Jリーグ30年の外国籍統計、1位はブラジル勢。2位は1名→最大64名まで増加した韓国だった!!
昨日5月15日はJリーグの日。1993年5月15日に開幕したJリーグは今年で31年目のシーズンを迎えているが、これまで数多くの外国籍選手たちがプレーしてきた。
1993年から2023年までの30年間で100カ国の選手が来日したと言われており、(公社)日本プロサッカーリーグが2024年2月1日に発表した「Jリーグ選手登録推移 2004~2024」でも、のべ71カ国の選手が来日したことがわかっている。
その中で最も多かったのはブラジル。ブラジルはサッカー関連調査機関『CIES Football Observatory』が発表する「自国リーグ以外に選手供給した国ランキング」でも1位の常連だけに予想できた結果だが、Jリーグで2番目に多い外国籍選手は南米の強豪アルゼンチンでも、欧州のフランスでもなく、アジアの韓国勢だ。
下の円グラフは「Jリーグ選手登録推移 2004~2023」をもとに国籍別選手分布をまとめたものだが、韓国勢は25%にもなるのだ。
こうした状況について藤田智博氏が2013年に発表した論文『Jリーグにおけるサッカー移民の特性と変化』(日本スポーツ社会学会)では「Jリーグにブラジル選手が多い点は主要な欧州リーグと同じであり、韓国人選手の比率が高いのはJリーグならではの特性。サッカーの国際移住において文化的・地理的特殊性も無視できない」としているが、Jリーグに来る韓国人選手が増えたのは日本と韓国が距離的に近く、同じ東北アジアの文化圏にあるということだけではないだろう。
というのも、Jリーグ開幕元年の1993年にJリーグでプレーした韓国人選手はわずか1名しかいなかったのだ。
それが10年後には二桁になり、20年後の2013年には60名を突破した。その後、やや減少した時期もあるが、近年は再び増加している。その推移は図1の通りだ。
韓国では日本よりも10年早い1983年にプロ・リーグであるKリーグがスタートしており、その実力は今もアジア・トップクラスにある。そのような状況であっても、韓国人選手たちがJリーグにやってくるのはなぜか。
筆者は1994年からジャーナリストとして活動を始め、主に韓国のスポーツ、その中でも特にサッカーの取材を長く続けてきたが、1997年から韓国人Jリーガーは毎年のように増えていく現場をこの目で確認してきた。
近年、韓国でもサッカー選手の海外移籍が日常化し、その移籍先としてサッカーの本場ヨーロッパはもちろん、同じアジア圏でもある中国・中東・東南アジアに広がるまで多様化しているが、Jリーグは韓国人選手の海外移籍先として常に上位にある。
しかし、韓国人Jリーガーを研究対象にした論文は日本にも韓国にも見当たらなかった。
Jリーグにやってきた外国籍選手の研究論文としては前出した『Jリーグにおけるサッカー移民の特性と変化』(藤田智博、2013)があるが、同論文は1993年から2011年までに日本で発刊された選手名鑑をベースにしたデータ分析で、直近10年のデータ収集に関してはフォローされていないため、韓国人Jリーガーの全体像は明らかにされていない。
また、韓国には『The Changes of Paradigm in Sport Labor Migration and Its Significance: Focused on Korean Footballers(Kリーグ選手たちの海外移籍パラダイムの変化)』(Wangsung, Myung. and Esther,Lee.,2018) があるが、Jリーグに渡った韓国人選手に関しては1993年から2001年までしか言及されておらず、2002年以降について更新されたものもなかった。
こうした状況を踏まえると、韓国人Jリーガーに焦点を当てて研究を進めることは、日本はもちろん、韓国のサッカー界にとっても意義があるかもしれない。
そう考えて昨年1年間、筆者は早稲田大学・大学院スポーツ科学研究科に籍を置き、韓国人Jリーガーをテーマに研究活動を行った。
韓国からどんな選手たちがJリーグに来ているか。なぜ韓国人Jリーガーは増え続けたのか。彼らは何を求めて日本にやって来るのか。これらを調査・分析したうえで、「韓国人Jリーガー30年」の統計とその特長を数回にわたって紹介していきたい(つづく)