上皇后美智子さま、88歳の米寿に キューピッド役のご友人との交流と62年前の自筆メッセージ
10月20日、上皇后美智子さまが88歳のお誕生日を迎えられた。
お誕生日に際し、赤坂御用地を上皇さまと散策しながら、手を繋いで仲睦まじく語らい合うご映像が公開された。交わされる穏やかな視線は、お二人が支え合ってこられた歳月を感じさせるようであった。
今から64年前、上皇さまと美智子さまのキューピッド役を務めた、テニス仲間でありご友人の織田和雄さんは、親しくご夫妻と交流する一人だ。そんな織田さんのもとには、ご夫妻からグリーティングカードが毎年のように届き、今も大切に保管しているという。
グリーティングカードとは、欧米などで年中行事に合わせて感謝の気持ちを示すために送るもの。
「上皇さまと美智子さまは、親しい人にグリーティングカードを送られるのですよ」
と織田さんは話す。
筆者は、美智子さまのお人柄を少しでも伝えたいと思い、今回、織田さんの許可を得て、美智子さまから送られたグリーティングカードの一部を紹介したいと思う。
カード自体は、はがきサイズの紙を二枚横に繋げた大きさで、中央から二つ折りとなっている。表にはご家族の写真が貼られ、開くと手書きのメッセージがしたためられていた。こうしたカードが、封書で送られてくるのだと言う。
これは1960年(昭和35年)、織田さんがアメリカの大学に留学していた時に届いたものだ。上皇さまが書かれた文面の隣に、美智子さまが流麗な筆致でメッセージを綴られていた。
「日本を離れてお迎えになるお正月、お雑煮やオモチ料理をお送り出来ないのが残念でございます」
と書かれており、当時、単身アメリカで過ごし、遠く離れた地でお正月を迎える織田さんへのお心遣いが伝わってくる。
「ご帰国を楽しみに楽しみにお待ちいたしております」
と、読む人の気持ちが温かくなる文章で締め括られていた。
その翌年のグリーティングカードには、「赤ちゃんの成長は早いもので、もう物に掴まりながら歩けるようになりました」など、上皇さまが幼い浩宮さま(現天皇陛下)をあやす喜びとご感想が臨場感たっぷりにしたためられていた。
独楽を回すとそれを浩宮さまが掴んで放り投げるご様子や、上皇さま(当時は皇太子)ご自身も子どもの頃に独楽が好きだったことも書かれ、わが子へ愛情を注がれるご様子が窺えた。
上皇さまが子育てのご様子を詳しく書かれたためか、余白のスペースがわずかとなって、カードの最後あたりに美智子さまは「おめでとうございます」と新年のご挨拶を一言だけ、控え目に書かれていた。
皇太子妃時代からいつも上皇さまの一歩後ろに下がって、お隣で微笑んでいらっしゃる謙虚な美智子さまのお姿が浮かぶ。夫唱婦随のご夫婦の素顔が表れているようだ。
また、浩宮さまが小学1年生くらいの時に届いたというグリーティングカードにも、上皇さまが書かれたメッセージに続いて、美智子さまは相手への気遣いが伝わってくる文章をしたためていらっしゃった。
「お体をくれぐれもお大切になさって下さいませ」
そして、これ以外にも、美智子さまが自筆で書かれた珍しいものを、織田さんから見せてもらった。浩宮さまご誕生のお祝いに、織田さんとお兄さん(上皇さまのご学友である織田正雄さん)が、上皇ご夫妻にオルゴールをプレゼントした時のお礼状である。
和紙に描かれている模様は、赤ちゃんの健康を祈願し、魔除けのお守りに使われてきた伝統工芸の犬張子と、古来より縁起の良い鳥とされてきた鶴。
和紙に金と銀の鶴という色合わせがおめでたい印象で、和の柄が品の良さを醸し出している。
そこに、美智子さま自らしたためられた文字が。
「可愛いオルゴールをありがとうございました。枕もとに飾りました」
当時、浩宮さまの枕元にはオルゴールと一緒に、犬張子と折り紙の鶴も飾られていたのかもしれない。
若き日の青春時代から連綿と続く上皇ご夫妻と織田さんとの友情は、グリーティングカードという心温まる思い出とともに、残されている。
そして織田さんが送ったカードもまた、上皇ご夫妻の元で大切に保管されていることだろう。
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