2024年の連ドラで光った10代女優の“新人王”3人
今年も残り2週間ほどになり、10月クールの連続ドラマも最終回を迎えていく。1年を振り返り、10代で初レギュラーで光っていた、新人王に選びたい女優3人をクローズアップする。
先行する當真あみは昨年からさらに躍進
まず、今年の“新人王”には入らないが、10代女優で先行していた當真あみ(18)が1月クールの『さよならマエストロ』に出演。音楽経験はゼロながら、西島秀俊が演じる指揮者を「師匠」と呼び、1人でオーケストラに入る高校生役。
明るく自由奔放に見えて、実は市長である父親との関係に悩んでいた。當真自身はバイオリンの経験者で、『きらきら星』の演奏を披露するシーンも。
沖縄出身で、昨年から大河ドラマ『どうする家康』の亀姫役や『最高の教師』での芦田愛菜と大きく関わる生徒役などで、注目を高めてきた。
今年は他に、NHKの「創作テレビドラマ大賞」受賞作の『ケの日のケケケ』でドラマ初主演。感覚過敏の高校生で、部活を強制する校則を廃止するために生徒会長に立候補するというセンシティブな役を、ナチュラルに演じ切った。
2022年から続く「カルピスウォーター」の14代目CMキャラクターや、ブルボン「濃厚チョコブラウニー」などに加え、今年は「青春という名のラーメン」でも話題に。40年前に斉藤由貴が出演したCMのオマージュで、静謐な美少女ぶりに「AIかと思った」との声も多く挙がった。
来年はヒロインを演じた映画『おいしくて泣くとき』も公開。10代の括りなしで、トップ女優へとブレイクしていきそうだ。
先生に恋する役でデビューの林芽亜里の清々しさ
1月クールでは、「non-no」最年少モデルの林芽亜里(19)が『先生さようなら』で女優デビューした。渡辺翔太(Snow Man)が演じる美術教師に初めての恋をする女子高生役。
顔を合わせるだけでキラキラした笑顔を見せたり、放課後に「先生のことが好きなんです」とドキドキを隠せないまま真っすぐに告白したり、ピュアさが溢れていた。
石川県で育った小学生時代から「ニコ☆プチ」、「nicola」とモデルを続け、「ガーリーの神様」と呼ばれて人気に。昨年は「オープンハウス」CMで、木村拓哉が扮する地底人と遭遇する女子高生役で注目された。
愛らしい顔立ちは小動物を思わせるが、身長は165cmでスレンダーなスタイル。現在は『初めましてこんにちは、離婚してくだい』(MBSほか)で、犬飼貴丈と共にW主演している。
主演の令嬢役でもピュアなラブシーンを
こちらでは実年齢より遥か上の26歳の旧家の令嬢役。10年前に政略結婚させられたまま、会ったこともなかった夫に離婚宣言しながら、そこから恋が始まるラブストーリーだ。
大人っぽさも意識しているそうだが、世間知らずで恋愛初心者という設定で、初めてのキスシーンも。やはりピュアさが際立っていて、憎んでいた夫にだんだんと惹かれていく心情も繊細に見せてきた。
清楚なたたずまいは本人の素のようで、若手女優として大きな武器になっている。高校生役もまだまだ行けそうだが、今後は役幅も広げながら、王道の清純派女優として花開くことを予感させる。
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月島琉衣が見せた甘酸っぱさと憂うつ
4月クールの『からかい上手の高木さん』でW主演したのが、月島琉衣(16)だ。永野芽郁が主演した映画版の前日譚に当たる深夜ドラマだったが、アニメ化もされた原作コミックの直の実写化。
香川県の小豆島で撮影し、舞台は中学校。隣の席の男子の西片をいつもからかう高木さんを、月島が演じた。実は西片にほのかな恋心を抱きながら、オブラートに包んでからかうのを楽しむ姿が、からかい返すことを考える子どもっぽい西片(黒川想矢)と相まって、微笑ましく甘酸っぱさを感じさせた。
セーラー服でニコニコした表情が印象的。「一緒に帰ろう」のひと言でも胸がときめくほどだった。
同クールで、GP帯の『街並み照らすヤツら』にもヒロインで出演。『からかい上手の高木さん』とは、おでこを出していた髪型を変えて、パッと見は同一人物と気づかれなかったかもしれない。
役柄的にも、酒屋を営む父親が飲んだくれで、自分に友だちもいないという真逆なもの。ローテンションで憂うつな表情が目についた。
登竜門の高校サッカー応援マネージャーに
2話で森本慎太郎(SixTONES)が演じる主人公らが企てた偽装強盗に気づき、自分の酒屋でもやってほしいと懇願。「お父さんを恐怖のどん底に落としてやりたい」と屈折を見せるが、最後はダメな父親の不器用な愛情にほだされて。月島のつぶらな瞳と表情豊かな演技には、引き付けられるものがあった。
「ミスセブンティーン2022」に選ばれて「Seventeen」専属モデルになり、本格的に女優活動を始めたのは今年から。年末に開幕する全国高校サッカー選手権の第20代応援マネージャーにも決まった。
新垣結衣、川口春奈、広瀬すず、永野芽郁らが務めてきた登竜門。自身もサッカー経験があり、恒例のリフティングチャレンジでは歴代最高の19回を記録した。
3月公開の映画『山田くんとLv999の恋をする』にも出演。事務所の先輩で『高木さん』での縁もある永野芽郁のようなポジションへ進んでいくか。
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“噂の美少女”から初レギュラーの上坂樹里
7月クールの学園ドラマ『ビリオン×スクール』では、生徒役で多くの有望な若手が出演したが、ひと際目を引いたのが上坂樹里(19)だった。クラスの1軍生徒からいじめを受ける役を演じていた。
「ミスセブンティーン2021」から「Seventeen」専属モデルとなり、配信ドラマで女優活動もスタート。昨年、NHKの単発ドラマ『生理のおじさんとその娘』では、原田泰造が演じた生理用品メーカーの広報の主人公の娘に。
一躍注目を浴びたのは、『いちばん好きな花』での田中麗奈が演じた美鳥の中高生時代の役。8話のみ回想シーンでの登場だったが、「あの美少女は誰?」とSNSを沸かせた。
今年2月の『となりのナースエイド』7話に、心を閉ざした入院患者役でゲスト出演した際も、同じように話題になっている。
いじめを受ける役で繊細な涙の演技も
そして、『ビリオン×スクール』では連続ドラマで初レギュラー。2話でメインでフィーチャーされた。自らいじめはないと言い、山田涼介が演じる教師が証拠を掴んでも、逆恨みと家族に心配されるのを恐れて、否定し続けていた。
しかし、「お前は何も悪くない。自分を堂々と守れ」といった言葉に勇気づけられ、最後はいじめグループに「あなたたちを許さない」と毅然と立ち向かった。
抜群のビジュアルのインパクトが強い上坂だが、この作品にはメガネをかけて出演。1人で抱え込んで涙を流したり、繊細な演技で心情をビビッドに見せて胸を打った。
来年1月スタートの日曜劇場『御上先生』でも生徒役で出演することが発表された。本人は読書家で知的な雰囲気もありつつ、自分から前に出ようとしなくてもオーラが漂うタイプ。スケールの大きい女優への成長が期待される。
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今年はGP帯でも『ビリオン×スクール』に『素晴らしき哉、先生!』と学園ドラマが放送され、1月からは『御上先生』がスタートするが、若者向けのドラマは相変わらず多くはなく、リアル10代の新人には狭き門となっている。それだけにヒロイン級で抜擢された彼女たちが逸材であるのは間違いない。来年は新世代のムーブメントを起こしてほしい。