なぜシティは“243億円”を出してまでケイン獲得に動くのか?ネイマールとエムバペ級の大型移籍の可能性
この夏、最大のビッグディールになるかもしれない。
現在、去就に注目が集まっているのがトッテナムのハリー・ケインだ。ケインは昨季、プレミアリーグで23得点を記録。モハメド・サラー(22得点/リヴァプール)を振り切り、プレミアの得点王に輝いた。
そのケインを、マンチェスター・シティが狙っている。移籍金1億8700万ユーロ(約243億円)という巨額なオファーで、ケインを獲得する可能性があるようだ。
「クラブと対話する時期が訪れたように思う。僕は、もっと重要な試合でプレーしたい。今シーズン、僕はチャンピオンズリーグをテレビで観戦していた。ああいった試合にこそ、僕は出たいんだ。自分のキャリアにおいて、何かしらのアクションを起こす必要がある」とは昨季終了時のケインの言葉である。
「自分は、いま、どこにいるのか。会長と誠実に向き合い、良い話し合いを行いたい。僕とクラブの関係は素晴らしいものだ。僕は人生の16年をここで過ごしている。クラブにはクラブの考えがあると思う。最後は僕次第だ。このタイミングで何がベストかを考えなければいけない」
■移籍の意思
ケインとトッテナムの現行契約は2024年夏までだ。だがケインはプレシーズンでトッテナムのトレーニングに参加しておらず、移籍への流れは加速している。
トッテナムは昨季、プレミアリーグを7位でフィニッシュした。欧州カップ戦出場権を逃している。チャンピオンズリーグに出場する権利を確保したのはシティ、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプール、チェルシーだった。
ジョゼップ・グアルディオラ監督がケインを欲するのには、理由がある。シティは昨季限りで契約が満了したセルヒオ・アグエロが退団。ストライカーを獲得する必要性が生じている。しかしながらグアルディオラ監督はファルソ・ヌエべ(偽背番号9/ゼロトップ)を好む指揮官だ。昨季、ケヴィン・デ・ブライネ、ベルナルド・シウバをそのポジションで重宝していた。
ただ、ケインは9番らしい9番の選手ではない。先述したように、昨季プレミア得点王の称号を手にした。加えて、14アシストでプレミアのアシストキングになっている。その数字はデ・ブライネ(12アシスト)、ブルーノ・フェルナンデス(12アシスト/ユナイテッド)を上回るものだった。
ケインが最初に名門クラブの扉を叩いたのは、8歳の時だった。アーセナルが、彼に目を付けた。だが1シーズンで見切りをつけられた。体重超過、つまり「太っていた」のが原因で彼はアーセナルで成功する機会を逸した。
だがフットボールの神は彼を見放していなかった。11歳の頃、トッテナムがケインの才能に賭けようと動いた。それでも、順風満帆ではなかった。レイトン・オリエント、ミルウォール、ノリッジ・シティ、レスター・シティと複数クラブをレンタルで渡り歩く日々が続いた。
2013−14シーズン、ケインにトッテナムでチャンスが訪れる。そのシーズン前に、ガレス・ベイルがレアル・マドリーに移籍していた。移籍金1億500万ユーロ(約136億円)という大きなオペレーションだった。奇しくも、彼が好機に恵まれたのは、エースの移籍があったからだった。
■ブレイクとポチェッティーノの称賛
そして、2014−15シーズン。マウリシオ・ポチェッティーノ監督の下、ブレイクの時を迎えた。
「私が就任するまで、ケインのプレースタイルは異なるものだった。ゴールに背を向け、ボールをキープして、ポストプレーで味方の上がりを待つ。そして、チャンスが来たらゴール前に飛び込む。そういうプレーだった」
「しかし、それは変わった。前線からプレスを掛けるようになり、常に注意を払っている。よく走るようになったし、1分1秒、試合の中を生きている」
,ポチェッティーノ監督は以前、そのようにケインを称賛していた。
実際にシティから移籍金1億8700万ユーロのオファーが届けば、それはネイマール(パリ・サンジェルマン/契約解除金2億2200万ユーロ/約286億円)に次いで、史上2番目の高額移籍になる。キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン/移籍金1億8000万ユーロ/約234億円)以上の額なのだ。
イングランド人選手としては、ハリー・マグワイア(ユナイテッド/移籍金8700万ユーロ/約113億円)を優に超えて、史上最高額の選手になる。
練習参加を拒否しているように、ケインの移籍の意思は固い。シティはジャック・グリーリッシュ獲得にも動いており、そちらは獲得を決定的にしている。ケインの望みが叶うかどうか、マーケットの動きが鍵を握る。