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手風琴というパンドラの筺を開けた25周年の軌跡

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

アコーディオンという

懐かしさはあるけれど

ちょっとイケてない

イメージのある楽器を

完全にパラダイムシフト

させてしまった変革者。

cobaが25周年を祝った

2017年のツアー最終を飾る

お江戸・日本橋での

ステージです。

25周年を盛ったイタリア名誉市民賞受賞

画像

このツアー、デビュー25周年の

ラストを締めくくるだけでなく、

イタリア名誉市民賞の受賞記念も

兼ねたものとなりました。

イタリアのカステルフィダルド市

から贈与されたもので、

世界でも3人目。

実はこの市、

アコーディオンの聖地

と言われているそうです。

この市からの受賞だからこそ、

価値もひとしお、

なのではないでしょうか。

裸一貫、と言っても

決して誇張ではないような状態で

イタリアへ渡った話を

取材でうかがっていました。

そんな記憶をたぐりながら、

開演を待つことしばし。

“走馬燈”を具現した盛りだくさんのステージ

開演前、

「きょうのステージ上は

やけにさっぱりしているなぁ」

と思っていたら、

客電が消えるとすぐに

その謎が解けました。

幼いころのcobaの写真に始まる、

彼の生い立ちをたどる

スライドショーが

イントロダクションとして

奥のスクリーンに映し出される

という演出。

これもまた、

デビュー25周年を締め括る、

茶目っ気たっぷりなプレゼント

なのだなぁと感心して見入って

いるうちにメンバーの登場。

本編が始まります。

初っ端から、cobaがタイアップで

提供してきた曲を繋いだメドレー。

スライドショーに続き

耳でも25年を振り返るという趣向。

木管クァルテットのゲストを入れ、

厚みを増したサウンドで最近作

『coba?』のナンバーを披露

などなど。

そして1部のエンディングには、

授賞式のために訪れた

イタリアでもウケたという

アレクサンドル・ボロディンの

「韃靼人の踊り」。

この有名なクラシック曲をcobaは、

5拍子すなわち“5つ打ち”の

ダンス・ミュージックへと

メタモルフォーゼ

させてしまいました。

すると、場内の温度は5度ほど上昇、

その余韻を引きずったまま休憩へ。

2部の冒頭、

スクリーンに映し出されたのは

イタリア名誉市民賞授賞式のようす。

論より証拠の報告と相成った次第。

このセットでは、ゲストの

大久保ノブオ&タマ伸也

(ポカスカジャン)

を交えた“コバスカジャン”の

オンステージやら、

ギターの沖仁との

コラボレーションなどなど、

盛りだくさんの

趣向を凝らしたプログラム。

エンディングは爆音仕立ての

「リベルタンゴ」。

アコーディオンという楽器を軸に

新旧の音楽観を変革し続けるcobaの

25周年の歩みを強烈に印象づけ、

アンコールの拍手に包まれる

ことになったステージでした。

霧島酒造 presents coba tour 2017 25周年記念ファイナル

イタリア名誉市民賞受賞凱旋コンサート

2017年11月4(土) 日本橋三井ホール(COREDO室町1) 開場17:15 開演19:00 NEW !

出演:coba(acc) 有田純弘(gt) バカボン鈴木(bs) 天倉正敬(drs) 十亀正司(cl) 篠塚友里江(cl) 柿沼麻美(fg) 伊藤優里(fl)

友情出演:大久保ノブオ タマ伸也(ポカスカジャン)

スペシャルゲスト:沖仁(フラメンコギタリスト)

出典:coba official site on NIPPON COLUMBIA

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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