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“琉球トルネード”再び!島袋洋奨「特別な日」に筑後で再出発の手ごたえ

田尻耕太郎スポーツライター
トルネード投法を復活させた(筆者撮影)

長谷川宙が6回1安打零封

 5月21日、福岡ソフトバンクホークスの3軍は練習試合で東北楽天ゴールデンイーグルスのファームと対戦した。

【5月21日 練習試合 タマスタ筑後 225人】

楽天     000000000 0

ソフトバンク 07000301× 11

※特別ルール

<バッテリー>

【E】野元、則本佳、鶴田、清宮――石原、下妻

【H】長谷川宙、中村晨、島袋、重田――市川、堀内

<本塁打>

なし

<戦評>

 ソフトバンクが圧勝した。2回に大量得点だ。連続四球で作った好機に6番砂川が左中間に2点二塁打を放ち先制。なおも猛攻だ。9番水谷、1番日暮の連続適時打、2番張本の犠飛、4番黒瀬の中前適時打で一挙7点を奪った。

 6回は3番野村の2点二塁打と黒瀬の犠飛。8回は野村が犠飛を放ち、若鷹打線は外野フライが欲しい場面でソツなく得点を重ねた。

 投げては先発の長谷川宙が6回1安打無失点。多少抜ける球は課題だが、キレのいい直球を投げ込んでいた。(了)

光が射した島袋洋奨「今日はブン投げてやろう」

 マウンドに上がる前まで、今季の島袋洋奨の3軍戦での成績は惨憺たるものだった。10試合に投げて、防御率12.89。被安打と与四球は両方ともイニング数を超えていた。

 この日、島袋にようやく光が射した。

 今までの数字が嘘のような、上のレベルでも通用しそうな快投だった。8回から登板。最初の打者の耀飛への初球は145キロ直球でキャッチャーファウルフライに打ち取ると、続く松本と中村からは連続三振を奪った。最速は147キロをマーク。コンスタントに145キロ以上をマークした。

 登板後の島袋はもちろん充実の表情だ。

「今までが全く(ダメ)だったので、姿だけでも変えてやろうという気持ちで臨みました。技術的にというより思い切っていってやる、と。このところ調子は悪くなかったのに慎重になり過ぎていた。今日はブン投げてやろうくらいの気持ちでいきました」

スライダーも腕をマン振り

 前回登板は18日の高知戦。1回無失点だったが2四球を与えた。その前の11日の香川戦は1回3失点と苦しんだ。

「スピードも同じタマスタのスピードガンで130キロ台しか出ていなかったのが、今日速かった。スライダーも速くなったと思います。少し投げ方を変えて、曲げてやろうというより思いっきり腕を振って投げる意識に変えました」

 ところで、2月のキャンプ時には「トルネードはやめる」と話していたが、この日の投球フォームを見ると元のスタイルに戻っていた。

「自分の中のバランス、気持ちよく投げられる場所を探した結果です。色々な人とも話をしましたが、気持ちよく投げられる場所が一番じゃないかと。それを改めて感じました」

故郷沖縄では一軍戦、きっかけの一日に

 そして、ひと通り取材を終えたところで、島袋の方から切り出した。

「今日、沖縄ですよね」

 ホークスの一軍は21日、22日の西武戦を沖縄セルラースタジアム那覇で行う。

「沖縄で公式戦があるのは珍しいから特別な日ですよね。もちろん僕も行きたかったですけど、今はココにいるのが現実。悔しい気持ちは当然あります。普段も一軍のナイターは見るようにしていますけど、今夜はやっぱり特別な気持ちで見ると思います。(東浜)巨さんや嘉弥真さんのピッチング、(山川)穂高さんもいますからね。沖縄の先輩たちのプレーを見て、いろいろ感じたいと思います」

 この2カ月は勿体なかったと悔いたが、今季支配下登録期限の7月末まで取り返すだけの時間は残されている。沖縄でなく筑後で投げたこの5月21日が分岐点だったと笑える日が来るように、次回の登板では真価が問われることになる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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