マニー・パッキャオ来年1月防衛戦 その後に見据えるビッグマッチとは
WBA世界ウェルター級王者のマニー・パッキャオ(比)が来年1月19日、ラスベガスで世界4階級制覇王者のエイドリアン・ブローナー(米)と初防衛戦を行うことが19日に発表された。パッキャオは、今年7月にマレーシアでルーカス・マティセ(亜)を7回TKOで破り世界王座へ復帰した。この試合に勝てば、5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米)との再戦が浮上する可能性もある。パッキャオとメイウェザーは今年9月に日本で偶然鉢合わせして、メイウェザーも「復帰して戦う」と対戦を匂わせていた。パッキャオは「ブローナーも侮れない。メイウェザーの話をする前にまずはこの試合」と言っている。
パフォーマンスを取り戻した前回の試合
パッキャオは前回の試合でマレーシア・クアラルンプールで強打のマティセにTKO勝ちをして王座に復帰している。サウスポースタイルからの出入りで的確なパンチを決めて9年ぶりのKO勝ちを決めた。衰えが心配されてきたが、今回はコンディションを作ってきてパッキャオらしい攻めを見せて勝利に繋げた。まだまだパッキャオは強いと思わせるファイトだった。この試合ではパッキャオの動きが良かったからか、相手のマティセは初めから呑まれているようだった。選手の自信は相手にも伝わる。それが脅威となって相手も攻めるに攻めきれないのだ。このレベルの選手になると、いかに自分のパフォーマンスを発揮できる環境を作れるのかに限る。この試合では長年コンビを組んでいたフレディ・ローチとのコンビを解消して、長らくパッキャオをプロモートしていたボブアラム率いるトップランク社との契約も終了して新たな体制でスタートした。それが功を奏したのか迫力のあるボクシングを披露してKO勝利に繋げていった。
鋭い踏み込みからの脅威の左ストレート
パッキャオの持ち味はサウスポースタイルから放たれる左ストレートだ。この左ストレートを軸に相手をなぎ倒してきた。特徴的なのは足の踏み込みだ。パンチは手で打つのではなく下半身で打つ。後ろ足の蹴り足から前足の軸足に体重移動して体全体でパンチを打つ。パッキャオの足を見ていると時おり宙に浮いている時もあるくらいで、そのぐらい体重が乗ったパンチは破壊力抜群だ。フライ級から上げて来たパッキャオだが、その驚異の左ストレートで階級を上げても勝ち続けてきた。蹴り足から踏み込んだ時に前足に全体重を乗せてパンチを打ち込んでいる。踏み込みが早いから気づいたらパッキャオの左ストレートが飛んできていて距離が測れないのだ。近年の試合ではこの踏み込みの衰えがみられKO勝ちが途絶えていたが、前回の試合ではその鋭い踏み込みが戻って来たように思えた。
対戦相手の問題児エイドリアン・ブローナーとは
今回の相手のエイドリアン・ブローナーは決して侮れない選手だ。長らく中重量級のトップ戦線で活躍していて世界4階級制覇王者でもある実力者だ。ただ度重なる問題を起こしThe Problem(問題児、厄介者)というあだ名がついている通りリング外でも注目を集める。もっと真面目にボクシングに打ち込んでいれば中重量級のトップに立てるポテンシャルを持っているだけにその素行の悪さが悔やまれる。パッキャオ有利の予想が多いが、ブローナーにとってもキャリアでもう一華を咲かせるチャンスのため意地を見せてくるのではないだろうか。技術レベルが非常に高い選手なので簡単な試合にはならないだろう。
再戦あるか!?パッキャオとメイウェザー
パッキャオはこの試合の先には当然メイウェザーとの試合も視野に入れているだろう。今年の9月にパッキャオとメイウェザーは日本での来日中にイベントで偶然鉢合わせしている。その時も両者のSNSの投稿で対戦を呼びかけていたので実現も近いかもしれない。パッキャオも年齢的には間も無く40歳となりボクサーとしてのキャリアも終盤を迎えている。数々の名勝負を繰り広げてきたパッキャオだが最後にもうひと試合ビッグマッチにこぎ着けたいだろう。そうなると、やはりその相手はメイウェザーしかいない。メイウェザーも来年にリング復帰を果たすと噂されるだけに最後の一稼ぎに乗り気のようだ。ただ40歳オーバーの選手がまだまだ現役でその業界のトップにい続けるというのも何ともいえないところだ。ボクシング界が今後も盛り上がるためにも若くてスター性を持ったヒーローの誕生が待たれる。何にせよ再浮上したパッキャオの今後のパフォーマンスに期待したい。