ふっくらした絵画、ボテロのドキュメンタリー映画と回顧展が同時に公開
このところ、お年寄りのクリエイターたちが元気だ。
たとえば、今年で92歳になるクリント・イーストウッド監督による最新作「クライ・マッチョ」が1月に公開されたことは記憶に新しい。
そして美術界では、イーストウッドよりひとつ年上の草間彌生は昨年、イスラエルのテルアビブ美術館での大規模な個展が話題となった。
さらにもうひとり、美術界を代表するマエストロと言えば、フェルナンド・ボテロの名が挙げられる。
ボテロは今年で90歳。生まれ育ったコロンビアで初めての個展を開いて71年目を迎える大御所だ。
このボテロが、目下、がぜん注目を浴びている。というのも、4月29日からドン・ミラー監督による映画「フェルナンド・ボテロ 豊満な人生」のロードショーが始まるからだ。さらには、同じ日からBunkamura ザ・ミュージアムにて個展も始まるのだ。
ボテロ本人がみずからの生涯を語るドキュメンタリー
まず映画は、ボテロ本人がみずからの生涯を語るドキュメンタリー。
闘牛学校に通いながらデッサンを繰り返した日々に始まり(つまり、闘牛士を目指していた!)、南米を離れスペインをはじめヨーロッパで過ごした数年間や、ニューヨークに移り住んでからの成功の日々などを振り返る。
ボテロが子どもや孫に囲まれて話す様子は、笑いが絶えず、実に朗らかだ。このようにこの映画はボテロの人柄を映し出す。
もちろん、映画中には数多くのボテロの絵画が登場。ボテロと言えばお馴染みの、あの、ふっくらとしたユーモラスな人物画がスクリーン上で鑑賞できる。いや、人物だけではない。ボテロはねこも馬も花も家具もぷっくりと描くのだ。
また、ボテロの絵画以外にもピカソやルノアール、モネらによる巨匠たちの作品の数々もお目見え。
2000年、ボテロは祖国のコロンビアに美術館を開設。自作と収集した作品計200点近くを寄贈した、入場無料の美術館だ。
少年時代のボテロはヨーロッパの名作を目の当たりすることはかなわなかった。やがてヨーロッパに出かけて、ようやく悲願が実現した。つまり、コロンビアの人たちがピカソらの絵に触れられるようにというボテロの意向がうかがえる。
26年ぶりに日本で行われる大規模な展覧会
一方、Bunkamura ザ・ミュージアムではボテロの個展が開催される。1995-96年の巡回展以降、実に26年ぶりに日本で行われる大規模な展覧会である。初期から近作までの油彩や水彩など全70点で構成される。
映画でボテロの人柄や考えを知り、展覧会で作品にじかに接する機会になるに違いない。
映画
2022年4月29日(金・祝)より、東京・Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
展覧会
会期:2022年4月29日(金・祝)〜7月3日(日)
5月17日(火)は休館
時間:10時〜18時(入館は17時30分まで)
毎週金・土は21時まで(入館は20時30分まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
料金:一般当日1800円(前売1600円)
大学・高校生当日1100円(同900円)
中学・小学生当日800円(同600円)
巡回展:7月16日(土)~9月25日(日)、名古屋市美術館
10月8日(土)~12月11日(日)、京都市京セラ美術館