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NFLチアに初合格!! 本田景子さんに訊いたチアリーダー日韓比較

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
本田景子さん(写真:本人提供)

チアリーダー界の最高峰に挑戦する日本人チアリーダーがいる。バスケットボール日本代表オフィシャルチアリーダーズ「AKATSUKI VENUS」に所属する本田景子さんだ。

本田さんは今春、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のジャクソンビル・ジャガーズ専属チアリーダー「ジャクソンビル・ロアー」に初合格。来る9月の開幕戦に向けて、渡米準備を進めている状況だ。

筆者も仕事柄、これまで多くのチアリーダーをお隣・韓国で見てきた。韓国は“チアリーダー天国”と呼ばれるほど、野球、バスケ、バレーボール、サッカーなどのプロリーグでチアリーダーが活躍している。

なかにはタレント活動やCDデビューを果たすなど、マルチに活躍しているチアリーダーもいるほどで、芸能人並みの人気を誇るチアもいるほどだ。

(参考記事:【画像あり】セクシー美女ぞろい!! 韓国メディアが選ぶ“韓国チアリーダーBEST10”

とはいえ日本と韓国ではチアリーダーを取り巻く環境も異なるだろう。

そこで日本で長らくチア活動をし、ついに最高峰の舞台に立つことになった本田さんに、NFLオーディションの内容や今後の目標はもちろん、日米韓チアリーダーの違いなどを幅広く聞いてみた。

NFLチアのオーディションに挑戦

「私が今回受けたのはアトランタ・ファルコンズとジャクソンビル・ジャガーズのオーディションです。もともとはニューオリオンズ・セインツが第一志望だったのですが、直前になって“うちのチームはビザのサポートをしない”と言われてしまって、選択肢から外しました」

NFLチアリーダーのオーディションは、毎年3月~5月がシーズン。本田さんも4月上旬にファルコンズ、4月中旬にジャガーズのオーディションを受けたという。

ただの力試しではない。もう日本には戻らないという決意を持って、13年間勤めてきた会社に辞表を出しての渡米だった。

「“戻る場所がある”という甘い考えでいると、どうしても危機感が足りなくなりますし、退路を断つという思いでした。受かったら退職するわけすし、けじめですね。本気で挑まないと夢は叶わないと思ったので、そうしました」

バスケ日本代表のチアを務める本田さんであっても会社勤めとチア活動を両立していたように、日本ではまだまだチアリーダーという職業だけで安定収入を得るのは難しいという。

プロ野球のチアリーダーからそのキャリアをスタートさせ、“ハツラツ健康美女”として注目を集め、今では総合格闘技イベントのラウンドガールから“マッスル美女”としても活躍するプロチアドルのチェ・ミジンなどがいる韓国とは対照的だ。

チアリーダーたちの実情

「プロ野球のチアは学生のアルバイトが多いですね。デイゲームやナイトゲームがあって社会人には難しいので。社会人になるとアメフトかバスケ、サッカーということになってきます。Xリーグはボランティアで、バスケとサッカーは1試合いくらというかたちで手当てをいただけますが、決して大きな金額ではありません。

私はサンロッカーズ渋谷のチアをしていたのですが、半分くらいの子がOLと両立していました。広告代理店で働いている人もいれば、秘書もいたり、営業をやっていたり。インストラクターをしている子もいましたね」

チアリーダーが金銭的に報われないのは、お隣・韓国も同じだ。韓国で“その美貌と抜群のスタイルで“韓国ナンバーワンのチアリーダー”とされるパク・キリャンも同じようなことを言っていた。

パク・キリャンはチアリーダー活動だけではなく、歌手としてCDデビューしたり、有名雑誌のグラビアでグラビアを務めたりと、かなりの人気者だ。そんな彼女が先日、テレビ番組で自らの収入を公開。「チアリーダーの仕事だけでは生活が安定しない」と語っていたほどなのだ。

(参考記事:韓国No.1チアリーダー、パク・キリャンが収入を公開。「この仕事だけでは生活が安定しない」

仕事をやめ、貯金を取り崩してもアメリカで挑戦したい

ただ、それでもパク・キリャンは恵まれたほうでもある。

パク・キリャンと並んで、“韓国3大美女チアリーダー”のひとりに数えられるキム・ヨンジョンによると「チアリーダーの仕事だけで収入を得ている人は一般のサラリーマンの年収よりも少ない」というのだ。

(参考記事:韓国スポーツ界は“チアリーダー天国”。その歴史と彼女たちの収入の実態は!?)

興味深いのは、そんなチアリーダーの金銭事情は、最高峰とされるNFLでもほとんど変わらないということだろう。

「NFLのチアリーダーも日本と同じように、仕事と両立しながらになります。少しは手当てをもらえますが、とても生活していける金額ではありません。ボランティア精神ですね。そのため、みなさん学校の先生だったり、キャリアウーマンだったりしますよ」

通常の就労ビザではない本田さんは、アメリカでの生活を貯金で過ごすという。

本田景子さん(著者撮影)
本田景子さん(著者撮影)

「まだ下りていませんが、私が申請しているのは“O-1ビザ”というスポーツ選手や芸能人が取るビザです。チームの雇用となるので、それ以外の収入を得ることはできません。別の仕事をすることができないので、貯金で生活することになります」

仕事をやめ、貯金を取り崩してもアメリカで挑戦したいという本田さん。なぜ、彼女はそこまでして海を渡るのか。その理由が知りたくなった。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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