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マイダネク絶滅収容所の「X」もフォロー解除者が急増:アウシュビッツ博物館「X」は数週間で7万超が解除

佐藤仁学術研究員・著述家
(マイダネク博物館提供)

150万フォロワーがいるアウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式Xは数週間で7万減

ホロコースト時代にナチスドイツがポーランドのルブリン郊外に設置したルブリン絶滅収容所。日本ではアウシュビッツ絶滅収容所ほど有名ではないが、アウシュビッツ絶滅収容所に次ぐ規模だった。周辺の町マイダンの名前をとって「マイダネク絶滅収容所」と戦後は呼ばれていることが多い。

現在では、収容所跡地を博物館として公開しており、アウシュビッツ絶滅収容所博物館と同じように社会科見学や観光客などが訪問している。マイダネク絶滅収容所博物館は公式Xでホロコースト時代の写真や出来事などを情報発信していた。そのマイダネク絶滅収容所博物館の公式Xで2024年11月18日に「最近、300人のフォロワーが解除してしまいました。是非、私たちの声を世界に届けてください。ホロコーストの記憶を後世に伝えていきましょう」と訴えていた。アウシュビッツ絶滅収容所公式博物館ほど有名ではないので、フォロワーは1万人程度であるため300人のフォワーでも解除されると影響は大きい。

2024年11月10日には、同じくホロコースト時代に設立されたアウシュビッツ絶滅収容所の跡地にあるアウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式Xで「ここ数日のうちに、2万人超のフォロワーが減りました。私たちにとってオンラインでのコミュニティは過去のアウシュビッツ絶滅収容所で起きた悲劇と記憶を後世に伝えていくための重要な場所です。私たちはともに記憶を後世に継承していきましょう。皆さんの引き続きのご協力をお願いします。アウシュビッツ絶滅収容所で起きた出来事は決して忘れてはいけないものです」と投稿していた。

アウシュビッツ絶滅収容所の公式Xは2024年10月末で約159万人のフォロワーがいたが、2024年11月10日現在では157万まで減少してしまった。そして11月21日には152万人にまで減少してしまった。ここ数週間で7万以上のフォロワーがフォローを解除してしまった。

米国民主党支持のリベラル系が解除?Blueskyに変更?

マイダネク絶滅収容所の公式Xのフォロワーが最近300人解除し、アウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式Xは7万人超のフォロワーがいっきに解除してしまったことの理由は明らかにされていない。アメリカ大統領選挙でイーロン・マスクが共和党を支持していたので、もうXはやりたくないからアカウントごと削除してしまったという民主党支持者がアメリカに多くいる。特にアウシュビッツ絶滅収容所博物館やマイダネク絶滅収容所博物館の公式Xをフォローしている人はリベラル系の方が多い。米国民主党支持者だけでなく世界的にリベラル系の方々はイスラエルのガザ侵攻に反対してパレスチナを支持しているアカウントをフォローしているし、同時にユダヤ人の犠牲になったホロコースト博物館や収容所博物館などのアカウントもフォローしていることが多いのも特徴である。

リベラルな民主党支持者らがBlueskyというSNSに流れて行ったという話も聞く。それらも要因かもしれない。だが、それだけでアウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式Xが数週間で7万人もいっきに減るだろうか。何等かの理由でアカウントがいっきに凍結されてしまったのかもしれないが、詳細な原因は今だにわかっていない。

▼2024年11月10日にフォロワー2万人がフォロー解除したことを報告するアウシュビッツ絶滅収容所博物館の公式X

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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