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15勝以上のシーズンがない投手の通算白星ランキング。二桁勝利なしで通算100勝以上はいるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田幸長 AUGUST 1988(写真:岡沢克郎/アフロ)

 シーズン二桁勝利を一度も記録せず、通算100勝に到達することはできるのだろうか。

 15勝以上のシーズンがなく、通算90勝以上を挙げている投手は25人いる。最多は、石川雅規(東京ヤクルト・スワローズ)の通算183勝だ。石川のシーズン最多は、2009~10年と2015年の13勝なので、シーズン最多が15勝未満の投手だけでなく、シーズン14勝未満の通算最多勝ということになる。シーズン13勝未満の通算最多勝は、三浦大輔の172勝。シーズン12勝未満は、大竹寛の102勝。シーズン11勝未満は、鹿取義隆の91勝だ。

筆者作成
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 通算755登板の鹿取は、先発マウンドに16度しか上がっていない。シーズン最多は、1982~83年の各5先発だ。唯一のシーズン二桁勝利となる、10勝を挙げた1992年も、38登板のうち、先発は10月4日の1試合のみ。この年、鹿取が在籍していた西武ライオンズは、9月30日にリーグ3連覇を決めた。鹿取が先発投手として投げたのは、読売ジャイアンツ時代の1984年4月15日以来。8年ぶりの先発登板は、スコアボードにゼロを4つ並べ、渡辺久信と交代した。

 シーズン二桁勝利がなく、通算100勝以上を挙げた投手はいない。通算90勝以上も、通算80勝以上も皆無だ。どのシーズンも10勝未満だった投手のなかでは、前田幸長の通算78勝が最も多い。

 前田は、1989年から2007年にかけて、通算595試合に登板した。先発188登板とリリーフ407登板だ。キャリアを3つの時期にざっくり分けると、それぞれの役割は、前半が先発、中盤が先発とリリーフ、後半はリリーフとなる。二桁勝利に迫ったのは、千葉ロッテ・マリーンズ時代の1992~93年だ。両シーズンとも、9勝目を挙げた後に完投を記録しているが、白星には恵まれなかった。ちなみに、1992年も1993年も、千葉ロッテはシーズン55勝未満――ロッテ・オリオンズだった1991年を含めると3シーズン連続――だ。

 なお、シーズン二桁勝利がない現役投手のなかでは、辛島航(東北楽天ゴールデンイーグルス)の通算55勝が最も多く、平野佳寿(オリックス・バファローズ)の通算52勝が次ぐ。通算50勝以上は、この2人だけだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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