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5回2安打無失点の岩貞を援護できず。フェニックスLで楽天に2連敗《10/11 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
中4日で先発した岩貞投手。楽天打線を抑え、2試合連続で5イニング無失点の好投!

ことしの『みやざきフェニックス・リーグ』は、この2日ほど雲の多いお天気ながら雨の心配はなく、順調に日程が消化されています。昨年は台風の影響で初日の8試合が全滅。開幕して8日の間に毎日何試合かが中止になり、そのうち全滅が3日あったんですよね。2013年も何試合か中止になっていました。ことしは、この先もしばらく好天が続くとの予報。主催者の皆さんにとっては最高の年でしょう。

おかげで連戦の選手たちにはクタクタかもしれませんね。毎日夜には素振りがあり、休養日は練習試合ですから、そろそろ中止も欲しいくらいかな?そうそう、阪神は19日以外の休養日(9日、14日、23日)に練習試合を予定していますが、諸事情により行われない場合もあるようです。見学の計画を立てておられたら申し訳ないのですけど、前日には有無がわかりますので、宮崎市観光協会のサイトなどでご確認ください。

きのうの生目の杜は、こんなふうに強い風が吹いていました。
きのうの生目の杜は、こんなふうに強い風が吹いていました。

さて、きのう11日も連休の最中ということで多くのお客様が詰めかけた生目の杜第2球場で、阪神は8日の試合で11対2と大敗を喫した楽天と対戦。日差しが少なく、おまけに風が強くて冷たくて、肌寒い中での観戦でした。試合は投手戦となり、阪神の岩貞投手は5回2安打無失点、楽天は古川投手が7回4安打無失点。リリーフ陣も好投を見せたのですが、9回に伊藤和投手の制球が乱れて押し出し2つなど1安打5四球で4点を献上。4対0の完封負けを喫しています。打線も散発4安打で援護できませんでしたね。

《フェニックス・リーグ》10月11日

阪神- 楽天 (生目第2)

楽天 000 000 004 = 4

阪神 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】岩貞-藤原-榎田-伊藤和 / 清水

【楽天】古川(7回)-入野(1回)-大塚(1回) / セゴビア-下妻(8回~)

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:横田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

2]左:緒方  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃左:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]二:北條  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

4]右:中谷  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]三:陽川  (4-0-0 / 4-0 / 0 / 2)

6]一:西田  (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0)

7]指:小豆畑 (3-0-0 / 3-0 / 0 / 0)

8]捕:清水  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]遊:植田  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

岩貞  5回 63球 (2-4-1 / 0-0) 146

藤原  2回 25球 (1-2-0 / 0-0) 143

榎田  1回 18球 (1-0-0 / 0-0) 143

伊藤和 1回 46球 (1-2-5 / 4-4) 139

試合経過

岩貞投手は、少しずつ変えているというフォームが奏功したとのこと。
岩貞投手は、少しずつ変えているというフォームが奏功したとのこと。
2人目の藤原投手は2イニングで1安打無失点。
2人目の藤原投手は2イニングで1安打無失点。
榎田投手も8回1イニングを0点に抑えました。
榎田投手も8回1イニングを0点に抑えました。

素晴らしい立ち上がりを見せた岩貞。1回は、2回と1三振ずつ奪っての三者凡退。3回は1死から8番・島井をサード陽川の送球エラーで出すも後続をピシャリ。4回は先頭の2番・八百板に中前打され、これが初安打でしたが、次の三好は遊ゴロ併殺打!4番・セゴビアを歩かせたもののフェルナンドは三ゴロで無失点です。5回は3球で2死を取ってから、島井をサード内野安打と送球エラー(ファーストに誰もおらず、セカンド北條がカバーに。それを一瞬待った陽川の送球は少し逸れました)で二塁へ進めます。しかし大坂谷は高めの真っすぐを振らせて三振!予定の5回を投げ2安打無失点で交代しました。

ついで藤原が登板。2死から三好の中前打を許しただけで、7回は2奪三振の三者凡退!2イニングを無失点です。いい投げっぷりでしたね。8回の榎田も下位からの攻撃とはいえ2死後に1番・柿澤の中前打1本のみで無失点の好投!

楽天の初ヒットは4回、育成ルーキーの八百板選手でした。
楽天の初ヒットは4回、育成ルーキーの八百板選手でした。
6回にいい守備を見せ、みんなに声をかけられるショート植田選手。
6回にいい守備を見せ、みんなに声をかけられるショート植田選手。
緒方選手は8回にフライを好捕。ベンチ前で中村コーチが何か言っています。
緒方選手は8回にフライを好捕。ベンチ前で中村コーチが何か言っています。

一方、こちらの打線も連打がなく0行進が続きます。楽天の先発・古川に対して、1回は2死から北條が左前打。2回は陽川が空振り三振、西田は振り逃げ(三振と暴投)、小豆畑も空振り三振で、続く清水は三ゴロ。これをサードが悪送球して西田は二塁へ行きましたが、オーバーランしてタッチアウトに…。3回は先頭の植田がショート内野安打で出るも、横田の二ゴロ併殺打など3人で終了。4回は中谷の左前打のみ。5回は三者凡退。

6回に1死から緒方が左前打して盗塁成功!北條の右飛で三塁へ進んでいます。これが両チーム通じて初の三塁走者でした。そのあと中谷はストレートの四球で2死一、三塁としたものの陽川は空振り三振で得点なし。7回は先頭の西田が四球を選んで小豆畑が初球でキッチリ送りますが、そこまで。8回は2人目の入野に三者凡退でした。

0対0のまま迎えた9回、前日に宮崎入りしたばかりの伊藤和が登板。先頭の三好に中前打され、暴投で二塁へ。下妻は四球、また暴投があり、続くフェルナンドにも四球を与えて無死満塁となって、ここから2人続けて押し出しの四球で2点。なおも無死満塁で代打・福田の遊ゴロの間に1点。

ことしのフェニックス初登板だった伊藤和投手。この悔しさをいつか。
ことしのフェニックス初登板だった伊藤和投手。この悔しさをいつか。

ようやく1死を取りましたが、9番の大坂谷へも四球を与えてまた満塁。柿澤は空振り三振で2死までこぎつけます。しかし満塁に変わりはなく、八百板への3球目で空振りさせた球がまた暴投となって、もう1点入り、最後は空振り三振で終わりました。打者9人で1安打5四球、計4失点です。その裏の攻撃は2死から西田が四球を選ぶも小豆畑の三振(ハーフスイング)で試合終了。小豆畑3三振、陽川4三振など計11三振と、2試合連続で2ケタ三振を奪われています。

「中4日、問題ないです」と岩貞

岩貞投手は5回で63球を投げ2安打(実質、1安打といってもいいくらい?)無失点の好投。ナイスピッチング!と言ったら「よかった、ような気はします」。いやいや、よかったでしょう。「あ、シュートがよかった!」と笑顔でした。「フォームを少しずつ変えていて、その感覚がつかめてきたかなと。変えたところですか?右足のつま先を“ヒュー”じゃなく“ポン”っていく感じです」…う~ん。身振りを見ると何となくわかるような気も。

先発の岩貞投手は5回無失点。「シュートがよかった」と話しています。
先発の岩貞投手は5回無失点。「シュートがよかった」と話しています。

「体重が流れると斜めからボールがいってしまうので、上からいくように」。雰囲気はわかりました。「それで、きょうはボールにスピンが効いていて、左バッターへのシュート、インコースが使えたのはよかったと思う」。なるほど、そういうことなんですね。中4日での先発も「問題ないです」とサラリ。

久保投手コーチは「岩貞、よかったよ!ただ本人は少し課題があるとは言っていたけどね。やっているところはできている。シュート、チェンジアップ、フォーク、こういうのをうまく使い出した。藤原にしても腕が振れ出した。力強く投げられています」と評価していました。伊藤和投手のことを聞かれ「ストライクを大阪に置いてきたから、まだ届いてないんだろうね」と寂しげに苦笑したあと「それもフェニックス・リーグ。与えられたイニングで何かを感じて、また秋季キャンプへ向かっていく。ゲームを通して自分の行く末を見ていくべきところ」と続けました。

伊藤和投手は9回に登板して1安打、5四球、3暴投で4失点。話しかけていいものかどうか躊躇しつつ、でも穏やかに応じてくれたので少し聞いています。「頭ではわかっているんですけど…なんというか…」。なかなか言葉が選びきれない様子です。「ストライクが入らなくて、ストライクを取りにいって逆によくなかった。しっかり腕を振って投げるべきですね。フォーム的なこと、頭ではわかっているので、それが無意識にできるように練習していきます」とのこと。

緒方は盗塁成功、好守備も

完封負けを喫した打線ですが、いい守備もありました。緒方選手は8回、先頭・島井選手の左翼線へ飛んだ打球を好捕!勢い余って倒れたというか、座ったというか。でもボールは離していません。その体勢が、お尻を地面につけて両足を前へ伸ばした感じ。クマのぬいぐるみを座らせたみたいな、と言えばわかりますかね。開脚のままグラブを掲げて、ボールを持っているアピールする姿がメチャクチャ可愛らしかったんですよ。

いい守備を見せてベンチへ戻ってきた緒方選手。すごい笑顔ですねえ。
いい守備を見せてベンチへ戻ってきた緒方選手。すごい笑顔ですねえ。

チェンジになって戻ってきた時、ベンチ前で中村外野守備走塁コーチや選手たちに声をかけられた緒方選手。試合後に「テディベア風の開脚だった」と言うと笑っていました。また6回には左前打と盗塁を決めています。何度も牽制されてからの盗塁でしたね。「全然。あれくらいは大丈夫です。あれで走れなかったら、誰も走れないんで」と、意に介さずという答え。

ヒットについては、レフトの前にポトンと落ちたもので「あの当たりがヒットになって、ライナー(快音を響かせた8回の二直)がアウトになる。それが野球ですねえ」としみじみ。悟りの境地?それから、先発した楽天の古川投手(2年目、20歳)は149キロが出ていたことを伝えたら「149?やっぱり。いい真っすぐでしたよ。高めにグッときていた」と感心していました。

植田は嬉しいフェニックス初安打

植田選手は、3回のショート内野安打がフェニックス・リーグ初ヒット。「ラッキーですねえ!早くヒットが欲しかったんでホッとしました。よかった。次はきれいなヒットを打ちたいです」と嬉しそうにニコニコ。守備では6回に八百板選手の遊ゴロをうまくさばいています。ただし「9回に1つあったんで」と。押し出し2つで、なおも無死満塁だったところで代打・福田が遊ゴロ。これを「はじいてしまって焦りました。ゲッツー取りたかった」と言います。

内野安打ではありましたが、フェニックス初安打を放って一塁へ。植田選手。
内野安打ではありましたが、フェニックス初安打を放って一塁へ。植田選手。

一塁へは素早い送球でアウトだったものの、三塁走者を還したことでしょう。ホームでもう一つアウトを取れたと悔やんでいました。試合で積む経験は、これからの植田選手にとって全部が宝物になりますね。まだ先は長いフェニックス・リーグ。「しっかり体をケアして、疲れを溜めないようにします」という言葉で締めくくりました。ケガなく秋季キャンプを迎えてくださいね。

なおペレス選手は、左で親指の付け根付近に痛みがあり、この日は欠場。今後も様子をみながらになるそうです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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