツアーで複数の経験者が離脱すること、日本大会への展望、昨今グラウンド外で起きている諸問題についての質問に答えた。

「自分のコントロールできることはコントロールしたい」

 談話に筋を通している。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今回のツアーには、堀江翔太選手がけがで、立川理道選手がパフォーマンスの観点でチームに帯同しません。現体制化でのキャプテン経験者2名が選外となったことについて、どう思われますか。

「もちろんチームにとっては大きな存在の2人でしたけど、(今後も)こういったシチュエーションはありえなくはないわけですし、これから1年間けが人が出ないという保証もない。そういった想定のうえで、これから選手、スタッフに新たな試練が与えられたとうまく捉えられれば、自分たちのステップアップにすることもできる。すべてをいい方向に考えられるようになってきています。

 自分のパフォーマンス、マインドセット、やるべきことへの理解は、自分でコントロールできる部分。その自分でコントロールできる部分に関しては、100パーセント、完璧にコントロールしたいです。ただ、周りの選手がけがをすることは、自分でコントロールできる問題ではないじゃないですか。選手選考もジェイミー(・ジョセフヘッドコーチの専権事項)です。今回、2人のコンディションが上がっていないのであっても、各々の役割はまた違いますし、ワールドカップに向けてまたコンディションを上げてくるでしょう。だから、そこは僕らが心配することではない。僕らが見るべきは10、11月のシリーズで何をすべきか。いい形で合宿に入れることを祈りたいですね」

――リーチ マイケルキャプテンは、今後イングランド大会組の献身が試される時という趣旨で話しています。

「僕が初めてワールドカップに出た時、ワールドカップ経験者の話はすごく助けになった。ワールドカップがどういう場所か全くわからないままで臨むのと、ある程度予測して入っていくのとでは雲泥の差があると思います。準備段階では、自分の経験談を未経験者に少し伝えられたらなと思います。なかにはその必要がない選手もいると思いますが、自分が伝えてもらって助かった部分は大きかったので」

――9月の候補合宿ではミーティングが多かったようです。お話しできる範囲で、内容の一部をお伝えいただけますか。

「自国開催ということで、グラウンド外でのプレッシャーがかかる部分も増えると思うんです。応援してくれる声と同時に、批判の声も出るかもしれない。ただ、そういった部分は、さっき話したようにコントロールできない部分です。そこにフラストレーションをためないようにという話もしました」

――最近、日本代表選手のグラウンド外での問題に関するニュースが続きました。それについて、当事者である選手同士ではどんな話をしていますか。

「前々からリーチさんがグラウンド外の行動を正そうという話はしていました。そういったなかで今回、起きてしまったことについて、僕はどうこう言える立場ではなく、薫田さん(真広・強化委員長)、広報が対応してくれていることです」

――できることは、「自分の生活態度をコントロールする」ということのみ。

「プロラグビー選手として、自分の身体一本で稼いでいく決意をしたわけです。身体のケア、アスリートとしての立ち振る舞いについては、人並み以上に気を付けてはいます。(かすかに笑みを浮かべて)僕は、問題ないです」

 日本代表はこの秋、強豪とのバトルを日本大会への準備に活用する。

「自分のコントロールできることはコントロールしたい」

 稲垣の思考の枠組みがどうプレーに反映されるか。注目されたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事