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たまに婚活をやってダメだったから嫌になることの繰り返しです~40歳からの婚活入門(25)~

大宮冬洋フリーライター
東京・西荻窪のアジア食堂「ぷあん」にて。好奇心旺盛な河西さんと(筆者撮影)

 アラフォーの独身女性は生きづらいと思う。出産のリミットを感じながらの婚活は苦しいし、既婚者とはその辛さや孤独感を共有できない。話が合う友人知人がだんだん少なくなる。シングルマザーの場合はより深刻だ。幼い子どもがいると仕事・恋愛・趣味のいずれにも時間を取れず、母子で孤立しやすい。

 筆者は昨年末に電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を自費出版した。既婚未婚それぞれの40歳男女に偏りなくインタビューして撮影をさせてもらう予定だったが、独身女性からは取材を断られることが多かった。「今の自分を書いてほしくないし、人からも見られたくない」といった理由がほとんどである。

 だからこそ、彼女たちの話を聞きたい。匿名でいいから、その状況と胸の内を教えてほしい。同じ40代として腹を割って語り合う気持ちで本シリーズを続けている。

***派遣社員、河西美和さん(仮名、43歳)の話***

学歴コンプレックスが強くて、自己肯定感が高くない私

 メーカーで試作品を作る仕事をしています。正社員の人たちは開発のための会議や折衝で忙しいので、試作の現場は私たち派遣社員やパートが主戦力です。

 大学を出てから他の会社で正社員をしていたこともあります。でも、デスクワークや会議や折衝が性に合っていなかったようで自律神経がおかしくなってしまいました。本当はモノづくりをしながら正社員になりたいのですが、手を動かすだけでは社員にはなれないのだそうです。

 転職を繰り返して仕事面でずっと迷走していたこともあって恋愛関係もいまいちです。一応、26歳から32歳までは恋人がいました。友だちが企画したスノボの会で知り合った同い年の人で、私のボードのメンテナンスをしてくれたんです。私は自己肯定感が高くないので、それだけで好きになってしまいます。

 彼は面白くて正義感も強い人だったのですが、お酒に溺れてしまう人でもありました。酔って怒鳴ったり壁を殴ったり。私のことは「呼べばすぐにビールを下げて来てくれる便利な彼女」ぐらいにしか思っていなかったはずです。決定的だったのは、たまには私が好きなお店でデートしたいと思って一緒に行ったら、「酒が高い。もっと安く飲める店がいい」とボロクソに言ったこと。思いやりがないので別れました。

 その頃、派遣先の会社で営業さんからグイグイと迫ってもらっていました。でも、2回ほど関係を持っただけで終わり。新規の営業と同じように、女性を落とすプロセスだけが醍醐味だったみたいです。それでも私は彼のことが好きで3年間もひきずってしまいました。

 最近は、職場で片想いをしていた3歳下の男性がいました。几帳面すぎるぐらいきちんとしている研究職の人です。手紙で「行ってみたいピザの店があるので一緒に行きませんか」とお誘いしたのですが、「ダイエット中なので」と断られてしまいました。ずっと好きだったけれど相手にしてもらえないことが続いて、彼は関西の拠点に異動になってしまったんです。彼の希望がかなったのは良かったなと思っています。

 婚活はたまにやってみてダメだったから嫌になることの繰り返しです。婚活バスツアーに参加したり、ハイスペックな男性ばかりがいる結婚相談所に登録を検討したり。私は学歴コンプレックスが強いので、高学歴で仕事ができそうな男性を求めてしまう癖があります。そのこだわりを捨てない限り、結婚なんて無理だとわかっているのですが……。

コーヒーを飲んだ後、店内の物販コーナーで一緒に買い物をしました(筆者撮影)
コーヒーを飲んだ後、店内の物販コーナーで一緒に買い物をしました(筆者撮影)

***筆者より河西さんへ***

長い人生を健やかにまっとうするために必要なものは「家族」ではなく「朗らかさ」

 改めてインタビューをすると愚痴や自己否定の言葉が多い河西さんですが、不思議と嫌な気持ちにはなりません。仕事や恋愛を離れたところの河西さんは、食べ物やモノづくりなどへの好奇心が強くて話題も豊富で、周囲の人への気遣いもできる人だからだと思います。河西さんは良き友だちが多いはずです。

 40代になると、白髪が増えるなどの「老い」を感じ始めますよね。親世代は仕事から引退していることがほとんどです。すると、「長い人生を健やかにまっとうするために必要なものは何か」と考える機会が増えます。いろんな人を観察し、その話を聞いていて、僕が一番必要性を感じるのは「朗らかさ」です。

 お金があって、ステータスも高くて、立派そうな家族がいる人でも、意固地で面倒臭い性格だと周囲から嫌われます。周囲は、義理でお世話をしているか、その人に財産や権力が残っているので打算で仕方なく付き合っているのです。僕にはそれが人間の幸せだとは思えません。

 お金は少ない独居老人であっても、できるだけ自立しつつ近所の人たちとは仲良くして、愉快に暮らしている人は少なくありません。結婚をしなくても、心が温まるような人間関係があれば人は生きていけると思います。そのためのキーワードはやはり朗らかさではないでしょうか。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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