具智元が語る日本代表デビュー&フランス代表のスクラム。サンウルブズへも…。【ラグビー旬な一問一答】
この秋ラグビー日本代表のフランス遠征でテストマッチ(国際真剣勝負)デビューを果たした右プロップの具智元が、12月10日、ツアーから帰国後初の実戦に臨んだ。
国内最高峰トップリーグを目指すトップチャレンジリーグのセカンドステージ第1節で、ホンダの一員として40分間、プレー。スクラムの強さや突進力で存在感を示し、九州電力を92―5と圧倒した(三重交通G スポーツの杜 鈴鹿)。
身長183センチ、体重122キロという恵まれた体格を誇る具は、日本でもプレー経験のある元韓国代表プロップの具東春さんを父に持つ。幼少期から海外留学を重ね、15歳で兄・智充と一緒に来日。大分の日本文理大学付属高校時代は高校日本代表になるなど、母国より競技の盛んな日本での活躍を目指してきた。
スクラムの際に最も重圧のかかるとされる右プロップ(3番)を専任で務め、20歳以下日本代表で当時の沢木敬介ヘッドコーチ(その後日本代表のパフォーマンスコーディネーターを務め、現在はサントリー監督)は「具は将来、日本代表にならなければいけない選手」といった旨の発言をしたことがある。
本当に日本代表になった当の本人は、どんな実感を得ているのだろうか。
以下、九州電力戦後の単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――帰国後初の実戦。コンディション調整はいかがでしたか。
「日本に帰って来てから1週間オフをもらえて、今週1週間で準備しました。帰国後すぐは夜に寝ても、まるで昼寝をしているような感じで深く寝られなかったです」
――フランスでのツアー。いかがでしたか。
「トンガ代表戦で初キャップが取れて、試合も勝てたのでよかったです(18日、トゥールーズのスタッド・アーネスト・ワロンで39-6というスコアで勝利)。フランスへ行って翌週の火曜日、トゥールーズの選手たちともスクラムが組めた。いい経験ができました。慎さん(長谷川慎・日本代表スクラムコーチ)の教えてもらった通り、8人で固まって、相手が崩れていく…というのを、もっと感じられるようになりたいです」
――フランス代表戦でも、何本かは反則を奪われたがいい形で組めたようです。
「前半、いい感じで押せていたのですけど、後半、フランスが組み方を変えてきて…。
前半は相手の3番が内側に来ていて、それに対して自分も内(寄り)に組んだらちょうど、はまった(相手と正対するような形になった)。いい感じで組めた。ただ後半は相手の3番が(塊の)外側へ押してきて。(それに引っぱられるように)1番が僕の方へきて、押されて…というものが1本ありました。そこから、相手の1番にまっすぐ組むようにして、また(日本代表の形は)よくなりました」
――日本代表の変化は。ジョン・プラムツリー新ディフェンスコーチが前に出るシステムを唱えていましたが。
「福岡で初めて新しいディフェンスの練習をした時は、まだ慣れていなくていっぱいブレイクされたんですけど、それからディフェンス練習をたくさんしたので、はまった。うまくいったと思います」
拓殖大学の3年だった2016年2月からは、国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズに加入。4月には同リーグ初の韓国人選手としてデビューを決めた。3季連続参戦となる来年度は、同じ3番に南アフリカ出身のルアン・スミス(トヨタ自動車)、トンガから来日のヴァル・アサエリ愛、ハイランダーズに在籍していたクレイグ・ミラーがそれぞれ新加入。サンウルブズが日本代表との連携を進めるなか、具の定位置争いはさらに激化する。
目下、トップチャレンジリーグに没頭する具であるが、国際リーグへの展望を明かす。
「ルアン・スミス選手は、トップリーグでもめっちゃきれいな姿勢でスクラムを組んでいた。アサさんもジャパンで一緒にやっていますけど、フィールドがめっちゃいい。自分もそれができるようにならないと」
日本代表とサンウルブズの長谷川慎スクラムコーチからも「練習も一生懸命。相手の色々な組み方への対応を覚えていったら、しばらくは…(安泰)ということになる」と大きく期待される。ステージアップは果たせるか。