【旅と美食】お味噌汁5選。旅先のホテル朝食で出会うお味噌汁こそ幸せの味
近ごろお味噌汁をしっかり味わったこと、ありますか?ところ変われば味変わる。お味噌も地域によって様々な味が存在します。近ごろはビジネスホテルの朝食でも、地元のお味噌汁を楽しむ機会が増えました。旅先でその美味しさ、体験してみませんか!
≪1.赤味噌こそ戦国時代最強!≫
赤味噌とは、一般的な米味噌とはちがって、大豆で作られた豆味噌のこと。熟成期間が長く濃い赤銅色をしていて、だしをくわえた“赤だし味噌”もあります。愛知県岡崎市の八丁味噌が有名で、愛知、岐阜、三重の東海三県を中心に食べられているほか、京都の旅館などでも高級味噌としてよくお目にかかります。
実は戦国時代、織田、豊臣、徳川の、強さの秘訣はこの豆味噌にあると言われます。豆味噌は栄養価が特に高く、兵糧や戦場食として重視され、強い兵を作ったというわけです。
ホテルの朝食に豆味噌(赤味噌)のお味噌汁が出たら、その日のパワーの源にしてください!
≪2.伊達政宗が作った味噌≫
かの伊達政宗も軍用食として味噌造りに力を入れました。なんと仙台城内に「御塩噌蔵(おえんそぐら)」という醸造所を作らせたほど。味噌は仙台藩の国家事業だったんですね。
こちらも大豆と米麹を使った赤味噌です。後に「仙台味噌」として江戸でも知られるようになりました。味の特徴は、東海地方の赤味噌のように強くは主張せず、濃厚な旨味があって風味がよく、具材の味も楽しめます。
≪3.上品なお公家さんの味、西京味噌≫
旅行好きの人なら宿の夕食や朝食で魚の “西京焼き” を食べたことがあると思います。これは西京味噌に漬けた魚を焼いたもので、味噌の風味と独特の甘味がします。
戦国大名の兵糧だった赤味噌とは逆に、京都のお公家さんに愛された白味噌。特に「西京味噌」は、200年ほど前に京都御所からの依頼で酒造をしていた丹波杜氏の丹波屋茂助が作り、献上した料理用の米味噌です。熟成期間が短いことから白っぽく、料理用なので塩分が低く甘味があるのが特徴です。
京都のホテルに泊まると赤味噌のお味噌汁が比較的多いのですが、西京味噌を使った白いお味噌汁が出たら、その甘味と優しい味わいを確かめてみてください。
≪4.ご当地味噌その1、小田原の老舗の味≫
さらに全国各地には、その土地ごとに味噌造りをする醸造所があります。赤だし味噌や西京味噌といったブランド名こそないものの、その地方独自のローカルな味を楽しめます
小田原にある加藤兵太郎商店は、精米業、米麹の製造業を経て、大正6年(1917年)に味噌の醸造業をはじめた従業員10名ほどの小さな味噌蔵です。白味噌や赤味噌、合わせみそのほか、麹の甘さを感じる「糀おこし」や「糀つぶ」、90年を超える木桶で長期熟成した「箱根路」や神奈川県産の材料を使った「神奈川ブレンド」など、個性のあるお味噌を作ります。
ゆえあって、箱根にある某温泉旅館の朝食としか書けませんが、ローカル色満点のご当地味噌に出会うのは、旅の楽しみのひとつです。
≪5.ご当地味噌その2、四国愛媛のローカル味噌≫
愛媛県の山間にある久万高原町(くまこうげんちょう)。標高500mの高地で造られているのが「久万山麹みそ」です。明治36年(1903年)創業の二宮醸造は、従業員10名ほどの会社です。お城を思わせる白壁の蔵で、醤油と味噌を作ります。「久万山麹みそ」は大豆と麦麹で作られ、麹の優しい甘さが持ち味。
ホテルでは松山名物「松山あげ」が入っていて、まさに地元の味が共演するお味噌汁でした。
お味噌汁って、あまりにも身近すぎて味など気にせず飲む人が多いはず。でも旅先で出会うローカルなお味噌汁は、ホントに美味しいんです。わたしも旅の仕事をするようになって、お味噌汁の美味しさに気づくようになりました。
もしホテルや旅館で飲んだお味噌汁が気に入ったら、銘柄を聞いておきましょう。その多くは地元のスーパーやお土産店で購入可能。たいがいは、500グラム500円から1,000円程度なのでお土産にもピッタリ。あなたの自宅の食卓が、グッと楽しくなりますよ。
とは言え、プロが作ったホテルのお味噌汁こそ、ガチで美味しいんですけどね。
※ここに紹介したホテルのお味噌汁は、季節などによって味噌の種類やメーカーなどを変えることがありますのでご了承ください。