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クレカ審査 夜間でも「最短10秒」に。どういう仕組み?

山口健太ITジャーナリスト
クレカ審査「最短10秒」に(三井住友カードの発表資料などから筆者作成)

三井住友カードがクレジットカードの審査を「最短10秒」に短縮し、即時発行するサービスを発表。10月18日より提供が始まっています。

24時間利用できるクレジットカードの即時発行は業界初とのこと。どういう仕組みなのか、運営会社に聞いてみました。

「夜間でも」即時発行が実現

オンラインでの申し込みや本人確認の仕組みを利用することで、クレジットカードの即日発行をうたうサービスは増えています。

三井住友カードは2020年3月から「即時」発行のサービスを導入。今回、オンラインで申し込みフォームに入力後、審査が完了するまでの時間が最短10秒に短縮されています。

これまでの即時発行では「最短30秒」としていましたが、「審査スキームの見直し、およびそれに合わせたシステム開発により短縮を実現した」(三井住友カード広報)といいます。

なお、審査の後には電話認証や会員向けアプリ(Vpass)の登録が必要であることから、実際にアプリ画面などでカード番号を確認できるまでには最短でも数分はかかるようです。

最短10秒での審査の後に、電話認証やアプリの登録が必要になる(三井住友カードの発表資料より)
最短10秒での審査の後に、電話認証やアプリの登録が必要になる(三井住友カードの発表資料より)

内部的には最短10秒でカード番号を発行しているのかもしれませんが、実際に申し込んだ人から見ると最短10秒でカード番号を入手できるわけではないので、その点は注意が必要といえます。

今回の発表でもう1つ興味深いのは、夜間(夜19時31分〜朝8時59分)に申し込んだ場合でも、即時発行に対応したという点です。

日中に申し込んだ場合との違いとして、夜間の即時発行ではショッピング利用枠が「5万円」、支払い方法は「1回払い」のみになるとしています。

こうした利用枠の制限に加えて、「当社独自の審査・不正利用対策を行い、虚偽入会・不正利用を防止する仕組みを構築した」(三井住友カード広報)ことで、夜間の即時発行を実現したといいます。

利用枠などの制限は、その後の正式な審査によって変わる仕組みです。ここで不承認になるとカードが使えなくなる場合もあるとのことから、夜間の審査はあくまで仮のものという印象です。

現物の板カードは後日の配送になるものの、オンラインでの利用ならカード番号さえあればすぐに使えます。また、Apple PayやGoogle Payに登録してタッチ決済などに使うことも可能です。

夜間の即時発行を導入した背景として、インターネットの利用は夜間が多いことを挙げ、ショッピングでクレジットカードが必要になった場合などにすぐに発行できることをメリットとしています。

注意点として、即時発行にはいくつか条件がある点は変わっていないようです。たとえば筆者のような「個人事業主」は即時発行の対象外となっており、カードを発行するたびに悲しい思いをしています。

「カード番号が先」が当たり前になる?

かつてクレジットカードといえば、審査に通るとカードが送られてきて、そこからいろいろなサービスに登録していくという使い方が一般的でした。

しかし最近ではオンラインでの即日・即時の発行が可能になり、アプリなどですぐにカード番号を入手してオンラインで使えるものが増えています。

さらにオフラインでは、Apple PayやGoogle Payに登録することで、物理的なカードが届く前にタッチ決済やiD、QUICPayで使えるようになります。スマホのタッチ決済でポイント還元を増額するキャンペーンもこうした使い方を後押ししています。

すでに物理的なカードがないカードレスのクレカも存在します。デジタル(バーチャル)のカードこそが本体で、物理的なカードはそれを補うものという理解が広がっていくのかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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