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人間関係を良くする代理想像

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「人間関係を良くする代理想像」というテーマでお話したいと思います。

代理想像とは、相手の立場に立つことを言います。「もし、自分が、相手の立場だったら、どう思うか?」相手の気持ちを想像する、それを代理想像と言います。

代理想像は、良い人間関係を構築する第一歩です。

ちょっと例をあげて説明します。
車を運転していると、後ろからもの凄い勢いで車間距離をつめる人がいます。こちらが軽くブレーキでも踏もうものなら、即座に追突されそうです。だから、車間距離をつめられるとドキドキします。これは、私だけではないと思います。

車間距離をつめる人は、悪気がある人ない人、いるかと思うのですが、悪気があってやっている人は、車間距離をつめることによって、何かしら日頃のうっ憤を、相手に対し意地悪することによって、晴らそうとしていると思うのですが、
悪気がなくてやっている人は、代理想像ができないから、そのような非常識な行動をやっているのだと思います。自分が車間距離をつめたら、前の車の運転手がどう感じるか、想像できないのです。だから、そういう不適切な行為をしてしまうのだと思います。

もうひとつ例をあげます。
私は電車通勤をしているのですが、直ぐに降りる訳でもないのに、ドア付近にずっと立ち止まり続ける人がいます。もの凄く邪魔です。車内放送で「入り口付近に立ち止まらず、中ほどまでお進みください」というアナウンスが頻繁に流れているにも関わらず、その声を無視し、ドア付近に立ち続けるのです。こういう人も代理想像が出来ない人です。「自分がこの場所に立ち続けることで、他の人(乗り降りする人)に迷惑をかけているのではないか?」という想像ができないのです。

ここ最近は、代理想像が出来ない人が増えたという印象を私は持っています。なぜ増えたのか? それは家でも学校でも、誰も教えないからだと思います。「相手の立場に立てることは素敵なことなんだ。相手に身になって考えられることは、素晴らしいことなんだ。人様に迷惑をかけてはいけないんだよ」と、誰も教えないからだと思います。誰からも教わらずに育ってしまったわけですから、代理想像できない人になってしまうのも、無理もないことです。

残念ながら、家や学校で、競争に勝つこと、テストでいい成績を取ることの大切さばかりを教えているようでは、代理想像が出来る人にはなっていきません。

また、最近は、SNSの発達で、匿名をいいことに、誹謗中傷を書き込む人があとを絶たない世の中・時代になってしまいました。これも代理想像できない人が増えた証拠です。「書かれた人がどう思うか?」相手の気持ちを想像できないから、平気で人を傷つけるようなことを書くことが出来るのです。

代理想像ができないと、悪気があってもなくても、人間関係はうまくいきません。
誰だって、思いやりの気持ちがない人のことを好きにはなれないからです。

次に、どうしたら代理想像が出来る人になるか? についてお話します。
乳幼児は、代理想像が出来ません。「自分が今ここで泣いたら、親は困るだろうなあ、周囲の人は迷惑するだろうなあ」ということが考えられないのです。だから、乳幼児は、好き勝手なことをやるし、だからこそ乳幼児は、可愛らしいとも言えるのですが…、
代理想像は、集団生活や共同作業をすることで、身につきます。お互いが気持ち良く過ごせるようになるには、どうしたらいいか? 相手の立場に立って考える癖がつくからです。

幼稚園・保育園にしっかり通う、小学校にしっかり通う、中学校にしっかり通う、そして、お友達と仲良く遊ぶ、そういうことで代理想像が出来る人になります。

あと、スポーツ、集団スポーツをすることによって、代理想像の能力が高まります。たとえばサッカー、自分の味方選手に対し、どの位置に、どのくらいのタイミングでボールを出せばいいか? ボールを受け取る側の立場に立って、物事を考えられるようになるからです。

他には、社交ダンスもいいかもしれません。互いが互いの立場に立って、自分の身を動かす。そのことによって、良いダンスが奏でられるようになる。

「世の中に、代理想像が出来る人がもっと増えたら、もう少し過ごしやすい、気持ちのいい世の中になるのではないか?」そう思っているのは私だけではないと思います。どうぞ、皆さんで、代理想像が出来る人が数多く存在する世の中を目指していきましょう。

ちなみに私(竹内成彦)は、毎日のように、クライアントの立場に立って、カウンセリングルームのドアを開ける、ソファに座る、話し始める、ということをやっているのですよ。これも代理想像を忘れないための、私なりの工夫です。

最後に、代理想像は非常に大切です。でも代理想像のし過ぎはダメです。代理想像は、適度にすることが大切です。どうぞ、他者のことを大切にすると共に、自分のことも大切にしていってください。

というわけで、今日は、
「人間関係を良くする代理想像」というテーマでお話しさせて頂きました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。


      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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