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最年少vs最年長のタイトル戦は7月1日開幕――藤井聡太七段が木村一基王位に挑む王位戦七番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
棋聖、王位に挑戦中で、二冠の期待がかかる藤井七段(筆者撮影)

 藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に挑む第61期王位戦(新聞三社連合主催)七番勝負第1局は7月1、2日の両日愛知県豊橋市「ホテルアークリッシュ豊橋」で行われる。

 並行して行われている棋聖戦五番勝負で渡辺明棋聖(36)に挑戦中の藤井七段は2連勝、史上最年少での二冠獲得も視野に入ってきた。

最新データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<第61期王位戦七番勝負日程>

第1局 7月1、2日 愛知県豊橋市「ホテルアークリッシュ豊橋」

第2局 7月13、14日 北海道札幌市「ホテルエミシア札幌」

第3局 8月4、5日 兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」

第4局 8月19、20日 福岡県福岡市「大濠公園能楽堂」

第5局 8月31、9月1日 徳島県徳島市「渭水苑」

第6局 9月14、15日 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」

第7局 9月28、29日 東京都渋谷区「将棋会館」

勢いは藤井七段有利。木村王位の勝負術に注目

<木村王位の最近10局>※未放映のテレビ対局を除く

12月26日 朝日杯2次予選

対千葉幸生七段 ●

1月24日 順位戦A級

対三浦弘行九段 ○

1月29日 順位戦A級

対羽生善治九段 ●

2月14日 竜王戦ランキング戦1組

対佐藤康光九段 ●

2月27日 順位戦A級

対広瀬章人八段 ○

3月13日 竜王戦1組出場者決定戦

対橋本崇載八段 ○

3月19日 王座戦2次予選

対横山泰明七段 ●

4月3日 竜王戦1組出場者決定戦

対阿部健治郎七段 ○

6月11日 順位戦B級1組

対阿久津主税八段 ○

6月22日 竜王戦1組出場者決定戦

対三浦九段 ○

<藤井七段の最近10局>

4月10日 王位戦リーグ白組

対菅井竜也八段 ○

6月2日 棋聖戦決勝トーナメント準決勝

対佐藤天彦九段 ○

6月4日 棋聖戦決勝トーナメント挑戦者決定戦

対永瀬拓矢二冠 ○

6月8日 棋聖戦五番勝負第1局

対渡辺明棋聖 ○

6月10日 王座戦2次予選

対大橋貴洸六段 ●

6月13日 王位戦リーグ白組

対阿部健治郎七段 ○

6月20日 竜王戦ランキング戦3組決勝

対杉本昌隆八段 ○

6月23日 王位戦挑戦者決定戦

対永瀬二冠 ○

6月25日 順位戦B級2組

対佐々木勇気七段 ○

6月28日 棋聖戦五番勝負第2局

対渡辺棋聖 ○

 両者の対局ペースは大きく異なる。木村王位は4月の新年度以降わずかに3局。対照的に藤井七段は6月以降だけですでに9局、それもタイトルにからむ重要なものばかりで破竹の快進撃を続けており、棋聖戦五番勝負でも渡辺明棋聖(棋王・王将)相手に圧巻の内容で連勝し最年少タイトル獲得まであと1勝と絶好調だ。

 最近10局の成績も木村王位6勝4敗、藤井七段9勝1敗とはっきり差があり、経験豊富な木村王位の勝負術をもってしても若者の勢いを止めることは難しく、七番勝負は藤井七段有利と見る。

相居飛車、先手が戦型選択のカギを握る

 両者は今回の七番勝負が初対決。居飛車党同士なので先手がどの戦型を選ぶかに注目したい。

 木村王位が先手なら矢倉が本命で、対抗として主導権の取りやすい相掛かりが考えられる。藤井七段先手なら最近の採用率から矢倉か角換わりを予想する。

 シリーズ全体としては、昨年7回目のタイトル挑戦で豊島将之王位(当時)から4勝3敗で王位を奪取し初タイトル獲得最年長記録(46歳3カ月)を更新した苦労人の木村王位は今回も挑戦者のつもりで七番勝負に臨むと思われ、そう簡単に土俵を割るとは思えない。

 受けと粘りが身上の木村王位が終盤まで僅差の勝負に持ち込めば、今年もフルセットの激戦が見られるかもしれない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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