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藤原道長の時代で最盛期を誇った摂関政治。ほかの時代の摂政・関白はどんな立ち位置だったのか?

歴ブロ歴史の探求者

『光る君へ』は平安時代の紫式部が主人公ということで、同じ時代に摂関政治の最盛期を作り上げた藤原道長も大きなキーマンとなる事でしょう。

摂関政治とは平安時代に藤原北家が天皇の外戚として摂政や関白あるいは内覧といった要職を占め政治の実権を独占し続けた政治体系 
Wikipediaより引用

と上記のような説明がなされています。

摂政・関白と聞くと摂関政治や豊臣秀吉を想像する人が多いと思います。しかし、他の時代でも多くの人が摂政・関白に就任しています。

そこで、各時代の摂政・関白の役割や立ち位置の違いをみていこうと思います。

各時代の摂政と関白の立場

律令制の最高官位は太政大臣ですが名誉職的な要素が強いものでした。そこで、天皇に次ぐ権限を持ち政治を主導する摂政・関白が令外官※として作られています。日本の歴史上たくさんの人物が就任し、各時代でそれぞれ役割を担いました。

※法の規定のない新設の役職

天皇の補佐役【摂政の誕生】飛鳥~奈良時代

日本書紀では初めて摂政に就いたのが聖徳太子(厩戸皇子)と記されています。他にも中大兄皇子(天智天皇)も摂政として政治を主導していました。この時代の摂政は、忠実な天皇補佐役として政治を動かしています。また、次期天皇候補が国政に関わり摂政になっていました。これを皇親摂政と呼んでいます。

摂関政治の確立ー平安時代

初めて皇族以外の者が摂政となったのが藤原良房でした。良房の先祖は中大兄皇子と共に大化の改新を成し遂げた藤原(中臣)鎌足で、良房の家系(藤原北家)が藤原氏長者として代々摂政となります。

藤原氏は天皇の外戚を利用し摂政・関白に就任して、朝廷内で実質的な主導権を握りました。そして、藤原道長の時代には最盛期を迎えることになります。彼らは天皇の忠実な補佐役と言うより、政治の実権を握るために摂政・関白を利用していたと言えます。

武家政権時代の摂政・関白ー鎌倉~江戸時代

武士の時代になると摂政と関白の存在が薄くなり公家たちの名誉職的なものとなり、権威はあれど権力はあまりありませんでした。かわりに征夷大将軍に任命された武士が大きな力を持ち日本を治めています。

摂政・関白に新しい風が吹いたのが豊臣秀吉が武家として初めて関白に任命された事。とは言え、この時に秀吉は近衛家の猶子※となっているので、建前上は近衛家が関白になった事になりますが。
※猶子…実親子ではない二者が親子関係を結んだときの子(参照Wikipedia)

その後、秀吉は豊臣の姓を与えられたことにより、朝廷から名実ともに摂関家の一つとして認められています。こうして関白に就くことで、その権威を背景に豊臣政権による全国支配を確立させています。

その後、江戸時代になり徳川家康による幕藩体制が確立すると再び摂政・関白は再び公家の名誉職に収まりました。

再び天皇を補佐へー明治時代〜令和

関白職は豊臣秀次以降、近衛・二条・九条・鷹司・一条家の五摂家がその職に就き1868年の王政復古の大号令により最後の関白・二条斉敬をもって関白が廃止されましたが、摂政はこれまで通り天皇の補佐役として政務を代行するとしました。

明治以降で摂政となったのは、大正天皇が病に伏しているところを裕仁親王(昭和天皇)が摂政となり代わりに政務をこなしたのみとなっています。

現代の摂政・関白はどうなっているの?

明治以降で摂政になった人物は裕仁親王(昭和天皇)と書きました。

その後に摂政は置かれませんでしたが、現在の日本国憲法や皇室典範において摂政制度が規定され、日本国憲法では摂政は天皇の名の下で国事行為を行う職とされています。

今のところ事例はありませんが、天皇が何らかの理由で国事行為を行うことが出来なければ皇室会議で判断し摂政がおかれるようです。日本国憲法に皇室典範が制定されていますが、摂政について定めていますが関白については廃止のまま定められていません。

摂政と関白どっちが偉いのか?

摂政が幼少の天皇や女帝の権限を代行して補佐する役職であるのに対し、関白は成人した天皇の補佐をします。成人した天皇が必ずしも関白の言うことを聞くとは限らないので、権限を代行する意味では摂政のほうが大きな権力を持っているように感じます。関白はどちらかというと天皇の代行と言うよりアドバイザー的な意味合いが大きいように感じることから、権限を行使できる摂政のほうが関白より偉いように思えます。

歴史の探求者

歴史好きが講じて歴史ブログを運営して約10年。暗記教科であまり好きでないと言う人も少なくないはずです。楽しく分かりやすく歴史を紹介していければと思います。歴史好きはもちろんあまり好きではない人も楽しめるような内容をお届けします。

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