本仮屋ユイカの30代で変わらぬ清涼感。主演ドラマでの6歳年下との恋に「全然アリです」
小学生でデビューして、NHK朝ドラ『ファイト』のヒロインなど数々の作品に出演してきた本仮屋ユイカ。32歳になった今もさわやかでフレッシュな存在感が目を引く。7月クールにはドラマ『マイラブ・マイベイカー』にパン職人の役で主演。6歳年下の男性との恋愛模様も描かれる。彼女の清涼感の源はどこにあるのか?
ずっと娘気分が抜けてないみたいです
――先日、CS放送で『3年B組金八先生』第6シリーズの再放送を観ました。本仮屋さんはあの頃と変わらないとは言いませんが、さわやかな佇まいはキャリアを重ねた今もお持ちですよね。
本仮屋 この前、髪を20cmくらい切ったんですよ。「すっごい大人になった。イメチェンできた」と思って、家族LINEに写真を送ったら、「『スウィングガールズ』の頃みたいだね」と言われて、「変わってないんかい!」とガッカリしたんですけど(笑)、そういう言い方にしていただけると心が落ち着きます。
――『スウィングガールズ』の公開は16年前でした。
本仮屋 髪を切ると似合う服も変わるんです。それで昔ショートだった頃に用意してもらったものと今似合うものが、流行りの違いはあっても基本同じなので、見た目や雰囲気は大きく変わってない気がします。
――気持ち的に当時と変わらない面もあったり?
本仮屋 精神年齢は止まったままです(笑)。ゲッターズ飯田さんに「永遠に高校生」と言われましたけど、本当にそんな感じ。妹が今、2児の母として生活していて「本当に偉いね」と言ったら、「ユイはずっと娘気分が抜けてないから」と言われました。良くも悪くも、そういうところはあるんでしょうね。
見切り発車でも面白そうならやってみようと
――今年2月には3年ぶりの水着写真集も出されました。それも朝ドラのヒロインまで務めた30代の女優さんでは珍しいことかと。
本仮屋 わりと「なぜこのタイミングでこれ?」と珍しがられる仕事が多いキャリアなんですよね。でも、自分では全然そんな意識はなくて。『王様のブランチ』でMCをやったときも、当時は若手女優がそういうことをやるイメージがなくて、戸惑いはありましたけど、「面白そうだからやろう!」という気持ちで挑んだんです。勝算があったわけでなく、見切り発車してダメだったこともありましたけど、とりあえずチャレンジしようとはいつも思っています。
――32歳での水着写真集も、面白そうだったから出したわけですか?
本仮屋 面白そうだったし、私は皆さんに真面目そうとか清楚と言われるわりに、ビキニが似合うんです。自分で言うのもアレですけど(笑)。しかも、ファンの方が喜んでくれる。女優をしていると、応援してくれる方にお会いできる機会がなかなかないので、写真集を出して握手会をやりたいというのもありました。
――ファンの方はいろいろな意味で嬉しいでしょうね。
本仮屋 それと、女優は求められたことに100以上のものを返す仕事だと思ってますけど、写真集は自分でロケーションもヘアメイクもスタイリングもプロデュースできて、受け身でなく発信できるんです。いつもと違う感じで挑戦できるのも楽しくて。
――今年4月からはYouTubeも始めました。
本仮屋 もともとSNSでファンの方との距離は近かったのが、YouTubeを始めて、さらに縮まりました。コメントを毎日見ていて、いいなと思ったらスクショして、元気がないときに読んで自分を励ましています。コメントをくれた人のアイコンや名前は忘れないし、その人のページまで行って、どんな発信をしているか全部チェックします。何か私、気持ち悪いですね(笑)。でも、つぶやいてくれたことをやってみたり、「こっちも見ているよ」というアクションはしていきたくて、ファンの方も「応えてくれるんだ」とまた投げてくれる。やさしいコメントばかりで力付けられています。
パン作りを教わったら「………」という感じに
7月10日に配信からスタートのドラマ『マイラブ・マイベイカー』は、らくだのコミックが原作。先代から引き継いだベーカリーを切り盛りする店長・小岩美々子(本仮屋)は、6歳年下の北薫(飯島寛騎)をバイトとして採用する。北は三ツ星フレンチレストランの元シェフで、店に欠かせない存在になるが、何か秘密があるようで……。
――主演ドラマ『マイラブ・マイベイカー』ではパン職人の役ですが、YouTubeチャンネルの1回目に、ファンの方から「料理をしてほしい」という要望が多かったのに対し、「私、料理はアレだよ」と言ってました(笑)。
本仮屋 アレですよ、本当に(笑)。今回、撮影でお借りしたパン屋さんの方に直接パン作りを教わったんですけど、「…………」という感じでした(笑)。「これで10年以上パンを作っている女性の役ができるのか?」と思って、どうしたものかと。
――でも、できるようになったんですよね?
本仮屋 スポーツと同じで徹底的な練習回数と経験値が必要で、撮影の合間も触っていい生地があったら練習していました。4話辺りまでは片目か両目をつぶって観て欲しいんですけど(笑)、5話以降はすごく上手くなっています。ただ、それ以降はパンを作るシーンが少なくなって(笑)。吹替えなしで一生懸命こねて、最後は先生に「なかなかいいです」とお誉めの言葉をいただいたので、注目して欲しいような、欲しくないようなポイントです(笑)。
――最初はどんなことが難しかったんですか?
本仮屋 先生がやるとパンが自然に丸くなったり折り目が順々に付くのに、私がやると同じ手つきでこねても、まったく同じ形状にならない(笑)。手の形からちゃんとできてないんでしょうけど、なぜ同じことをやって仕上がりはこうも違うのか。だからこそプロがいるにせよ、難しかったです。
私は炭水化物が大好きな女です(笑)
――美々子の台詞にあったように、パンの声は聞こえました?
本仮屋 聞こえませんでした。YouTubeで手打ちうどんを作ったときも、妹に「うどんの声を聞いて」と言われましたけど、「聞こえていたら、こんなベニョベニョにならないわ!」と思って(笑)。私はなかなか食べ物の声は聞こえないタイプかもしれません。完成品から「おいしく食べてね」は聞こえますけど(笑)。
――パンをよく食べてはいたんですか?
本仮屋 どちらかというと、ごはん派です。現場にも自分でおにぎりを握って持っていくし、私はお酒は飲まないんですけど、飲む人とお店に行くと「締めにごはんか麺が出るところがいい」と言います。炭水化物が大好きな女なので(笑)。今回の現場ではずっとパンの良い匂いがする店内で撮影していて、私たちがこねた生地を先生がご好意で焼いてくださって、おやつ代わりに食べたり、最高な思いをさせていただきました。
――ドラマに出てから、パンに愛着が出たりは?
本仮屋 パン屋さんがすごく気になりました。「この店はこういうレイアウトか」「クリームパンはこんな形か」と、自分が本当に店を持っているわけでないのに、ライバル店を視察する気持ちでグルグル回っていました(笑)。
――実際にパン屋さんになりたいと思ったことはないんですよね?
本仮屋 それが中学のときの職業体験で、パン屋さんに第一志望で行ってました。そこの焼きそばパンが大好きで、学校が終わってから買いに行っていたので、そのお店で働きたいと思ったんでしょうね。当時は憧れていたのを今回のドラマで思い出しました。
「喜ばれたい」と「これだけはやりたい」と
――2話で「料理に勝手に調味料をかけるのは料理人に失礼」という北と、「お客さんの自由」という美々子で意見が対立するくだりがあります。本仮屋さんはどう思いました?
本仮屋 私だったら、ひと口めは私の作ったまま食べて欲しい。妄想で、自分が妻で夫に「ハイ」と出した料理にすぐ何かをかけられたら、絶対怒ると思います。だから、美々子は心が広いと思いました。
――1話でも、美々子が北に「私はみんなの喜ぶものを作りたい。あなたがやっていることはただの自己満足」と言っていました。
本仮屋 あの台詞は美々子の本心だし、間違っていないと思います。でも、「これがおいしいでしょう?」と出せる北くんの自信に対する憧れも、どこか潜在意識にあって。だから、彼に惹かれたんでしょうね。
――そういうせめぎ合いは、役者さんの仕事でもあります?
本仮屋 すごくあると思います。みんなに喜んでもらえるものを提供するのは、アートでなくエンタメの世界で生きていたら、常に付いてくること。でも、喜ばれると思って出したものがいつもベストかと言うと、それもまた難しくて。視聴者の方は私以上に私の本質を見抜いているだろうし、作品に関わる人間以上に作品のことを客観的に理解されているはず。その中で「これでいいんでしょう?」というものより、「ちょっと新しいけど、どうしてもやりたいんです」というエッセンスが大事だと思います。
――観る側もバランスより、作り手の熱みたいなものに引っ張られることはあります。
本仮屋 観る側と作る側のキャッチボールが上手くいくと、新しいものがどんどん生まれますよね。だから、美々子の意見も北くんの意見も両方アリで、バランス次第かなと。
心配しても力が及ばないことがあるので
――現場で役者さんと監督の間でも、そういった衝突はありますか?
本仮屋 もちろん。おこがましくも「この部分だけはどうしてもこうしたいです」と希望を伝えることはあります。それが通ったり通らなかったりしますけど、疑問や提案からディスカッションになれば、作品にとって良い潤滑油になると、私は思っています。
――そうしたことも含め、女優とパン職人で通じる部分もあると思いますか?
本仮屋 女優に限らないかもしれませんけど、パンと同じで、力づくでこねくり回せばいいわけではなくて。待たないといけないタイミングも、正確にやらないといけないタイミングもある。パンだと気温や湿度も全部加味しないといけなくて。私は心配性だし、変なところで完璧主義ですけど、自分の力が及ばないことはいっぱいあるんですよね。パンも生き物で、すべての状況は流れている。そういう寄り添い方をしたほうが上手くいくと、パン作りを見ていて思いました。
――本仮屋さんは心配性なんですか?
本仮屋 ものすごく。今回、髪を切るときも「どうしよう? 切って失敗したら、もうダメかも……」ということばかり考えて、不安になっていました。自分で決めて髪を切るだけで、どうしてそんなテンションになるのか(笑)。みんな「失敗しても髪は伸びるから死にはしない」と慰めてくれましたけど、そうやって悩むタイプです。
好きな世界だからピュアにも周りが見えなくもなって
――美々子には「パンを作って、みんなに笑顔になってもらえたら、こんなに嬉しいことはない」との台詞もありました。
本仮屋 大好きな台詞です。美々子にとってパン作りは人生で一番大事なもの。私にとっての表現することも一緒なんです。だから、美々子の言葉として私自身の生きる信念も話せている気がして、胸が熱くなるシーンは多かったです。
――本仮屋さんが女優の仕事をやるモチベーションも「笑顔になってもらえたら」という部分が大きいと?
本仮屋 そうですね。私は9歳で児童劇団に入ったんですけど、その前は安室奈美恵さんに憧れて歌手になりたかったんです。でも、母に「あなたに歌は無理。女優さんという仕事もあるよ」と言われて応募しました。美々子と同じで好きだと思ったことが人生になって、夢が叶って生き続けている。だからこそピュアになれるし、周りが見えなくなることも多い。美々子はとても自分と似ているキャラクターだと思いました。
――入りやすい役だったと?
本仮屋 入りやすかったし、この役にキャスティングしていただいて嬉しかったです。「私はこんないいヤツに見えているんだ」と(笑)。ただ、私だったら、あんなに人とすれ違いません。誤解を生む前にハッキリ話します。「それを言ったら恋愛ドラマにならない」と言われましたけど(笑)。
――さっき本仮屋さんは飲まないとのことでしたが、美々子は酒癖は悪いですね(笑)。
本仮屋 私、他の作品でも飲むシーンが多いせいか、「お酒が強そう」と言われますけど、実は下戸(笑)。でも、普段からテンションは酔った人並みに高いです。
恋愛のストライクゾーンは倍になりました(笑)
――予告動画では北からバックハグをされるシーンもあります。ああいうのは役とはいえ、今でもドキドキするものですか?
本仮屋 「ここにコップを置いて」も「ここでハグして」も同じですけど、役に入ったら、あのシーンの美々子は驚きと戸惑いでいっぱいで、そういった意味ではドキドキしていたかもしれません。でも、出来上がったのを観ると恥ずかしくて、「何しているんだよ、私~」と思います(笑)。
――2人で手を合わせて一緒に生地をこねるシーンも、長い尺であるようで。
本仮屋 あれは監督がすごく大事にしたシーンです。愛の深まりを見せたいし、官能的にもしたいという狙いがあって。でも、私も飯島くんもこねるのがヘタだったから、官能よりパンが形にならなくて焦ってました(笑)。休憩中も2人で練習して、「パンよ、頼む」と思いながら、一瞬時空をポンと越えちゃうくらい、濃い時間が流れました。パンも含めた3人が一体化したような不思議な感覚で、撮り終わった後は2人ともボーッと放心状態。それくらい集中して、スタッフさんに「狙い通りのシーンになったね」と言われました。
――6歳年下の男性は、本仮屋さん的には恋愛対象としてアリですか?
本仮屋 ちょっと前はイメージできませんでしたけど、インスタグラムに皆さんからDMが送られてきて、高校生や大学生の方が「本仮屋さんのこんなところが好きで、僕はこういうことを頑張りながら、ずっと応援しています」みたいに書いてくれると、「何このストレートさ。かわいい!」という気持ちになります(笑)。年上の方の頼りがいとは別の素直さにキュンとくるようになりました。なので、6歳下は全然アリです! 相手の方が良ければ(笑)。
――惹かれる男性像も30代になって変わってきました?
本仮屋 ストライクゾーンは確実に倍になりました(笑)。年齢的に自分より下もアリになったし、頼りになる人がいいけど、かわいい人もいいなと思うようになって。美々子の影響もあるかもしれません。
「やってみたら?」に乗れる大人になりたい
――予告動画ではウェディングドレスのシーンもありました。役では何回も着ていますよね?
本仮屋 4回くらい着ています。「ヤバイ、太っちゃった? 入るかな?」とか、「トイレはどうするんだろう?」とか、そんな心配ばかりで(笑)、憧れや感慨はないですね。
――そろそろリアルで……と考えたりは?
本仮屋 考えたことはないです。でも、妹に家族ができて、チームみたいに見えて。妹とご主人と小さな子どもたち。問題も楽しいこともある中で、みんなで動いているのがいいなって。だから、自分のチームを作ることも人生の展望に入っていますけど、いつかと言われたら、まだわかりません。
――他に30代で成し遂げたいことはありますか?
本仮屋 最近、車の運転の練習を始めました。免許は18歳になって速攻で取ったんです。でも、仮免で一度落ちたとき、試験官に「なぜ落ちたかわかるでしょう?」と言われて、全然理由がわからなかったんです。そんな人間が運転したらヤバイと思って、乗らないようにしました。でも、もう大人になったから、普通に曲がる、止まるといった呼吸はわかる気がして、自粛明けに少しずつ、家の周りでグルグル練習しています。今はスーパーとコンビニまでしか行ってませんけど、30代のうちに自分で好きなところまで運転したり、友だちに「乗っていく? 送ってあげるよ」と言える大人になりたい。今はみんなに「怖さしかない」と言われるので(笑)。
――教習以来10数年ぶりに運転して、自分では怖くなかったですか?
本仮屋 ドキドキしましたけど、嬉しかったです。車自体は大好きで、タクシーに乗っても道順は全部覚えたくて、「ここで車線変更」とか「この脇道のほうが早い」と考えている客だったんです(笑)。それを自分のハンドルでできるのはワクワクします。
――仕事では最初に出た、面白いことにどんどん挑戦するスタンスは変わりませんか?
本仮屋 はい。自分の中に枠を作らず、「やってみたら?」と言われたことに乗れる大人でいたいです。見てくださっている方も、私が失敗や変なことをしても「ユイカさんはそういう人」と笑って許してくれたり、「こんなアホな私を見せたら嫌われる」と思っても「アホでいいです」と言ってくれるので(笑)、何でもチャレンジしてみようと思います。
Profile
本仮屋ユイカ(もとかりや・ゆいか)
1987年9月8日生まれ、東京都出身。
2001年にドラマ『3年B組金八先生(第6シリーズ)』に学級委員役で出演して注目される。2004年に映画『スウィングガールズ』でメインキャスト、2005年には連続テレビ小説『ファイト』でヒロインを務める。その他の主な出演作は、ドラマ『僕の歩く道』、『秘密』、『民王』、『さくらの親子丼』、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』、『僕等がいた』、『ピーチガール』、『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』など。『ココロ通う街角』(日本テレビ系)でナレーション。ラジオ『三菱地所レジデンス Sparkle Life』(TOKYO FM)でパーソナリティ。写真集『CANTIK』が発売中。
『マイラブ・マイベイカー』
ひかりTV/7月10日より金曜23:00~配信
dTVチャンネル/8月4日より火曜19:00~配信
メ~テレ/7月13日より月曜24:53~放送
テレビ神奈川/7月14日より火曜23:00~放送
カンテレ/7月16日より木曜24:55~放送(初回25:10~)