期間限定でオスロ市庁舎前を車禁止に、結果は?人は増えた?減った?
欧州モビリティ・ウィークに伴い、ノルウェーの首都オスロでは9月16~22日にかけて、市庁舎周辺で自動車の使用が一切禁止された。車を使わずに過ごすライフスタイルをすすめる一環として、欧州各地で開催されており、その取り組みは自治体によって異なる。
昨年は、オスロで車の規制はなかったが、ディーゼル車の運転者に、車を控えるように促すステッカーを車両に貼るなどの、静かな試みが行われた。
ハフィントンポスト 昨年のオスロのモビリティ・ウィークの様子
その後、地方選挙があったため、オスロの権力は保守派の右翼陣営から、左翼陣営に。急進的な緑の環境党が、最大政党の労働党とタッグを組んだこともあり、昨年よりは大きな運動が開催されるのかと多少期待した。
プログラム内容は、昨年と比較すると、急進的といえる。この期間、オスロ市庁舎前の広場は、通常は観光バスや一般車両が行き来しているのだが、車両の出入りが禁止された。アイスなどの食べ物を販売する、複数のカラフルなフードカーが並び、スケートボード広場などが一時的につくられた。
欧州モビリティ・ウィークというイベントは、ノルウェーではまだまだ知名度が低い。オスロ市も、告知はSNSを利用していたが、それでは市民へのお知らせとしては、もちろん十分ではない。車乗りは、何も知らずに広場に入ってしまい、注意され、戸惑っている人もいた。
週末の人の出入りは賑やかで、「週末だけをみると」、取り組みは成功しているように見えた。
平日は人の姿がほとんどない、寂しい光景に
ただ、まだまだ課題はあるようだ。22日は最終日でもあったため、政治家によるスピーチや、スケートショー、ダンス、現地のロックバンドのKrakesolvによるミニコンサートが開催予定だった。しかし、木曜日の夕方だったためか、イベント中にも関わらず、驚くほど人の気配がなかった。
正直、このエリアをここまで車両禁止にして、イベントをするからには、さすがにもっと人を集めないと、やる意味がないだろう。
オスロ市はあと3年以内に中心地の一般車両禁止を目指す。しかし、平日の市庁舎前の人の姿がなくなった状況をみると、ただ車の運転者を締め出すだけでは、必ずしも街が賑やかになるとはいえない状況が浮き彫りになる。
とはいえ、中心地から多少離れたグリーネルロッカ地区となると、状況は別だ(記事のトップ写真も、このエリアの現在の様子)。ここでは、自転車乗りのための道路作りが猛スピードで進んでおり、この界隈は賑わっている。だが、ここは3年後に車を禁止したい、目的の中心地からは外れている。
車乗りと、自転車乗りの間で、道路の取り合いが起きているオスロ。その対立を乗り越えて、数年後には大気汚染問題が多少は解決されているだろうか。まだまだ、先は読めない。
Text&Photo: Asaki Abumi