日本史上初の快挙 井上尚弥が世界最強ランキング2位に昇格
7月のアメリカボクシング専門メディア「ボクシングシーン.com」で、最新のパウンド・フォー・パウンドランキング(PFP)が発表され、WBA&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26=大橋ジム)が、2位に昇格した。
3階級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を抜いて、ランクアップとなった。
PFP(最強)ランキング
PFPランキングとは、ボクシングの全階級の中で、最も強い選手をランキング形式で表したものだ。
過去には、モハメド・アリやマイク・タイソン、マニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーなど、
ボクシング界のレジェンドがトップに君臨している。
今回発表されたランキングTOP5は、以下の選手だ。
1位 テレンス・クロフォード(アメリカ)
2位 井上尚弥(日本)
3位 ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
4位 サウル・アルバレス(メキシコ)
5位 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)
井上は、アジア勢で唯一のTOP5にランクインした。世界的にも、注目度と評価が高まっている。
また、このランキングに入るには、以下のような基準がある。
・強い相手と対戦している
・勝ち方が優れている
・世界タイトルを獲得している
・複数階級のタイトルを獲得している
・長期にわたり活躍している
など
階級を上げて力強さが増した
井上は階級を上げてから、評価が高い王者を相手に、圧倒的な強さで勝ち上がってきた。
昨年5月に行われた、WBAバンタム級タイトルマッチでは、王者ジェイミー・マクドネル(イギリス)からダウンを奪い、1RKO勝ち。
また、初防衛戦のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦では、試合開始後、わずか1分で相手をマットに沈めた。
そして、WBSS準決勝で、無敗の王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を相手に、2R目でKOし勝利を収めた。
フライ級からバンタム級に階級を上げて、破壊力も増し、手がつけられない強さになった。
井上の強みは、鋭い踏み込みを活かしたパンチにある。
スパーリングで、彼のパンチを受けたボクサーは、「あまりの破壊力に、ガードの上からでもパンチが効いて脚にきた」と話していた。
加えて、ディフェンス、コンビネーションの多彩さなど、総合的に優れている。
また、過去に井上と対戦した田口良一は、「同じボクサーとして、意識してはいけない。別次元の存在」と語っていた。
世界王者クラスのボクサーからも、高い評価を得ている。
ノニト・ドネアとの対戦
井上の次戦は、現在開催されているWBSSトーナメントの決勝戦となる。相手は5階級王者のノニト・ドネア(36=フィリピン)だ。
ドネアは、一発で相手を倒すパンチを持っている。今回の試合のために階級を落とし、決勝戦まで勝ち上がってきた。
年齢を重ねキャリアも終盤に差し掛かっているドネアだが、前の試合ではステフォン・ヤングを6RKOで退けている。
ドネアは、自身の選手生命を懸けて今回の試合に臨むだろう。簡単な試合には、ならないと予想される。
この強敵相手に、よい勝ち方をすれば、PFPランキング1位も夢ではない。
そのため、井上にとって次の試合は、非常に重要で意味のある試合になる。
海外での活躍
井上は、アメリカの大手ボクシングプロモーション会社のトップランク社から、熱烈なオファーを受けている。
マニー・パッキャオやワシル・ロマチェンコを世界に売り出した手腕は、大きなバックアップになる。
他にも、井上を獲得したいプロモーターは多いようで、WBSS後は、井上の争奪戦が予想される。
ラスベガスや、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンなど、ボクシングの聖地でメインをはる日も近いだろう。
近年、日本人選手は、大きな進化を遂げている。その中心となっているのは、井上尚弥だ。
彼の存在が、国内の選手への刺激になっている。
日本のボクシング界に、金字塔を打ち建て続ける井上から目が離せない。