なぜメイウェザーにはパンチが当たらないといわれているのか
9月25日さいたまスーパーアリーナで、格闘家の朝倉未来(30=トライフォース赤坂)が、元ボクシング世界5階級王者のフロイド・メイウェザー(45=米国)と対戦する。
メイウェザーについて
メイウェザーは、スーパーフェザー級(58.97キログラム以下)からスーパーウェルター級(69.85キログラム以下)までの5階級を制覇したボクシング界のレジェンドだ。
鉄壁のディフェンスと圧倒的なスピードを武器に、50戦全勝(27KO)の輝かしい戦績を残す。
これまでの対戦相手は名だたる選手たちばかりで、フィリピンの英雄マニー・パッキャオを始め、6階級王者のオスカー・デラホーヤ、4階級王者のサウル・アルバレスなど、その全てに勝利してきた。
試合では世界王者クラスの選手たちが、クリーンヒットすら奪えず、終了してしまうことも少なくなかった。
2015年に引退したが、その後もエキシビションマッチで度々リングに上がっている。
2018年の大晦日にはキックボクサーの那須川天心と戦い、わずか1RでTKO勝利をおさめ、大きな話題を集めた。
メイウェザーのスタイル
メイウェザーのボクシングスタイルは特徴的だ。
右構えのオーソドックススタイルで、左手をダランと下げている。ノーガードに近い構えだ。
特に左手のガードはほとんどないので、相手は右を当てようとするが、得意のショルダーブロックでいなされてしまう。
隙がある構えでパンチが当たりそうではあるが、反射神経もずば抜けているため避けられてしまう。
特徴的な構えということもあり、相手が打ってくるパンチの種類もある程度絞れるのだろう。
しかし、ノーガードはクリーンヒットをもらうリスクが高く、簡単にできるものではない。
以前SNSで公開していたトレーナーとのミット打ちで、ダンスのような動きを披露していた。
あらゆる角度から飛んでくるパンチをかわす技術は、まさに“神業”といえる。
メイウェザーのノーガードスタイルは、才能もあるだろうが、日頃のトレーニングの賜物だろう。
言動や行動から派手な人物に思われがちだが、通常の選手の倍に近い練習量をこなすストイックな選手だ。
ディフェンスは健在
引退後もエキシビションマッチでリングに上がっているメイウェザー。直近では5月に元プロボクサーのドン・ムーアと対戦し、ボディブローでダウンを奪った。
現役時代に比べ、攻撃力は衰えたものの、パンチの技術と鉄壁なディフェンスは健在のようだ。
現役選手であっても、メイウェザーに一発を当てるのは至難の業だ。
序盤であればチャンスがあるかもしれないが、ラウンドを重ねるごとにパンチの軌道やタイミングが読めてくるため、ボクシングの試合メイクに優れているメイウェザーが有利に戦うだろう。
また、エキシビションでは勝敗がつかないため、メイウェザーは無理な戦い方はしないだろう。そのためディフェンシブに戦われたら、パンチを当てるのはさらに厳しくなる。
だからこそ、お互いに体が温まっていない、1ラウンドの立ち上がりが最大のチャンスとなるだろう。
ボクサーと格闘家のパンチの違い
総合格闘技の朝倉と、ボクシングのメイウェザーでは、戦い方が異なる。例を挙げれば、まずパンチの種類が違う。
腕だけで戦うボクシングと違い、格闘技は蹴りや絞技など選択技が多い。
2本の腕だけでなく、蹴りなど様々な攻撃が想定されるため、パンチが当たりやすくなる。
それがパンチだけとなると、攻撃のバリエーションも限られるため、より高度なパンチスキルが必要になる。
パンチのタイミングはボクサーと格闘家で異なるため、パンチが当たる可能性はあるが、後半になればなるほど、メイウェザーが慣れてくるため、パンチを当てるチャンスは無くなる。
一発でもメイウェザーからクリーンヒットを奪えれば快挙だろう。
エキシビションマッチではあるが、メイウェザーがリングに上がると話題を集めビッグマネーが動く。どのような展開になるか注目だ。