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ウクライナ軍、ポーランド製の神風ドローン「WARMATE」でロシア軍の軍事施設を破壊:FPV公開

佐藤仁学術研究員・著述家
ポーランド製の神風ドローン「WARMATE」(ウクライナ軍提供)

2022年9月からウクライナ軍が使用している「WARMATE」

2023年6月にウクライナ軍はポーランド企業WBエレクトロニクスが開発した神風ドローン「WARMATE」でロシア軍の軍事施設を破壊する動画を公開していた。ポーランド製の神風ドローン「WARMATE」が破壊したロシア軍の軍事施設は近距離対空防御システム「パーンツィリ-S1」を2機、トラックに搭載された電子戦ジャミング通信ステーション「R-330Zh Zhitel」、監視レーダーシステム「Podlet K1」、監視レーダー「Kasta 2E」3機。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。

2022年8月にはリトアニアで市民らの募金で100万ユーロ(約1億5000万円)が集まり、その資金でポーランドの攻撃ドローン「WARMATE」37機を購入してウクライナ軍へ提供した。さらに2022年9月には40機の「WARMATE」が追加でポーランドから提供され、最初の20機がウクライナに到着して、戦場の最前線に送られているとウクライナの国営メディアが伝えていた。またウクライナ軍では世界中から集まった寄付金でも「WARMATE」を購入している。

ウクライナ軍ではポーランド製の「WARMATE」だけでなく市販されている小型の民生品ドローンに爆弾を搭載して神風ドローンに改造して、ロシア軍の様々な軍事施設や塹壕に突っ込んでいき爆発させている。突っ込んでいき爆発するシーンをFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で撮影することも多い。FPVはドローンに搭載されたカメラの視点から見えている風景が操縦者に見える。標的に突っ込んでいき爆発し最後はドローンも粉々に破壊されるので、映像も爆発の直前で停止している。

2023年2月にはウクライナ国境警備隊がヘルソンでロシア軍が基地に使っている建物にポーランド製神風ドローン「WARMATE」で攻撃を行って建物を爆発させていた。ウクライナ国境庁の公式YouTubeでその様子を公開していた。だがその映像は別のドローンが撮影したもので、「WARMATE」がロシア軍の軍事施設に突っ込んでいくFPVでの攻撃シーンはめったに見たことがない。

▼ポーランド製の神風ドローン「WARMATE」によるロシア軍の軍事施設への攻撃

▼ウクライナ軍に届けられた「WARMATE」(2022年9月)

▼ポーランド製神風ドローン「WARMATE」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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