計5人が動いたトレードの主役。「クレメンスの息子」はおまけ!?
1月7日、フィラデルフィア・フィリーズとデトロイト・タイガースは、計5人が動くトレードを成立させた。フィリーズがグレゴリー・ソトとコーディ・クレメンスを獲得し、タイガースは2人と交換に、ニック・メイトン、マット・ビアリング、ドニー・サンズを手に入れた。
5人のうち、クレメンスはロジャー・クレメンスの四男、メイトンはフィル・メイトン(ヒューストン・アストロズ)の弟だ。クレメンスの父は、サイ・ヤング賞を7度受賞した。メイトンの兄は、過去2シーズンとも65試合以上に登板している。
ただ、現時点における、このトレードの「主役」はソトだろう。
2021年と2022年のどちらも、60登板以上で防御率は3点台前半。奪三振率は11.00に届かず、与四球率は5.00以上だ。これらのスタッツからは見えてこないが、ソトのシンカーと4シームは最速100マイルを超え、ゴロ率が高い。また、2シーズンに48セーブと9ホールドを記録し、セーブ失敗は4度しかない。来月で28歳と若く、FAになるのは2025年のオフなので、あと3シーズンは保有できる。
フィリーズでは、サランソニー・ドミンゲスとホゼ・アルバラード、1年1000万ドルで加入したクレイグ・キンブレルらとともに、リードした試合終盤に起用されるはずだ。編成を司るデーブ・ドンブロウスキの好みなのか、ゴロ率の高いハードボーラーという点は、ドミンゲスとアルバラードも、ソトと共通する。なお、キンブレルを含めた4人とも、制球には不安がある。
クレメンスは、開幕ロースターに入るかどうかも定かではない。メジャーリーグ1年目の昨年は、56試合に出場し、打率だけでなく、出塁率も.200に達しなかった。セールス・ポイントを挙げるなら、汎用性だろうか。内外野を守るのに加え、7試合に登板し、9月5日には大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)を見逃し三振に仕留めた。33人中12人にヒットを打たれ、奪三振は他に皆無。2023年のシーズン年齢(6月30日時点)は27歳だ。ちなみに、8月21日には、打者として大谷と対戦し、空振り三振を喫している。2打席目は、二塁ゴロだった。
一方、タイガースが獲得した3人も、すでにメジャーデビューしている。いずれも、トップ・プロスペクトと目されてはいなかった。2021年にデビューしたメイトンとビアリングも、クレメンスと同じく内外野をこなすが、タイガースでは三塁が空いているので、メイトンは候補の一人となる。ビアリングは第4の外野手だろうが、完全な控えではなく、アキール・バドゥーらと併用の可能性もありそうだ。昨年9月にデビューしたサンズは、控え捕手の座をジェイク・ロジャースと争う。2023年のシーズン年齢は、26歳、26歳、27歳だ。
フィリーズのビアリング放出は、ブランドン・マーシュを右打者と併用せず、センターのレギュラーとして起用する方針――あるいは期待――を示しているように見える。