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キム・ヨナが帰ってくる!“フィギュア女王”4年ぶりアイスショー復帰の理由はどこにあるのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
平昌五輪開幕式では聖火最終点火者を務めた。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

“フィギュア女王”キム・ヨナが、アイスリンクに舞い戻ってくる。5月20〜22日に韓国・ソウルで開催されるアイスショー『SKテレコム All That Skate 2018』に登場するのだ。

キム・ヨナがアイスショーに登場するのは、2014年5月のアイスショー以来4年ぶり。それだけに韓国メディアも、「女王の帰還…5月、キム・ヨナの演技が再び見られる」(『Insight』)など大きく取り上げている。

“現役復帰”ではなく、あくまでも“特別出演”という形だが、それでもキム・ヨナの演技を一目見ようとチケットの予約が殺到し、発売開始からたった2分で完売となったというのだからその人気ぶりはさすがだ。

現役時代、美しい演技で国民たちを一喜一憂させ、現役引退後もその名声は落ちることなく、むしろ広告業界ではさまざまな姿を披露してトップ女優並みにギャラが高騰している人気ぶりが、そっくりそのままチケット・セールスにも現れたと言えるだろう。

(参考記事:【最新グラビア】韓国の“フィギュア女王”キム・ヨナ、大人の色気漂う美ボディを披露)

それにしてもなぜ、このタイミングなのだろうか。

というのも、キム・ヨナが現役引退したのは2014年だが、この4年間、彼女が大衆の前でまともな滑りを見せたことは一度もなかったのだ。

公式の場でスケート靴を履いた回数は指で数える程度。今年2月に開催された平昌冬季五輪の開会式で最終点火者として登場し、久々にスケートを滑る姿も見せたが、リンクは狭く時間も短かった。

ただ、大衆の前で本格的なスケーティングを披露しなかった背景には、彼女なりの理由もあったに違いない。

例えば引退してもなお、ことあるごとに待望された“現役復帰”の声である。異常なまでに高まっていたその期待を、キム・ヨナ本人が知らなかったはずはない。『JTBCニュース』によると、だからこそキム・ヨナはスケート靴を履くことを控えたりと、誤解を招くような行動は徹底的に避けていたという。

(参考記事:“フィギュア女王”キム・ヨナが4年ぶりにアイスショー復帰。「特別出演」を決めた理由とは)

招致の段階から深くかかわった平昌五輪が終わったことも関係しているのだろう。

引退後、キム・ヨナは大学院生として勉強に励んだり、平昌五輪の広報大使として数多くの行事に出席したりするなど、多忙を極めていた。芸能人や有名スポーツ選手たちが務めた広報大使の中で、もっとも忙しい広報大使だっただろう。

(参考記事:【画像】キム・ヨナとイ・ボミだけじゃない!! 平昌五輪の“美しすぎる広報大使”たち)

それゆえに、一部のファンたちから「韓国でもっとも忙しい“ペクス”」と呼ばれたこともある。

ペクスとは漢字で書くと“白手”となり、日本風で言うと「浪人」「二―ト」「プータロウ」となるだろうか。選手として頂点を極めた彼女にニートという呼び名はふさわしくないが、名誉職の広報大使であっても大きな注目と期待を集めていた裏返しだろう。

そんな重責を負っていた平昌五輪も成功的に終わったことで、キム・ヨナもようやく肩の荷が下りたのかもしれない。

さらに言えば、平昌五輪を前後して韓国女子フィギュアスケート界に明るい兆しも見えてきた。平昌五輪には、チェ・ダビン、キム・ハヌルといった“キム・ヨナキッズ”が出場し、中でもキム・ヨナが溺愛するチェ・ダビンが自己ベストを更新する快挙を見せたのだ。

現役復帰への未練を断ち切り、平昌五輪の重責からも解放され、目をかけてきた後輩たちも育ってきたことで、もしかしたらキム・ヨナはようやく“自由”になれたのかもしれない。そして、その解放感が彼女をふたたびアイスリンクへ向かわせたのではないだろうか。

だからこそ注目したいのは、4年ぶりのアイスショーで彼女がどんな演技を披露するか、である。

韓国メディアも「4年ぶりにアイスショーでファンの前に立つキム・ヨナ、“どんな姿を見せるか”」(『聯合ニュース』)と報じており、ネットでは「記事を見ただけで涙が出そう…本当に楽しみにしています」「その日、地球が滅ぶとしても私は見に行くよ」「見なくても感動のプログラムになることは今から分かるわ」といったコメントが寄せられるほどだ。

そんな期待と注目の中で、晴れて“自由の身”になったキム・ヨナは、今回のアイスショーでどんな新プログラムを披露するのだろうか。

今回をきっかけにプロスケーターに転向してアイスショーの世界に活躍の場を移すこともできるだろうし、かねてから目標としてきたIOC選手委員としてキャリアを積むことも考えられるだろう。

韓国フィギュアの発展のために財団を運営するなど、今の彼女には多くの選択肢があるが、今はただ、映画『ファントム・スレッド』の楽曲に乗せたキム・ヨナの新プログラムを、楽しみにしたいところだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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